巳年向上委員会

 私は巳年である。

 年がバレるので書くか迷ったけれども、まあいいかと開き直った。平成の元年生まれなのである。

 巳年。十二支の六番目。
 子丑寅卯辰【巳】午未申酉戌亥
 全体のポジションとしては悪くない。遅くもなく早くもなく。しかし、この「巳年」の地位、十二支の中ではあまり高くないような気がするのである。
 それにあたって、物申したいことがある。


その1 順番

 まず一つ目。これはもう動かせないことなので、ただのボヤきなのだが。

 なぜ巳年は辰年の次なのか!?

 年賀状のことを想像して欲しい。直前に龍。他の動物ならともかく、体の形状が似ている龍。申し訳ないけれども、正直下位互換では……という感すらある。
 これ、並んでいなければそこまで感じないと思うのだ。または、龍の前に蛇を置いてくれれば。逆に、翌年グレードアップした感も出るだろう。しかし、現実は辰年→巳年である。しょぼくなった?感が否めないと思うのは私だけだろうか?

 かの有名な十二支レースの話によれば、ネズミは前日徹夜組のウシに乗って一番乗りしたらしい。当然ウシは二位。ここまではどの「十二支の始まり」系の話でも共通で、以下の動物については諸説あるようだ。その中で、私が知っている2パターンを紹介する。
 トラとウサギは普通に走って三位と四位に。そして問題のリュウとヘビだが……。

パターン①
・ゆうゆうと空を飛んでいた龍が地を這う蛇を見つけ、「ヘビさん乗ってくかい?」と誘うも、蛇は「大丈夫、自分で行きますよ」と断り、龍の後に。

パターン②
・龍と蛇は同着だったが、蛇が「お先にどうぞ」と龍に順番を譲り、龍の後に。

という説がある。

 救いといえば、どちらのパターンでも蛇は真面目で性格が良さそうなところだろうか。蛇というとアダムとイブの逸話のような、マイナスイメージが先立つ印象なので少し意外に感じる人もいるかもしれない。
 しかし、なんというか、愚直である。個人的には「いや、そこはグイッと行こうよ」と思ってしまう。まあ、もしかしたら、蛇から見たら龍は上司みたいなもので、ここで返すべき恩が出来てしまったり、先んじて睨まれたりするとあとが怖いとか、そういう事情もあったのかもしれない。(だとしたら処世術には長けていたと言えるのだろうか……)

 蛇は西洋では蛇は悪者のイメージで描かれることが多いが、日本では古来、蛇は神として描かれていることも多かった。古代エジプトでも、蛇は王の象徴であり、神聖な存在であった。
 そのため、龍にそこまで遠慮しなくても……と思ってしまう。とりあえず順番についてのボヤきはここまで。

その2 干支グッズ


 二つ目。干支グッズ。
 ストラップやチャーム、シールなど、干支にまつわるグッズを時折見かける。この干支グッズにおける蛇の地位が低い!と思っている。

 先に言っておくと、私は自分の干支に愛着がある。だから、旅行先や雑貨屋で干支にまつわるグッズコーナーを見つけると、毎度蛇を見に行く。
 以下、巳年の友達と熱く語り合った十二支グッズについての感想である。

 まず目を引くのはウサギイヌだろう。この二匹は文句なく可愛い。ヒツジもふわふわで可愛い。その他可愛い枠としては、ネズミ、ミッ〇ーがいるし、ハムスターもいる。普通のネズミの絵文字もまあ可愛いの範囲内なのでグッズも可愛くできる🐭。、ヒヨコがいる。種類が多い。きれい。
 あと意外なところではイノシシウリ坊が可愛いので可愛い枠でいけるのである。

 カッコイイ枠、。ビシッと決まる。かつ、デフォルメで可愛くもなれる。つよい。

 我らが。今ひとつ、どちらにも入れない。なんとなく、仲間意識を持っているのはウシサル。ただ、ウシは可愛い枠に入れる気がする。やっぱり握手出来るのはサルかもしれない。
 最近は、今日のサムネイル写真に使わせてもらった蛇のようなかわいい蛇も見られるようになった。しかし、私が子どもの頃はあまり可愛い蛇グッズは、少なくとも周囲にはなくて、ガッカリしたものだ。

 それと、形状の関係で仕方の無いこととは思うが……グッズでも、とぐろを巻いている状態が多い。
 これ……その……前回の巳年のときに、年賀状に貼るキティちゃんの干支シールを買った。そのシールで……キティちゃんが、頭にとぐろを巻いた蛇を乗せていたのだった。
 みなまで言わないが、この微妙な気持ちがお分かりいただけるだろうか……。なぜ頭に乗せたのか。

巳年向上委員会


 そういうわけで、私は巳年向上委員会を名乗りたい。
 十二支の中で蛇の地位を向上するにはどうしたらいいのか考えてみた。

①とにかく、可愛いorカッコイイグッズを!
 まずは、何はともあれグッズの改善。
 女子がストラップやキーホルダーとして気軽に付けられるようなかわいいグッズが欲しい。顔が可愛くて、少し頭が大きめのデザインなら可愛くならない……かな。
 または、手触りがいいぬいぐるみも良いかもしれない。巻き付けてもフワフワなへびのぬいぐるみ、冬にちょっと欲しい。

 男子向けで強いデザインとしては、なんと言ってもウロボロスではないだろうか。デザインによっては二匹必要だが、使い方によってはオシャレに出来そうだと思う。

②辰年からのギャップを減らす
 辰年のイメージキャラクターをタツノオトシゴに統一すれば、蛇の方が強そうに見える!

 というのは冗談として……。年賀状で辰年といえば、年賀状いっぱいに龍が配置されているイメージがある。スケールが大きいのである。
 そこからあまりギャップを感じさせないように、巳年の年賀状はそれ以上に華やかに、賑やかにしたい。そのためには、①と共通で、蛇のキャラクター化や、かっこいいデザインが必要になると思う。

③干支以外にも蛇グッズを!
 ①とも共通するかもしれないが、干支のセットで出ているグッズ以外でも、蛇を浸透させて欲しい。蛇の強みは手足なく、頭にも装飾のない真っ直ぐなところなので、グッズ化の際はとぐろだけじゃなくて、色んな形になれるはずである。
 人を驚かせるのによく使われる蛇のおもちゃがあるが、アレをもう少し可動式にして遊べるようにしたり、フックのようにひっかけられるようにしたり……あとは、マグカップの持ち手を蛇にするとか。
 縁起物としても、もうちょっと日常に使われるグッズの中に蛇がいたらいいなあと思うのである。

おわりに

 ……我ながら具体性が少なく、いわば改善の余地しかない案である。前から時々考えている割にこのくらいしか思いついていないので、先人も色々考えたんだろうな……と思ったりもする。
 ちなみに、私自身蛇が大好き!というわけではない。動物園の蛇や人が飼っている蛇を見るのは普通に見るけれども、飼いたいというほどではないし、リアルすぎる蛇のイラストは、ちょっとビビることもある。
 しかしながら、自分の干支として仲間意識のようなものもあるので、良いお付き合いというか、ほどよく取り入れていきたいなと思うのである。

 今後も巳年生まれのテーマとして、何か良さそうな案を考えていきたい。

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