片思いはちょっとしたこともうれしい

君(私の名前)がいい


LINEで思いがけない文字を読む。

どういう風の吹き回しなのか、いつもの気まぐれなのか

私がいいと言い出した。

海外にいる彼は追いかけていた女性に振られたのだろうか。それとも

それとも、私を思い出したのだろうか。


とにかく、

思いがけない言葉だった。


しかも、

それだけだと思っていたら

日本に帰ってくるから、会いにいくよっていう。

適当にあしらっていたけれど、

本当に連絡がきた。


朝早く。


空港についた。

今、大阪にいる。

こまごまとLINEをしてくる。

ほんとにどうしたの?


予定があったけれど、わざわざ海外から帰ってきた人に断ることはできない。

しかも、大好きな彼。

会いたいしかない。


久しぶりに見る彼は、

また一段と大人になっていた。

ちょっとだけ、上から目線でものを言う。

たぶん、女心は自分でじっくり観察したうえで理解するタイプなので、

遠慮してたり、我慢してたら、ずっと平行線。

私も素直にならなきゃいけない。

とは、いうものの、彼といて沈黙が多くたってなんとも思わないし、

何を話そうかとも考えない。

私の下手な話も、じっくり考えて答えてくれる。

ちょっとだけクールだけど、どこかやさしいところがたまらなく好きで、

会えば、やっぱり好きだなって実感してしまう。


やさしい目で見てくれる瞬間は、

彼に惚れてる自分がかわいいと思うほど、しあわせだ。


次はいつ会えるんだろう。

会えるはずなんだけど、わからないから

バレンタインのチョコをあげた。

そして、

彼が海外に行ってしまう前、私が引越しの時に彼の分もと買っておいた

目覚まし時計、もう2年も経ったけど、

やっと渡せた。


長い長い片思い。

まだまだ片思い。

だけど、


LINEのあの言葉は、消えない。


そして、


彼は、ずいぶん前に来た私の家まで

ひとりできた。