ちぇりがホーチミンを好きな理由 006 Happy For You
◆Phu Quoc で起こった出来事
今回起こったことは Phu Quoc での出来事なので、正確には「ホーチミンを好きな理由」ではなく「ベトナムを好きな理由」になるのですが…
今ブログで紹介している、先日の Phu Quoc 旅行の中でも、一番印象深かったこと。楽しかったこと。嬉しかったこと。
それは大きなリゾートホテルの中ではなくて、最初に泊まったこじんまりとした地味目の M Hotel Phu Quoc というホテルでのことでした。
https://cheritheglutton.com/phu-quoc-west-m-hotel-phu-quoc/
◆釣り三昧の旦那さんに大当たり
旅に行っても、それぞれやりたいことが違うので、結構別行動をする我が家。旦那さんの今回の旅の目的の一つが釣りだったので、その日も宿に無料で貸し出してもらえるカヤックを借りて、釣りに出かけていたのでした。
そういう時に私は一人で出かけていたり、お部屋で書き物をしていて、釣れた時には旦那さんが送ってくれる魚の写真を見ては楽しんでるわけですが…
ぬおおおおっ、なんかビッチバッチな感じのが釣れてる!!!
日本にいる頃から基本陸釣りで、沖釣りでゲットできるような大物より、割に小ぶりなお魚に遊んでもらうことが多かったので、我が家にとってはこれでも大物っ。
しかもなんかお顔がナマズ系?これ系のお魚って、相当引きが面白いよね?おっほー!これは幸先が良い!まだ Phu Quoc に来たばかりだというのに、なんてことっ!
◆以心伝心?
高揚した様子でお部屋に戻って来た旦那さん。釣り上げた時のお話もそこそこ、荷物を置きつつ、
「今キッチンにあげて来たから(流石に部屋ではさばけない)、写真だけでも撮りに行きませんか?!」
とのお誘い。
ウンウン、旦那さんの大仕事、そりゃお写真撮りに行かねばねー♪
でもまだ、さばかれてないといいけど。キッチンに入れてもらえるかな。あまり英語通じなかったけど、お願い、ちゃんとできるかしら…??など、旦那さんとホテルスタッフさんのやりとりを見てない私はポヤポヤと考えながら、エレベーターに乗り込んだ。
そして到着、エレベーターのドアが開いたところに…?
待ち構えていたかのようにスタッフさんが!
おおちょうど良い、さっきのお魚、写真に撮らせてもらえ…
「◯X▲☆◆◎※▽■★?!」
ん?ん?なになに?と思うより先に、「こっちこっち!!」みたいなことを言ってる。お魚の写真を…とかお願いする間も無く、問答無用で外に誘導。なんだなんだ???と思ってたら…
「お魚と一緒に写真撮らなくちゃ!!!」
って(笑)
さすが写真好きのベトナムの皆さん。こちらがお願いするまでもなく、当然のように「記念撮影!!」(笑)
どうやらエレベータの前にいたのは、そのためにこちらを呼びに来てくれようとしていたらしい。えーっ、なんて察しの良い!!と思ったのですが…?
◆Happy For You
察しが良いとかどうとかって前に、スタッフさん、そしてキッチンの人たち、みんなすっごい嬉しそうなの!釣った本人が嬉しいのはわかるんだけども、君たちがそこまで喜ぶかね?ってくらいに嬉しそうっ!
みんなでわいわい浜に降りて、使ったカヤックの前に立ち、やれ、旦那さん一人で持って、女の子が持って、やれみんなで一緒にと大はしゃぎ!
あの、さ…いくら今は人が少ないとはいえ、ルーティーンのお仕事ってあるじゃない?そこにいくら「食材差し上げます」と言ったとして、魚をさばく仕事が急に入ったら「めんどくさっ」とか思わんのかね???
我が身に置き換え想像してみる。
晩御飯の段取りしてる時に、突然生の大きなお魚が来たら、正直(お、おぅ…)ってなるな、私なら。小さいお魚なら翌日に回すし、大きなものでその日にさばかねばならんかったら正直(よいしょ…)ってなると思う。
なのにこの人たちは…
気を使ってそれを出さない、とか「よかったですね」と言ってるわけでは絶対なかった。みんなすごく楽しそうで、嬉しそうで、屈託のない満面の心からの笑顔!
邪気が無い。
無邪気というのは、このことだ。
この人たちは、旦那さんが魚を釣り上げて来てくれたことを、心の底から喜んでくれてる。もしやこれは…英語で言うところの、
Happy For You
ってやつだ。
一点の曇りもなく、人のラッキーを喜ぶ人たち。たった数時間前に知り合っただけの客に、こんな顔できるもんなの?と、ちょっと驚く。
◆みんなが嬉しくなる場面
この一例で「ベトナムの人は」と言うのは乱暴な話。ベトナムも他国と同じように、いい人もいれば悪いことをする人もいる。
ただ、今回のように人のために喜べる人、それを迷わず表現する人に遭遇する率は日本に比べると多いと感じる。このnoteに記した中にも、そんな話があったと思う。
他にも、日常の取るに足りない小さなことでも、躊躇なく、間髪入れずに喜んでくれることが珍しくない。
いやいやあなた私のこと知らないよね?私この店初めて来たし?とか思う隙も与えないほど邪気無く、なんなら直面しているはずの自分が流しそうなことを拾って増幅させて、笑顔でプレゼントしてくれる人たち。
泣きそうに、なるよね。
私、人のためにこんなに喜んであげられることって最近あった?過去にも、どれだけあったのかな?って、ちょっと振り返っちゃうわ。
そんな横で、魚が釣れたことも嬉しかっただろうけど、それより何より、スタッフさんたちがあんなに喜んでくれたことが何より嬉しい、と喜ぶ旦那さん。それをを見て、そんな人が旦那さんでよかたなぁ、と喜ぶ私。
大変。
その場にいたみーんなが嬉しかったみたい(笑)
◆ここで釣れてよかった理由
さて、思い出に残る話は、そこでまだまだ終わらなかった。
皆さんのランチにどうぞ、と差し上げたそのお魚は、Phu Quocではとてもポピュラーなお魚で、
ベトナム語で、Ca Bop、英語でCobia と言うお魚らしく、しかもとっても美味しいらしい。キッチンのおばちゃんからは、
「So 1!So 1!(ソーモッ=ナンバーワン!!)」
と、何度も言われて大歓迎をされたそうだ。
でもまあ言うよね。釣り人は優しいからさ。
日本釣り初心者の頃、なんでも食いつくスズメダイ(一般的には美味しくない・博多は食べることもあるらしいけど)でも釣れれば嬉しく、バケツの中に入れておいたら、通りがかりの手練れな感じの釣り人たちは、
「こりゃー煮付けにしたら美味いがね」
と皆一様に教えてくれた。その時は無邪気に喜んだのだけど、その後すぐにわかってきたのは…
それって釣り場の優しい記号みたいな言い回しだっていう事実。小さかったり外道甚だしいものでも、大事そうにしている初心者の気持ちをくじくまい、とする優しいやりとり。
確かに、魚の味がわからんくなるほどガッツリ甘辛く炊けば、なんでもそれなりに食べられる。害さえ無ければ(笑)
だからそのおばちゃんの「ナンバーワン!」も、ちょっとお世辞が入ってるかも?と思ったのですが…?
うおおおおっ、なんだこれ美味しそう!!
皆さんのランチに、と差し上げたのだけど、ホーチミンではあまり見かけないお魚だったし、ちょっとだけ味見させて?とはお願いしたが、まさかこんな立派なランチになってくるとは!
そしてこのお魚の味が…?
待て。。。なんだこれ。。。???
さっき釣ってきたものなのに、一夜干したかのような凝縮した旨味。
食感はホクホク、ぷるりとした弾力もあり、骨からホロホロ外れてくれる食べやすさ。薄めにスライスしてくれてるので、下味加減がよく回り、食べやすさも合間ってるけど、まずは内側から湧き出るような旨味がすごい。
そしてこれ…
一番食べやすく美味しい腹周りじゃん。ちょっと味見ができればいいのに、そんないいとこ、よこすなよ。
そしてこちらはカインチュア。
ホーチミンでもポピュラーなご飯のお供で、いろんなお出汁に、トマトやパイナップルで甘みと酸味をつけたスープ。
今回のは釣った魚のアラでお出汁が取られており、ホーチミンより甘さがスッキリと削られていて、実に実に品があって美味な出汁。
さらに、だな。
この手の魚の珍味とされる胃袋だとか、肝だとか。美味しい部分が散りばめられてる。
尾の身の肉質が腹回りとは違っているのがお分かりだろうか。引き締まった筋肉が加熱によって収縮し、プリーっと盛り上がっている様子。当然味わいも違う。
そう、私たちはちょっと齧る程度の「味見をさせて」と言ったのですが、彼らは、焼き物には胴体の一番良いところ、そしてスープに使ったいろんな部位のちょっとずつを取り分けていた。
偶然なんてありえない。明確に、こちらに良いところを食べさせよう、いろんな部位を楽しんでもらおうとした結果。
知識を持つってこう言うことだ、と改めて。
部位によって魚の味は違うこと、どうやったら各部位を適宜に分けて調理できるか、それらがどんな調理法に向いているのか、どの部位が一番上等なのか。それらすべてがわかってるからこそ頂戴できたお心遣い。
知識は力と言いますが、なるほど知識・力を持つ人が、より人に優しくできるとも聞きますね。
自分たちのベトナム語は甚だ拙く、言葉での細かいコミュニケーションは取れなかったけど、料理で会話ができました。彼らがお魚を喜んでくれている様子は美味しく調理してくれたことに表れてたし、おもてなしの気持ちは料理の出し方の随所に。
ここで、あのお魚が釣れてよかった。
◆幸せな予定変更
何より美味しく、そのお気遣いもまたとても嬉しく、好奇心され興味を持って食べていたら、気付いた時にはお皿が全部空っぽに。
ベトナムにいる方はご存知かと思いますが、こう言う食事には食べきれないほどのご飯が盛られるのが常。今回もそう。それを平らげてしまうことなど、過去には一度もなかったことです。
スープもしかり。なかなか、大どんぶりいっぱいの、しかお野菜がたっぷり入った汁物を食べつくすことは美味しくったって難しい。でも…
美味しいし、あれこれの部位が興味深く、これは?こっちは?と食べてるうちになくなった。全く気は使っていない。本能で箸が進んだ。
見たことがないお魚をひと口、味見したら外に食べに行こう、と言っていたのに、食べ始めたらあまりに美味しく、あまりに嬉しく、それを残して席を立つ気など、ふたりともすぐに無くしてしまった。
予定していたお店に行けなかったことなど全く惜しくなかったし、みんなが賄いでそのお魚を美味しそうに食べているのを見たら、そしてそれを思い出したら、2度も3度も嬉しくなった。
幸せな予定変更。
◆人の幸せ喜ぶ人は
それにしても、学びましたわ。
彼らみたいに、人の幸運を喜べる人に、私はなりたい。
だって、人の幸運を妬み誹り貶める人は、自分に呪いをかけるようなもの。
人の幸運を貶める
⇨いい事があった人は敵意を持たれる
⇨人からの悪意や敵意は避けたい
⇨「自分に良いことはあってはいけない」
だと思うから。
その逆は、
人の幸運を喜べる
⇨いい事があった人は人を喜ばせる事ができる
⇨嬉しいことは大歓迎
⇨「自分に良い事があるのは大変良い事」
人の幸せを喜べる人は、きっと自分も幸せになる。
お魚を喜んでくれたあのホテルのみんなは今も幸せだと思うけど、もっともっといい事がたくさん起こってくれると良いなぁ♪
2020年12月
ちぇり
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