見出し画像

note26:ブリーフセラピー協会学術会議参加体験記

ブリーフセラピー協会の学術会議はどんなもの?

私が所属するブリーフセラピー協会では大体10月か11月ごろ、年に1度学術会議が開かれます。
今年は10月2、3日でオンラインと対面のハイブリッド型の開催となりました。大会の中身はぜひ大会ホームページから見ていただきたいのですが、
なんと1ヶ月半も40近くの動画コンテンツが12000円で見放題になっています。内容から考えると破格の値段だと思いますし、覗くだけでも価値ありです。
https://www.senkyo.co.jp/nfbt2021/index.html

私もお声がけいただき、2つほどコンテンツ提供しています。
一つは「産業臨床におけるブリーフセラピー」という動画による講義です。産業領域においてどのようにブリーフセラピーを使っていくと良いのか?という内容です。私が「組織セラピスト養成講座」で話していることの一部を載せました。ブリーフセラピーを学ぶ方々からすると、「あ、産業領域ではそういう使い方をするんだ」と知っていただけるのではないかと思います。産業領域の方にはブリーフセラピーを身近に感じていただけるように話したつもりです。特に産業領域の方は自分の業務に当てはめて考えていただけると良いかと思います。

もう一つは「コンサルどうでしょう(産業領域編)」です。
こちらは、もう一つ「医療編」があり、これは京都支部の素晴らしいセラピストの伊東先生です。
見比べたりせず、笑、ご覧いただけると嬉しいです。
このコンテンツでは私がキャリアコンサルタントの方が企業コンサルとしてある企業に関わっている悩みについてコンサルタントを行なっています。
ロープレではありますが、いつも私が行なっている面接を展開しています。
またその後30分くらいかけて解説を行なっています。
面接中何を考えていたのか、何を意図して質問をしていたのかなどなどです。
「いつも色々書いている森川ってどんな面接しているんだろう」と思った方は、ご覧いただければ嬉しいです。さらに各コンテンツは提示版があり質問ができます。質問すれば答えがありますので、それも良いのではないかと思います。

オンラインか対面か?

今回の大会はオンライン参加か、現地の釧路に行っての対面参加のハイブリッド型です。迷いましたが、今回は釧路まで行くことにしました。
目的は行くことで、こういった時でないと会えない方々と会えることと、がっつりと話す機会が取れるかもしれないと思ったからです。
行ってみると参加は私を入れて、13、4人くらいでした。
この状況の中、それでも多いのではないかと思います。
もちろん直接会って色々とお話ししたい方が多く、その方がに会えなかったは残念ですが、結果として私は現地に行って良かったです。
人数が少ないからこそ、濃ゆい話を3日間ずーーと話ことができたのはとっても貴重な時間でした。
また現地にいる人たちは全員で同じ画面を見ながらオンラインの方々と同じ動画をみる、という状態だったのですが、現地にいたことで、動画を見た感想をその場でそれぞれ話せたことが良かったです。
今回はB1グランプリという名物企画、またシングル・セッション・セラピーの面接動画鑑賞会でした。他の先生方が「今の面接は・・・」といったことに対して「私はこう思ったのですが・・・」とぶつけてみて、そこに回答があるということは、対面であったからこそできたことではないでしょうか。私の知識不足もあるかもしれませんが、オンラインで同じ状況を作るのは難しいな、というのが今の感想です。
今までハイブリッドで現地側にいたことがなかったので、この体験は発見でした。オンラインとは全く違う学びがそこにはあります。
多くの研修をオンラインで配信する側として考えなければいけないと思います。オンラインだけでどのように「フリーな、個別的に発生する対話を生み出すことは可能なのか?」もしくはハイブリッドでオンラインと対面では違う体験を提供することに価値があるサービスをどのようにつくると良いかなど自分への問いが生まれてきました。このことはまた改めて考えていきたいと思います。

B1グランプリ決勝に参加!

はて?B1グランプリとは?となったと思います。
これは「ブリーフセラピスト・ナンバーワン・グランプリ」のことです。
はい、某グランプリのパクリです。

このグランプリはブリーフセラピー協会の学術大会における名物企画で、全国予選を勝ち抜いた3組の支部代表のセラピストが、20分のロープレによる面接を行います。
これを投票によって優勝を決めるというものです。
様々な心理療法の学会などに参加した経験のある方はこれがいかにとんでもない(色々な意味で)企画かがわかるのではないでしょうか。

私はブリーフセラピー協会の千葉支部長なのですが、実は千葉支部は連続決勝出場が2016年から続いており、今年で6度目です。
中々の強豪なのです。笑
。
そして今年は準優勝となりました!
これ自体は出場したセラピストが頑張ったと思いますので、とても良かったです。

ただ私としては実は勝ち負けというよりはここで優勝に向けて練習することが、またここが最も大事ですが20分の面接を練習するということが重要だと思っています。
私からは出場する方に「この面接を本物の面接と考え、20分でクライアントが来て良かったと思える面接をするように」といつも伝えています。この20分が大事で、20分で行おうとすると、45分とか60分で面接をしている時と同じ傾聴では時間が足りなくなります。見立ても3分以内には立てなければいけませんし、質問もより言葉を正確に適切に使っていかないとこちらの質問の意図と違う答えが返ってきたりして、それを修正する時間はありません。この「20分で介入まで行う」という設定そのものがとても良い練習になるのです。こういったことから千葉支部では良い練習の場としてこのB1グランプリを活用しています。
少し余談ですが、私はこのような制約条件をつけた練習をよく行います。20分以内に終わらせるとか、5分以内に必ずスターティングクエスチョンを行う、トータルが50分の面接練習でも20分で一度ブレイクを入れてチームのフィードバックを受ける、などです。そうするといつもとは違うことを考えて面接をしなくてはいけませんから、それ自体が練習となるのです。

さて本題に戻ります。
もう一つ、出場者について触れておくと、千葉支部の出場者は二人とも心理系の大学でも大学院でも全くなく、臨床心理士も公認心理師も持っていない、あくまで別の仕事から学んでいる方であるということです。
こういった方々が学んでいけば面接ができるようになっていく、トレーニングで良い面接ができるようになっていく、ということはとても大事です。そのことを証明したいとも思います。千葉支部は全体の3割程度が臨床心理士であとは全員心理系の大学を出ていない方で構成しています。それぞれがお互いに学びあって、臨床心理士の方もそうでない方もみんながブリーフセラピーを使えるようになっていく、それぞれの現場で良い使い方ができていくことを目指しているのです。
なので千葉支部では「臨床心理士」「公認心理師」の資格を持っている方が出ても良い面接をするし、そうでない方も良い面接をすることを証明し続けることができれば嬉しいです。

まあ、学ぶ人がバックグラウンドに関わりなく良い面接ができるようにって当たり前なんですが、結構難しいんです・・・。

シングル・セッション・セラピー講演動画視聴

2日目には目次にある、シングル・セッション・セラピーの面接場面を参加者全員で視聴しました。その面接内容はここでは書きませんが、とても素晴らしい丁寧で鮮やかな面接でした。一見の価値ありです。
さて、全員で視聴後、この面接をどうみるのか?自分であればどのように進めるのか?といったことが参加者間で話し合いました。
私はこのそれぞれが自分なら、という話を聞けたことも良かったのですが、とっても重要だと思ったことが全員が話す「共通したこと」でした。発表した方々はそれぞれ独自のことも話していたのですが、全員が同じキーワードも話していました。この同じキーワードこそが大事で、それがブリーフセラピーを表していると思うのです。
色々なセラピストの方の面接を見るときに重要なことは、その人独自の方法ではなく、みんなが共通して行なっていることは何かです。
そのことを体感できたことがとても印象的で刺激的でした。

さて、今回はここまでにしたいと思います。
産業領域の方からすると心理療法の学術会議は敷居の高いものかもしれませんが、ブリーフセラピー協会は他とは違う面白い取り組みが多いと思いますので、興味のある方はホームページをご覧になっていただければと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
また次回よろしくお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?