号泣

先日、水泳の池江瑠璃子選手の試合をたまたまテレビで見た。
白血病からの復帰、メドレーで優勝！！
プールサイドを一位でタッチした彼女が、号泣した顔が目に飛び込んできた。
その瞬間、
彼女の白血病だと告知された日から今日までの日々が、
彼女の苦しみが、
それを克服すると誓った決意が、
努力が、
感情が、
わたしの中に飛び込んで来た。
瞬間、号泣している自分がいた。

最近、わたしは、父を亡くした。
緊急入院から、末期癌の告知を受け、そこからの1か月、父が弱っていく姿をテレビ電話越しに見る日々。
コロナ禍で病室に家族1人も入れず、何もしてあげる事が出来ない。
わたしは、人生で初めてエネルギー値をあそこまで落とした。
何も食べる気がしない。食べても、吸収していかない。
4キロ体重が減った。
病気と闘う父の姿は、あまりに苦しそうで、
1か月前には想像だにしなかった父の姿を見て、わたし自身が弱り果てた。
でも、父は、わたしより何百倍も苦しんでいる。それは、実際に、それを経験しなければ分からない苦しみだろう。

池江瑠璃子選手は、選手として脂に乗っている、将来を約束された選手。そのまさに絶頂期かとも思われる時に、白血病の告知記者会見。
その時の冷静な彼女の顔と言葉。強い。あまりにも強い。そしてあまりにも若い。
心が痛かった。
彼女は、きっとこの世に、何かメッセージを残すために生まれた美しい魂だ。
だから、きっと表舞台に帰ってくる！と信じた。

そして、数年経った今、病気というものに立ち向かうだけでも、苦しく、普通に回復するだけでもすごい事なのに、彼女は、見事に一流選手として舞い戻った。

彼女の、心や身体の苦しみは、絶対に想像することは出来ない。
希望の光が彼女の心から消えなかった理由は何なのか？
どんなに苦しくてもあきらめなかった強さはどこから来るのか？
そして、本当に選手として、レースを勝ち取るまでに至る努力とは一体どれほど凄まじいものなのか？

凄すぎて涙が目から噴き出た。
おめでとうございます。
ありがとうございます。
奇跡を見た。
人の1番美しいところを見せてもらった。

同じ人間であることに感謝した。
勇気をもらった、という言葉が、あまりにも陳腐で、その言葉の100倍のパワーを浴びた気がする。

池江瑠璃子選手、
本当にあなたは凄い人だ。