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駐在帯同と完全オンライン大学での学生生活と英語学習、約1年の振り返り


配偶者のアメリカ駐在帯同およびアメリカの完全オンライン大学University of thePeopleでの学生生活を開始しておおよそ1年経ったので一度振り返ってみました。


そもそもなぜオンライン大学を選んだのか

経緯

配偶者の海外駐在への帯同が決まり、やはり悩んだのは帯同期間をどう過ごすかでした。
まず、現地就労に関しては、現在の自分の英語力では難しいと判断しました。そして日本企業へのフルタイムリモート就業も金銭や時差の面で厳しい。それなら数年後帰国した際の再就職活動に少しでも繋げられそうな勉強やボランティアをするしかないとなりました。
新卒から一応システムエンジニアと名の付く職についてきましたが、自身の好奇心から広告運用などエンジニア以外の業務に挑戦することも多く、エンジニアとしてもここ数年はPjMとしての業務が中心だったため、改めてプログラミングなど技術面を中心とした学び直しをしたいと考えました。
候補としてオンラインのプログラミングスクールやMOOCsなども考えましたが、先輩方の記事のおかげでUoPeopleの存在を知り、入学を決めました。


決め手

以下の理由が決め手でした。

  • 体系的にコンピュータサイエンスを学べる

    • (新卒技術研修はかなり充実していたとは思うのですが、それでもなお)実務を通して、大学や専門学校で体系的に学んできた方と自分とでは技術力の基礎レベルで差があることを痛感することが何度もありました。

    • MOOCsなど他にも学びの場はありますが、ある程度体系だったものをこなしていくほうが自分に合っていると感じました。

  • 締め切りがあり、強制的に学ぶ場が提供される

    • 自身の性格から、強制的に勉強せざるを得ない環境に追い込まなければ延々と先延ばしにしてやらないことが予想されました。

  • コンピュータサイエンスの学位がもらえる

    • 駐在帯同中はブランク期間となってしまうため、その期間中に履歴書に書ける経歴が作れるのは魅力的でした。

  • 入学時点での英語力がそこまで問われない

    • 辞令が出る以前から海外駐在帯同の可能性を考えてオンライン英会話をしており、自分の英語力の至らなさを痛感していました。

  • 5Term制完全オンラインのため、世界中いつでもどこでも学びやすい

    • 駐在帯同の期間はビザの発行時期や配偶者の所属企業側の都合によって変動し自身では決められないため、入学のタイミングが年5回もある点、日本でも駐在先でも学べるという点はかなり魅力に感じました。

  • 学費が安くつく

    • これも大きいです。現在自分自身の収入がないため、将来のことも考えると、費用が抑えられるのはかなり魅力的でした。


振り返り

以下はこの1年の大学生活と準備期間も含めた駐在帯同生活の振り返りです。

AY2021-T5 - AY2022-T1 生活の大きな変化のはじまり

  • ENGL0101(入学前の英語科目)

  • UNIV1001(入学後最初の必須科目)

退職に向けての引継ぎや渡航準備、英語学習もあったため、1Termにつき1科目だけ受講していました。ここでフルタイムで働きながらも受講して単位を取れた、という経験を得たことで「万が一予定より早く帰国しても仕事をしながら勉強は続けられる」という自信をつけられたので良かったです。
過去に1か月だけ語学留学した経験から「英語学習は渡航するまでが勝負」と考えていたため、退職後はオンライン英会話での学習を中心にしていました。典型的な「文法やリーディング・ライティングはある程度できないことはないが話せない」タイプだという自覚があったので、リスニングとスピーキング能力の向上のためにカランメソッドを1日2時間程度、また、それに加えて英語で自分の意見を述べる練習のためニュース記事を読む授業などを取り、合計1日あたり4時間程度オンライン英会話に時間を割いていたと思います。


AY2022-T2 慣れない環境でのエネルギーの暴走

  • CS1101(プログラミング基礎・Python)

  • MATH1280(統計学基礎)

渡航し現地での生活も落ち着いたと自分では判断し2科目同時受講、さらに1日2時間程度オンライン英会話を受講、現地で買える食材で普段あまり作らない料理にも挑戦、さらに現地ボランティア活動にまで手を出すというアクティブな期間でした。今思えば以下の本でいう「ハネムーン期」にあたるのだと思います。慣れない環境で興奮状態になり、気を張りすぎていました

結果、以下のインタビュー記事でも話していたようにパンクしかけ、生活の見直しを迫られました。


AY2022-T3 - AY2022-T4 疲労の蓄積

  • CS1102 (プログラミング・Java)

  • MATH1201(大学代数学)

  • CS1103(CSコース序盤の難関科目)

  • MATH1302(離散数学)

  • CSC101(non-gradedのキャリア構築サポート科目)

リモートでプロボノ活動をすることになったのもあり、オンライン英会話の時間を1日30分程度に縮小しました。家事も無理をしすぎず、と考えましたが、手を抜きすぎて配偶者からクレームが上がりました。普段相当私の家事に関して寛容に受け止めてもらっている分さすがに反省せざるを得ず、省エネしつつも本来のメイン業務である主婦業を全うする方法を模索しました。
先述の本でいう「カルチャーショック期」に当たるのだと思いますが、ずっと自宅で家事と勉強をしている状況に加えて日本でできていたことができないストレスが重なり、精神が落ち込むことが少なからずありました。

AY2022-T5 己を知る

  • CS1104(コンピュータシステム)

  • CS3303(データ構造)

  • CS2205(ウェブプログラミング)

最初の山場といわれるCS1103を超えたこと、精神が落ち込みがちなのは受講スケジュールに余裕があり時間が中途半端に浮きやすいからではないかという仮説、興味のある選択科目の受講も含めて帰国までに卒業するという目標からの逆算などもあり、今Termは初めて3科目同時受講に挑戦中です。また、カランメソッドのレベルがある程度上がったもののネイティブスピーカーの英語が聞き取れないという課題感から、オンライン英会話をDMM英会話のネイティブプランに変更し、並行して受講していました。

もともと自己肯定感や自己効力感が高い方ではないため、思えば、フルタイムの仕事や子育てと並行しつつ同じ大学で学んでいらっしゃる方々や同じ駐在妻でもバリバリ仕事をされているような方と自分とを無駄に比較し、「フルタイムで働いておらず子育てもしていない自分はもっと勉強を頑張らなければ」という謎の罪悪感に駆られていたところがありました。結果、ストレスが溜まりまたパンクしそうになったタイミングで偶然以下の記事に出会い、英語力の向上と大学の卒業とでは後者が優先、そもそも帯同生活中は配偶者が仕事に集中できるように最低限家事を全うし、自分の精神を安定させることが最優先、と開き直ることにしました。

ストレスの原因を考えた結果、まず「英語に触れることそのものがとにかく今の自分にとってはストレスとなっている」ということに気づき、オンライン英会話の受講を止めました。また、つい「英語力向上のため」とテキストをぼうっと眺めてただ数時間が経過してしまった、ということも多かったので、開き直って積極的に機械翻訳を使うようになりました。駐在帯同前にそれなりに英語学習のモチベーションがあったことを考えれば、また必要に迫られれば自分はやるだろうとも思ったので、今は一旦英語に関してはあまり頑張らないようにすると決めました。
また、人と話せないことがストレスの原因と考えていたのですが、逆に今はいくつものコミュニティで対面・ビデオ通話でコミュニケーションすることにも少し疲れてきている気がするので、しばらく意識的に控えようと考えています。

良かったこと

ピア制度など煩わしい面もありますが、基本的に学生生活には満足しています。特によかったことは以下です。

  • 当初の目的どおり基礎からコンピュータサイエンスを学べている

    • オブジェクト指向プログラミング、アルゴリズム、コンピュータの作りなど、「きちんと学び直したい」と思いながらできていなかったことを狙い通り学べており、カリキュラムに対しての満足度は高いです。プロボノ活動でフロントエンドの基礎知識不足に危機感を覚えてWeb Programmingを受講するなど、少しずつ実務にも繋げられている気がします。私が本当にきちんとすべて理解できているかはわかりませんが、卒業するまでにはもっと自信と実力をつけたいところです。

  • 所属組織および学生という身分が得られる

    • 良くも悪くも私は所属組織に対する帰属意識がそれなりにあり、また、それを必要としているほうです。このため、「今現在所属している場所がある」というのは、私にとってはかなり精神面での安定につながっています。TwitterやSlackでの日本人学生同士とのつながりにもかなり助けられています。いつもありがとうございます。

  • 「今〇〇している」と言えることがある

    • それまで仕事をそれなりに頑張ってきた駐在妻(夫)が帯同生活でアイデンティティロス・クライシスに陥るというのは珍しくないことと思われます。私もまったくないということはないのですが、UoPeopleで学んでいるとTerm中は常に課題をこなすことに追われている状態なので、あまり長く落ち込んでいる暇がなくて済んでいる気がします。


振り返りと今後

今現在進行形で課題から逃避してこんな記事を書いてしまうほどには集中力がなく、慣れない環境で常に精神の浮き沈みと戦っている状態ではありますが、こうして振り返ってみると自分なりにはそのときそのときで全力を尽くして頑張れていたような気がしてきました。自分で自分を褒めることが苦手な人間なのですが、こうして振り返ってみると自分を少しは褒めてやってもいい気がします。
帯同予定期間を踏まえるとできるだけ向こう1年間は3科目同時受講を頑張りたいと思っていますが、引き続き試行錯誤しながら、あくまで無理のない範囲で学生生活と帯同生活を続けたいと思います。


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