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『新撰組顛末記』永倉新八に感謝を伝えたい

新撰組二番隊長永倉新八。新撰組の中での唯一といっていい幹部クラスの生き残りで、その彼が残した書籍が『新撰組顛末記』。

新撰組の小説や漫画をいくつか読んでいる中で、この本もずっと気になっていたけど、なかなか読む機会を逃してしまっていて、今回自分の中でまた少し新撰組ブームが来てるので、初めて手に取って読んでみました。

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表紙は晩年の永倉新八の写真らしいです。

『新撰組顛末記』は永倉新八の回顧録であるのですが、実際は小樽新聞の記者、吉島力さんが永倉新八から聞き取りをした内容を書き起こして、新聞に連載されたものを本にまとめたもののようです。永倉新八が75歳の時の連載で、本当に晩年に近い最期にまとめてくれたんだなぁと。

池田屋事件や鳥羽伏見の戦いなどの主要な出来事や、新撰組を離れてからのことを、当事者ならではのリアル感で記録されていて、誇張しているところもあるのかな?という描写もあるのだけれども、それもそれで人間らしくていいなと個人的には思ったり。

近藤さんの最期についても、とても敬意ある書き方で記されていて。永倉新八が新撰組を伝えていこうとする熱い思いが伝わってきました。

巻末の同士連名記もじっくり見入ってしまいます。名前と死因がばーっと並んでいるのですが、おそらく新撰組の何らかの作品を読んだことがある人なら、名前を観るだけでそれぞれのドラマを思い起こせると思うので、感慨深くなります。

あとがきには、永倉新八の曾孫の杉村悦郎さんの解説があって、そのなかで、新八が小樽の小さな部屋に籠もり、新撰組に関する記録を書き綴ったり、図解したりしながら、熱心に記者に語る様子が記されていて。

その様子を想像してみると、じーんとしてしまった。

永倉新八が語り継いでくれなかったら、歴史として残らなかったし、こうして現代の私たちが解釈することもできなかったわけで。 

何より、彼らが生きて戦っていた日々が確かにあったこと、最期にその歩みを伝えようとする新八の強い思いを感じました。

今の世の中の創作物を観てしまったら、実は生きていた土方さんと金塊を探したり、色々と驚くかも知れないけれど(笑)

とにもかくにも、激動の時代を書き記してくれた永倉新八に感謝です。



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