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『デス・ゾーン』読んだ

十日ほど前に『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』を二日かけて読み終えた。「なんかすごい本だった」以外に感想が出なかった。

なんかすごいんだけど、何がすごかったのかがよくわからない。ただこの本に描かれている栗城さんの挑戦と、周囲の人たちが彼をどう捉えていたのかだけを追うだけしかできなかった。この本の核をなかなか咀嚼できず、数日置いてもう一度最後の数十ページを読み直した。

著者の河野さんの心の揺さぶられっぷりに釣られて、栗城さんに対する私の気持ちも揺さぶられ、共にイラつき愛おしんだ。本当は何を思いながらエベレストに挑戦していたのだろう?この本での推測と彼の本音、答え合わせをする日は来ないけど、どうだったんだろう?

死に向かうエネルギーをもってエベレストに臨む心境が想像できない。死にたいけど、死が怖いという葛藤はなんとなく想像できる。死が怖くなって、やっぱり生きたいと帰ってきてくれたらよかったのに。彼はあえて単独登頂にこだわっていたけど、孤独じゃなかった。誰かの力を素直に受け取って生きてもよかったのだろう。得るべきアドバイスを聞き入れる耳を持てたら、また違う形の挑戦を人と共有できたかもしれない。

私自身も人からのフィードバックやアドバイスを受け入れられないことがある。変われたらもっと可愛がられるだろうし、無駄に落ち込むことを回避できるだろうけど、すんなりできない。栗城さんの強情さが分からないでもない。でも、それがあだになって死ぬことがあるんだな。わかっちゃいるけど、簡単じゃないもどかしさ。人のふり見てなんちゃらかんちゃら。

また時間をおいて読んだら、また違う味わいがしそうな一冊。時々思い返して読もう。


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