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快医学 其の伍

本日は、温熱療法(ハイパーサーミア)について書いていこう。

快医学の基本理念的な話をすると、
快医学は、「家庭の単位で主婦や旦那さんが家族を守るために簡単に実践できる手技手法」に関しての学びを得ることができると個人的には考えています。

その最たるものが今回のテーマである「温熱療法」です。

温熱療法に関する歴史は古く、人類はなんと古代ギリシャ紀元前5世紀頃から温熱療法を取り入れていたようです。

1960年台から温熱療法に関する研究が進んでおり、私の生まれた年1980年台の論文では、温熱療法に関して「果たして本当に効果はあるのか?」という疑問が拭えないようでした。

時は立ち、2018年に開催されたESHO(欧州ハイパーサーミア学会)における研究論文では、がん患者の悪性腫瘍に対する温熱療法の効果に関する前向き研究の結果が報告されています。

★温熱療法とハイパーサーミアは同意ではなく、
 やや異なる領域での解釈を取っているようです。
・温熱療法:温熱を使用した医療行為ないし代替医療を包括的に指す。
・ハイパーサーミア:がんの悪性腫瘍に対する保険適応治療のこと。

ESHO(欧州ハイパーサーミア学会)における研究論文では、「ハイリスク悪性軟部腫瘍に対するネオアジュバント化学療法における温熱療法併用に関する無作為臨床試験(EORTC 62961-ESHO 95)」の長期成績が発表されました。これは、NATUREなどの一流の科学雑誌に掲載されているほど注目されています。

結果から述べますと、温熱はがん細胞、悪性腫瘍に効果がある。抗がん剤や放射線治療に寄与するという結果が出ている。

研究内容は、シンプルで、化学療法のみを行った患者と、化学療法+温熱療法を行った患者の2通りを比較するというものでした。
化学療法群と化学療法+温熱療法群では、後者の方が生存率が伸びたという報告がなされていました。

日本ハイパーサーミア学会 HP
https://www.jsho.jp/index.php?option=com_content&view=category&id=37&Itemid=182

結果、1960年台より研究が開始された温熱療法は、1980年代の時点で効果がある。という結論が出ています。どうやら、臓器を温めると身体が良くなるらしい、病気が治るらしいという不確かな推測が科学的根拠に基づき証明されたようです。

家庭で温熱療法をやってみよう。

難しいことはない。
身体(臓器)を温めることでその各臓器の持つ効能が身体に良好な影響を与える。特に胸腺などの免疫系に重要な臓器を温めることで、それとそれに関連する臓器の機能向上を図ることができる。結果的に、全身の免疫機能が向上し身体の不調が改善する。
風邪などの症状に対しては、温熱療法を行うことで全身的に発汗し、体温が上がる。風邪などで体温が上がっている時は、自己免疫系の機序で免疫反応により病原体の活動を抑制し、免疫反応を活性させている結果です。身体の自己免疫機能が、病原体と闘うために、身体の体温の設定温度を通常よりも意図的に高値に設定し、病原体を攻撃している。
熱を使って。
解熱剤なんて使ったらダメですよ。
せっかく病原体を自己免疫という素敵な機能を使って退治しようとしているところにそれを解熱剤で強制的にSTOPさせているわけですから。温熱療法は、意図的に免疫機能、臓器の機能向上を図る療法であるといえる。

家庭でできる温熱療法
使用する道具は小ぶりなアイロン、バスタオルのみ。
アイロンで各臓器を温めながら、リンパの走行に沿ってマッサージを行う。効果的に行う上では、リンパ節の場所、リンパの走行などを把握しておく必要があるが、ある程度でよいのかもしれない。本人が気持ちが良いと感じる場所を体がポカポカしてくるまで温める。気持ちよくて寝てしまう程度行うと、免疫機能向上を期待できる。

やり方
まずは仰向けになり、胸腺から頸部、腋窩、鼠経などに存在するリンパ節を温めながら少しほぐします。
先生は詰まった流れを開けるようなイメージで。とおっしゃっていました。リンパ節だけではなく、肝臓、脾臓、腎臓、腸系など体幹部に存在する主要臓器を温めます。
うつ伏せになった後は、下肢の踵部から、下腿ふくらはぎ、鼠経部にかけて温めます。鼠径部には鼠径リンパ節があるためこれもリンパ管自体の流れをよくするために開けておきます。ふくらはぎや大腿には人間の二足歩行を支えるために大きな筋肉が存在していますから、温めながら軽くマッサージすることで全身の血液循環をよくするイメージ。


リンパに関して少し書いている。
リンパは、血管と異なり流れる速度がゆっくりで心臓~血管のようにポンプ機能が備わっていません。そのため、人間が身体を動かすことでリンパの流れは変化します。リンパ管内に流れている物質は血しょうです。血しょうはは、毛細血管の中を通り組織液と循環する事で、全身の細胞に栄養やホルモンを運ぶ役目を持ちます。また、老廃物を回収したり、細胞内の水分量を調節する働きもあります。
すなわち、リンパ管内の血しょうの流れをよくすることは、全身のホルモンバランスや栄養状態、水分量などを整えることに繋がります。
リンパの流れが悪い方に見られる代表的な症状は浮腫です。特に足が腫れてしまうため、指で押すとその押された跡が取れません。そのような症状の方に対しては、リンパ節とリンパの走行に沿ってマッサージ、リラクゼーションを行うと浮腫は軽減します。(一時的にですが)

温熱療法を実施する際は、リンパ節とリンパ管の走行を意識してマッサージするとより効果的です。
アイロンでリンパ節を温めた後リンパ管の走行に沿ってマッサージしながらリンパ液ないし血しょうを流すようなイメージです。


被検者は、体中がポカポカして気持ちが良いし、免疫機能も向上します。温熱療法を行う前後でLETを実施することで各臓器の機能がどのように変化しているかがわかります。

アイロンとバスタオルを使った温熱療法。
体調が悪いときは家庭でも簡単にできる民間療法。

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