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自主隔離生活5週目に入ろうとしています@ホーチミン・これまでの流れと現在(2020年4月19日)

ベトナムのCovid-19への対応ここまでの流れ諸々

前の原稿書いてから、もう1ヶ月が経ってしまいました。前回更新したのが3月16日。その翌日に一度外出しましたが、さらにその翌日の3月18日からワタクシ、家をほとんど出ていません。

半径数十mの食材店に2回出向いたくらいかな?

あくまで、この自粛が仕事や稼得に直結しないお気楽な立場の人間として、の感想ですが、もともと引きこもり体質だった上に諸々の条件が重なって、意外に快適に過ごしています。

もちろんこの自粛が収入に直結するような場合には、そんな呑気なことは言ってられない。が、現状では不都合が少ない人間は引きこもるのが良策、と信じています。

加えて自分はここでは外国人。
極力現地の方のご迷惑にならないように過ごしたい。

中には、入国禁止になるギリギリのタイミングを図って入国、こちらでの2週間隔離生活を前提で入国してくると言うような日本人もいたわけですが、きっとその方は、その日にベトナムに入国しないと人生終わる、くらいの止むに止まれぬ事情があったのかもしれません。

とすれば尚更、この国にご負担をかけずに済む過ごし方ができる人間は、極力協力的に過ごすしたい、と言う思いを新たにした次第。

ともあれ日本人に限らず、いろんな考え方の人、事情を勘案せねばならない人がいます。彼らの事情もお察しします。が、ベトナムは国としてどうするか、ということを徹底していた。

どんな事情があろうとも、国が方針を決めたらそれに沿うようにとコントロールする。規制はどんどん厳しくなっていきました。この辺、日本から見ると強権一辺倒で恐ろしいものに感じられるかもしれませんが…

ひとまず1月からの、その辺の全体の流れをまとめてくださってる方がいたので、リンクをば。

1月。つい3ヶ月ほど前のことなんですが、なんだかもう遠い昔の頃のような気がします。旧正月時、例年海外に出て行くのに、今年は8年滞在しての初の経験、なんだかんだでベトナム国内、しかも飛行機に乗るわけでもなく、タクシーで30分の、隣の省に移動するだけだったのは何か虫の知らせでもあっていたのかもしれません。

もちろん渡航=感染ではありませんが、体調不良があった場合、渡航履歴が対処の違いに繋がる場面はあったようなので、直近で海外に出ていなかったのは幸いでした。

ベトナムではどんな基準で隔離されるの?

響きがね、よくないですよね、「隔離」って。
最も的確なので別の言葉で言い換える必要もなければ警戒時なのでそれくらい強い言葉の方が良いのかもしれませんが、ちょっと怖い気がします。

更に、ご存知の方も多いと思いますが、ベトナムはこの隔離基準が大変厳しい。どんな人が隔離されたかと言うと、

・発症した人(これはもちろん)
・必要とされた検査で陽性となった人(これももちろん)
・その陽性者との接触者(家族や近くで過ごした人)
・接触していなくても同じレジデンスにすむ方

と言うのがありました。
隔離や、逐一の政策の変化に関しては、こちらの方が克明に記録してくださっているので、大変参考になると思います。

例を挙げると、
陽性者がでた▶︎行動確認▶︎マンション内のエレベーターで一緒になった人の確定(隔離)▶︎そのご家族を突き止めて隔離(つまり陽性者とは一切接触していない)

というのもあれば、陽性となった方が住む何百戸も集まるマンションが棟ごと隔離になったとか。

お子さんが英語の勉強のために、自宅を教室としていらっしゃる先生のお部屋に伺ってる間に、そのマンションの棟ごとが隔離となり、お家に帰れなくなった例なんてのも話に聞きました。なかなか厳しい。


厳しすぎる(ように見える)政策の成果は?

日本でやったら大ごとですね。
こちらでも、ちょっとやりすぎでは?という印象もなかったわけじゃないですが、でも理にはかなっているのです。本気で感染を止めようと思ったら。

そしてそこまで本気にならないといけない背景には、医療体制の脆弱さがあります。私も何度も言っていますが、こちらに住むことのデメリットが、医療。日本ほどの医療水準が期待できないということがあり、重病に、しかも明確に有効な対処の仕方が定まっていない病気に対しては、罹患を防ぐことが大事。罹患しないためには、感染を防ぐ。実に理路整然とした話です。

実際それは成果を上げて、人口は日本に迫ろうかという数ですが(2019年4月で9600万人強)2020年4月19日現在まで、

感染確認者は268名、死者はゼロ。
ここ数日間、新規感染者はゼロが続いています。

やっただけの成果はキッチリ表れている。
凄まじい数字。

これを見て、いやいや脆弱な医療体制国の数字は信じられない、という意見もあるようですが、ではここで、私が日頃から頼りにしている、ホーチミンでご活躍のドクターのご意見を見て見ましょう。

そうなんです。
もしもこの数字が明らかなフェイクであるなら、潜在的な感染者はウジャウジャいるということになるはずなのですが、日本での帰国者に実施されている検査(無症状の人も対象)で、ベトナムから帰った人の中に病原体保持者は見つかっていません。

先生がおっしゃられるように、検査自体の限界もあるので100%確実ではないかもですが、日本国内にいる人への検査と内容が同じなのであれば、日本在住者に見つかってベトナムからの帰国者に一人も見つからない、ということは考えにくいですものね。

広く感染させて抗体を得る、という考え方もあるようなので、その点、ベトナムに大量の保菌者が押し寄せた場合は非常に危険なことになると思います。が、現状の医療状況を鑑みた場合、今はとにかく抑えることが得策と踏んでの防止策。研究が進んで、対応策が出てきてくれることを待ちながら、引き続き、様子見しながらやっていくのだと思います。

やりかたは国の環境や制度、慣習、諸々を勘案してベストな方法を選ばないといけないので国によってやり方が違うのは当然ですが、今回ばかりは、ちょっとすごいな、と、この国にいながらベトナム政府の動きの速さに驚き、感服した次第。

何より「何を目指すか」が明確で「そのためには何をするか」というのが外国人の自分にもわかりやすかった。さらには、

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使える手段はあらゆる手段を駆使していた。
いろんな意見があるのは前提、というか、あるからこそ、こういう環境下では「一丸になること」ってとても大事。

明らかに間違った方向に行った場合、それはそれで問題ありですが、今回に関しては「感染を広めない」の一点で、他の選択肢はなかったと言えるんじゃないかと思うので、ならば、全勢力を同じ方向に向けることを重視し、あらゆる心理テクニックまで使ってそれを達成する。

大枠の考え方も、実行段階の手段も、人を統率するときに有効な手段がいっぱいあって大変勉強になりました。

ええ、細かいところは色々あったんでしょうけどね(お察しください・笑)


隔離生活ってどんな感じ?

◾️初期の「感染の疑いが持たれる人」の隔離状況・旅行者編

例えば旅行先として人気の高い、古都ホイアンで、旅先だったのに2週間の隔離を余儀なくされた外国人がお勤め(?)を終えて解放される際には、街からなのか国からなのかはわかりませんが、お土産の袋が手渡されたりしてるのを見てほっこり。と言うか…

え(笑)
いやまぁこれは割と特例で、上記にあるように反発もあったかもしれませんが、速やかに、特にこの国の勝手のわからない海外の方を隔離するには、譲歩案としては賢い手だし、何より損失を伴うかもしれない受け入れに関して協力的だったホテルが素晴らしい。背景には、

と言うような事情もあったようではありますが、そして民間が何をどう言おうと、お上が決めたら選択肢は極端に狭まると言う状況はあるにしろ、(国から言われたことには従わざるを得ないという側面があるにしても)協力的な姿勢が多々見られるなぁ、と言うのが、観察視点者からの印象です。

◾️初期の「感染の疑いが持たれる人」の隔離状況・自宅隔離者編

全ての人に当てはまるわけではなく、ケースバイケースではあるようですが、疑いを持たれた人の家族(つまり陽性者との一切の接触がなかった人)も念のために自宅隔離となった場合、速やかに食料が届けられたそうです。

内容の写真を見ましたが、インスタント麺からお野菜類、肉や魚まであって、ちょっと感心してしまったくらい。こういう時って保存食とか非常食的なものが配られるものかな、なんて漠然と思ってたのですが、非常に日常の食材でびっくり(笑)

ただし勝手に外出したりしないように、ある程度の監視はあったようですし、日々の検温や健康チェックなどもあり。気持ち的には押し込められたようで大変だったと思いますが、備えられていた方は速やかにリモートワークに移られたりして、実に見事に対応されている例もあり、自分も何かの折には備えておかねばな、と勉強させてもらいました。

◾️「感染の疑いが持たれる人」の国が用意した設備での隔離

これは国が用意した設備での隔離で、その様子を綴った、イギリス人の隔離該当者の記事があるのでご参考まで。

印象としては、簡素なドミトリーという感じ。同室内にベッドがいくつもあり、場所によってはエアコンもなく、バスルームは共用、といったケースが多かった様子。

これは日本でも同じですが、万が一この中に陽性者が出た場合は、要請でなかった人にも感染する恐れがあり、一蓮托生になる可能性が。

その間、日々の検温や必要に応じての検査などがあり、食事は配給制だった様子。ローカル食に慣れていらっしゃる方はまだしも、もし慣れていない方だった場合は、食事はちょっとお辛かったかもしれませんね。

現地SIMがないとWi-Fi環境がなかったケースもあったようです。空港から直接施設に連れて行かれた人はSIMを買う間もなかったようなので、同室の方からテザリングをしてもらうなどして凌がれたとか。

あくまで隔離生活なので快適さを求めるのは違うと思いますが、それにしても私のようなネットジャンキーが2週間ネットを取り上げられるとなると、そのストレスは相当だったと思います。

また衛生面も気になるところ。虫や、外に害獣が潜む可能性を考えると、日本脳炎や狂犬病の予防接種はもちろん、肝炎や破傷風などの予防接種をしておくことは大前提。ですが、そんなものすぐに全て叶うものではありませんし、旅行者さんでそこまでしてくる人は少ない。

私は予防接種はしていますが、言葉がわからない中で、例えば何か同意書にサインをする場面があった場合、中身を100%理解しないままにサインをせざるを得ない、という相当なリスクを抱えることになったかもしれません。

よって、警戒がピークだった時点で自分にできたことは、

「極力施設に行くことになる可能性を避けること」

これに尽きました。
だから人のお誘いもお断りしたし、買い物も最小限に。言われている予防策は可能な限り守って体調を万全に。

それは感染しない・広げないため、というのが目的でしたが、その前段階として、この国の方のご迷惑にならないようにということがありつつ、何より自分の安全確保のためでもあると認識していたので、私自身はそんなに悲痛な気持ちにはならず、粛々と「自宅隔離状態」で過ごしていたのでした。

自宅隔離の実態は?(あくまで個人の視点です)

では自宅隔離とはどういうことか。
自分のテリトリー内の自宅では普通に過ごすだけなのですが、外出はなるべく控えるようにと言われています。

一部感染者が多かった地域では、かなり厳しい制限もあったようですが、それでも食材を買いに行くことは許されていたし、場合によってはお仕事に出かけられる方もいらっしゃった。

今もホーチミンは社会隔離中ですが(封鎖はされていない)、例えば人々が出歩かないよう、街中の飲食店は営業を禁じられ、人が3人以上集うことは控えるようにと言われています。バスやタクシーなどの公共交通機関は止められて、つまりは出歩くなということ。

ただマスクをした上で公園を人との距離を保って歩く、ジョギングするなどは許されてるのか見逃されてるのかという感じですし(ただし状況が厳しいハノイ方面では、屋外で運動することも咎められたという話を聞きました)「自由を完全に奪われた」みたいな感覚はあまりないかも。

マスクに関しては厳しいですけどね。

そして、生活上の不便がない。
賃貸契約に入っているお部屋のお掃除スタッフさんは普通通りに来てくれるケースが多く(頻度が減る所は結構あった様子)、必要な生活用品は買いに行くこともできれば配送もしてもらえる。なんだったらネット・ショッピングで済ますことも。

一時的に、本当に一時的にマスクが不足したことはありましたが、医療用はともかくとして、一般人が必要とする分には、かなり供給の回復が早く、布マスクでもいいから着用しようね、となってからは、もう強い。

そもそも縫製工場がたくさんあって、あまり布で布マスクを作る文化があり、日頃からバイクに乗る際にはそのマスクを着用する人が多いので、習慣的にも無理がなかった。

アルコールジェルや除菌シートも潤沢に供給され、営業が許されている食料品店などでは入り口のスタッフさんが、入店しようとする客に必ず支持するようになったため、全体の使用量は増えてるはずなのに滞らない。だから慌てて買いに走る必要もない。

一時期、マンションごとの隔離云々があってた頃は、流石に食料の一時的買いだめはあったようですが、あくまでそのマンション周辺の話で、街全体で見ると、みんなある程度は落ち着いているように見えたのが、こちらも安心して動ける要因の一つだったと思います。


社会インフラのデリバリー

何より日頃から充実している飲食店からのデリバリーが充実しており、私などはデリバリーに対する考察を深めるのに絶好のチャンス、と、新しい研究テーマを見つけて、日々美味しく意欲に燃えてたり。

そうなんです、公共交通機関であるタクシーやバスは止められたけども、バイクは生きてる。だって禁止の理由が「密室内に人が寄ることを避けるため」であれば、バイクはそれに該当しない。

もちろんバイクでの運送業をしてくれる人たちはたくさんの人と接するわけなので、彼らにその仕事をやれ、とこちらが強制することはできません。が、望んで、且つ気をつけながらやって頂く分には、こんなにありがたいことはありません。

それでも全体の大部分が「自粛をしている」という環境前提が必要なわけで(いくら何でも危険と分かり切ってる所で彼らに仕事しろ、とは到底言えないわけで)そこの確保を国が厳しくしてくれているのは幸いでした。

日本でも言われている、8割が行動を自粛したら、接触機会が減り、感染を防ぐ結果につながるというやつ。それを地で行く経過だったなと思います。

自粛は不自由。不自由ですが、その自粛をしているがゆえに、稼働しなければならない方々が多少は安心して動いていただけ、結果的に全体のQOLが上がるという話。大変骨身に沁みました。

結果論かもしれませんが、そして全てが意図したものではないかもしれませんが、今回のベトナムのここら辺のバランスの取り方が素晴らしいなと感じています。


不満もあるかもしれないけれど、できることはあるはずだ!

そう言えば、ストップさせられていた公共交通機関も、

困っている人には市が無料送迎サービスを提供。そこに、民間がガソリンを寄贈、という流れがあって、拍手を送りたくなるような場面が。

上の記事の最後の文面にあるのはこちら。

さらには、大手民間企業もかなり前から動き出しており、

私が愛する小さなレストランでさえ、

売り上げの一部を、困っている方へのお食事に代えて提供されることを表明されていました。

私より、ずっとローカルの方々に近いところでお仕事されている方が見聞きしたことを集めてくれてる投稿を拝見すると…?

ちょっとこんな可愛らしい案件もあるようです(笑)
好きだ、ベトナム(笑)

でもこの記事の中にも、

「営業禁止になったガールズバーの女の子達は孤児院や老人ホームへの寄付、ボランティアを頑張っていました」

なんて一文が。自分たちだって大変なのに。
困難な中、助け合いの動きが続々出てきているのを見ると、

「鬱々となんかしとる場合ちゃうわ!なんか自分にもできることを!」

という気にさせてもらえます。
対象に向けて何もしていなくても、まずは自分の健康確保。それが結果的に利益にもつながる。何もしていないように見えて、ちゃんと社会に寄与している、と思います。

が、余力のある方は、何かできればいいですよね。私も、日々のお店のサポートや、デリバリーの食レポを書いていました。


社会隔離期間はもう直ぐ明けるかもしれません

自宅隔離期間、数日後から私、5週目に入ります。
現状、ホーチミンはこの社会隔離を4月22日までとしていますが、様子を見ながらなので、本格的に動くのは、もしかしたら月末くらいになるかもしれません。

お仕事を続けられてない業種の皆さんは、一刻も早く元の営業形態に戻したいと思われていると思います。死活問題ですものね。もうこれまででも十分大変だった。

何週間も家に半分軟禁状態だった人たちも、早く外に出たくて仕方ないでしょう。でもまたこれが爆発的な人数で街を賑わせると、どうなるかという懸念もあります。国の解禁宣言=もう何をしてもいい、というわけじゃない。

世界の国にはまだ大変な状況にあるところもあるわけで、国際間の行き来を止めても何がどういう状況になるか予測できない、というのはここ数ヶ月で自分たちがまさに経験して来たこと。政府が解禁したからと言って、それは二度と何も起こらない、という確約ではないので、気をつけるに越したことはありません。

急がば回れ。
せっかくここまで目覚しい成果を上げたのだから、それをふいにしないように、解禁宣言は解禁宣言として喜んで、応援したいお店があったらもちろん言って楽しんで、でも全体の行動は少し控えめから始めて徐々に様子を見ていけるといいですね。

この時点からもできることがあるのですから。
それは一定の収束例を作ること。
国によって事情は違う、とはいえど、それはきっと、今、渦中にある方々への希望になると思うので。

自分が窮状下にあっても、さらに困っている人のことを想い、迷わず行動を起こされるベトナムの方達に習いたいです。全体のために自分ができること。きっとあると信じて、行動の選択をしていこうと思います。

またこの事態の間、様々な情報を提供してくださったみなさん、ここに引用をさせていただいた皆さんに感謝します。自分一人では到底収集が追いつかなかった情報に助けてもらった場面がたくさんありました。ありがとうございます。

2020年4月19日
ちぇり


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