見出し画像

コロナに関して:ベトナムの成果はSARSの頃から続いてた?そして現在(2020年4月29日)

都市隔離緩和は穏やかに進んでいるようです

厳格な社会隔離政策が緩和されて、約1週間。わたし自身はまだほとんど外に出ていない状態ですが、市内には車も走り始め、徐々に、本当に徐々に日常を取り戻しつつあります。

ただし出かける際の車も、50%以下の乗車率を守るように、ということで、こんなことが気をつけられているようです。

これは国の直接のオーダーではないと思われますが、おそらくは国の推奨事項を踏まえてのサービス提供側の自主的な規制に近いと思われます。

来客あっての各種サービス業の皆さんにおかれましては、1日も早く以前の人出に戻って来て欲しいところかとは思いますが、お知らせした通り、まだコロナに対する、市内在住者のランダムチェックが進行中。

そもそも完全な「封鎖」ではなかったので、緩和後激変した、という訳ではなく、交通手段の復活によって、しばらくの間ちょっと冬眠状態だった「街が動き始めた」という感じでしょうか。

折しも、一年で一番日差しが強く、気温も熱くなってくる時期。午後には雷が鳴ったり雨が強く降る事も少しずつ増えて来て、それすらも街の息遣いに感じられる今日この頃。


しかしまだまだ油断は大敵

そんな訳で明るい心持ちになりつつあり、2020年4月29日現在で新規感染者は引き続き出ていないものの、

「退院した方の中から再陽性が1件」発生した様子。
これは諸外国でも発生したケースかと思いますが、つまりは、

「一度感染または罹患して回復したからといって再感染がない訳ではなく、事例が少ないことからも、再感染時の重症化率が高いのか低いのかもわかっていない」

ということです。
社会隔離によって極力外出する人数を減らした結果が、新規感染者ゼロに繋がってるとしたら、外出の人数が増えた時にどうなるかは未知数。一度感染した人も完全に安心ではない。まだまだ気をつけながらの生活が必要、と、私は理解しています。


※2020年5月1日追記
この徹底ぶり、本当にすごい。。。


この用心深さはSARSの経験から?

さて、ベトナムのこの用心深さはどこから来たのか。

一つは、脆弱な医療体制という残念な背景。日頃から難しい病気や手術が必要になった場合、近隣国や日本への緊急搬送対応となる事が少なくない中、詳細不明の肺炎に集団感染して重症化する人が増えたらどうなるかは火を見るよりも明らか。だから「感染させない」一択だった、という事。

もう一つは…
漏れ聞こえてくる話から、調べてもせずに勝手に、

「SARSで多数の被害死者を出したから、それ以降感染症に慎重になり、準備を重ねて来ていた」

という説を信じていました。もっともらしい経緯ですし。
しかし、先日ドクターからこんな記事を教えてもらいました。

http://idsc.nih.go.jp/iasr/24/284/dj2847.html?fbclid=IwAR2ShSqs4EBy0MHGowGCfPuQH9-NG2VvA9ERgl0zQ0DWBIimGNYV90euyCU

リンクカードとして対応指定なのか、味も素っ気もないリンクになってますが、かいつまむと、なんとSARSの頃からベトナムの対応は素晴らしかったとのこと。

まず香港で発生したSARSに感染した人が入国、ハノイの病院に来院。結果1週間後から病院職員に症状が出始め、気が付いた時には院内感染。2週間後にはWHOはグローバルアラートを出したのですが、その時点で発生地である中国を除くと、世界最大の流行地だったそう。

病院は一般診療を速やかに中止し、人工呼吸器が必要なく移動ができる患者は別病院に隔離し、重症度別にゾーニング。可能な限りの感染対策機材を使用し(ディスポーザルガウンやフェイスシールドなど)高度な陰圧室はなかったので換気を徹底。職員の感染対策ワークショップを開き、国境付近では検疫を強化…

医療現場のこれまでの経緯は知らないので、驚くことなのかどうかも不明なのですが、17年前にも速やかにそれらができたというのは素人目にはすごいかも。今回でこそ色んな国がそれらの対応をやってますが、できていない・していない国もあることを考えると凄まじい。

"SARS患者は病院ごと隔離する"

方針が明確で、それに向けての施策や努力、実行力が高く、日本などの海外やWHOからの援助や調査を積極的に受け入れるなどの柔軟性もあり、それらを拒んで大変なことになった国とは対照的な印象。

この記事によると、最終的な患者総数は63名、 死亡5名、 監視接触者227名。今回の死亡者ゼロに比べると残念な結果だったかもしれませんが、今回同様、他国の事例に比べると驚異的な実績。

東南アジアの、先進国ではない1国ができることなのか?と今回も思われている節がありますし、ましてや17年前。統制力の強い国家であるこことも合わさってこの数字に懐疑的な意見も目にしますが、他国の干渉が入った上で、当時のWHOの発表による数字。そもそもWHOの職員さんも犠牲になっておられる上で、の話なので、信憑性はあるように感じられます。

その時の対応は幸運も手伝い、一概に、完璧な感染症対策だけが有効だったというわけではないようですが、SARSを制圧した最初の国として賞賛されるに至った。そのように、他の場所でも目にしました。すごい。


今回の結果もさもありなん

全然知らなくて、なんとなく、SARSの時大変だったから今回は頑張ったんだな、的な認識だったのですが、大間違いでしたね。

それどころか、ゾーニングであったり感染症対策に関することは、素人の私なんぞは今回初めて見聞きしたようなことが多く、すでに有効に活用していた場面があったことすら知りませんでした。

あくまで私の観測範囲ですが、今では当たり前に目にするようになったフェイスガードとか、マスク不足が問題になってかなり時間が経ってから、ネット上に出回り始めた印象。しかも最初は「いやいやいやいや」みたいな感じでネタっぽく扱われてる場面もあった。

医療関係者の方は当然ご存知だったのでしょうが、自分なんぞは、(そういうのでも有効なのか)くらいの認識だったのでお恥ずかしい限り。

当時の功績がどのくらい世界に知られたのかは覚えていませんが、今回に関しても大国の状況がまず先に立ち、封じ込めに成功した国として台湾などが取り上げられる中、日本の番組を見ててもベトナムのことはあまり報道されていないように感じていたところ…

最近になって、英語圏のニュースなどでは、かなり報道されるようになってきたようです。

各国、文化背景、政治環境、色々差異がありますから、そのまま真似すれば良いというものではないと思いますが、参考になることもあるのではないかと思うので、もっと広まってくれるといいですね。


それだけじゃなかった

というわけで、ここまででも十分「すげーな」と思っていたのですが、賞賛すべきはそればかりではなくて…

ベトナムの軍と民間企業が協力して開発したベトナム製のPCRテストキットがWHOの品質審査をクリアし、フィンランド、ウクライナ、ポーランド、カンボジアなどにすでに輸出されているそう。

あれだけ徹底した国内政策を取って完遂させるのって、一体どれだっけの労力が必要だったのか、素人の私には到底想像もつきませんが、それだけじゃなかったというのに私は心底驚きました。

もちろん、一方でこれから問題が表面化してくるであろう経済的な問題などもあるので、諸手を挙げてよかったよかった、とは言えないのだろうと思います。全体を見ればもちろん完璧ではなく、今の事態を皮肉な言い方で揶揄する方すら見かけますが…(でも完璧な対応できる例ってどのくらいあるんでしょうね)

私個人は、すごいなぁと心底感服している次第。
先ほども言いましたが、各国、背景が違う以上、これ「だけ」が解というわけでは無いと思います。ですがこれだけのことを「やれた国がある」という実績を作ったっことは、やっぱりすごいなぁと思うのです。

ベトナム、頑張ってます。
適宜なやり方は国それぞれで違うのでしょうが、他の国も、なんとか被害を今以上に広げないようにして乗り切って欲しいと思います。

自分もまだまだ気をつけながら過ごしますね。

2020年4月29日
ちぇり







この記事が面白かった!なんか好き!と思ってくれたら、サポートを是非お願いします。その金額がこの記事の価値。頂いたサポートは、より良い記事を書くための投資にさせてもらいます!