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カービング馬蹄型小銭入れ完成。

皆様おはよう御座います。
先週土曜日は汗ばむ陽気だったのが翌日日曜は急転直下、身につまされる晩秋気候。
今はヒートテック×こたつの出番で灯油も急いで調達しなければならない状況です。
今年の秋はキャンセルされました、秋キャンです。

令和になってからずっと一年中四季がガッタガタですね、もう令和キャンセルで良いんじゃないですかね。

そんな令キャンの最中、無事に作品が完成しましたので写真と共に綴ります。

カービング工程

先ずは製図と下絵制作から。

下絵を革へ写してラインをカットし。

刻印で叩いて立体感を出していきます。

ここで裏から革を膨らませ、膨らんだ分を革の粉で作ったパテで埋める、パッキングという作業をします。

後は立体感を調整し、毛並みを入れて細部の手直しを経て、カービング工程終了です。


染色工程

先ずは黒から染めていきます。

ひたすら毛並みに沿って染め進めます。

後は目、花、帯、文字を染めて。
染色部分の目止め、濃淡分けて液体ワックス仕上げ。
全体のオイルアップ、ワックス仕上げを経て。

染色工程終了です。(配慮して一部伏せ字にしております。)

準備工程


裁断、漉き、裏打ち、貼り合わせ、減り返し等々を経て、、、

準備工程終了です。


縫製工程


今回は数年前に草木染めした麻糸を使用します。

3本取りを2本に減らし。

蝋を引き直し糸を撚り直して。

糸の仕込み完了です。

後はひたすら駒合わせ縫いという縫い方で進めて。

唐突に完成です。


カービング馬蹄型小銭入れ

表面。

裏面。

カービング面。

全体図。

内装。

ディテール。

写真は以上です。

表面は愛猫のカービング、背面は名入れのカービングにデコレーションカット。

今回はカービング面に使用上での動きもなく負荷が少ないのでパッキング技法で「少し」膨らませてより立体的なカービングに仕上げております。

この少し、というのが難しいところで。

三次元的な立体感はもっと強く出せるのですが、ポケットや鞄に入れて使用する場合は経年変化が妙になる可能性が出てきます。
いくら技術が高く見栄えが良くとも、その後が悪くなるようだと台無しになってしまいます。

染色も同様に、未染色の状態で立体的に見える物に下手に光源を付けた染色をしてしまうと不自然さが出てきます。
なので染色はあくまでカービングを補助するモノ、として行っております。

それと顔料での着色は殆どしない、というのも重要で。
顔料を使ってしまうと革の経年変化が不自然になってしまいます。

永く使う事を想定した「程」という事もカービングと染色の作品には重要です。

オイルアップ、ワックスでの仕上げにも一工夫しておりまして。

カービング部分にはオイルを入れず、周りはしっかりオイルアップし、全体はワックスで表面を保護し、画像では分かりにくいですが今回は眼球と鼻だけを光沢が強くなるように仕上げております。

質感、色味、経年変化を部位によって変える事で、より永く使う事を楽しめるような工夫です。

図案にも自分なりの工夫がありまして。

極リアルな描写の猫と、トラディショナルタトゥーを参考にした引き算された花と帯デザインを混ぜる事で、異なる表現を一つにまとめる、という事を意識して描きました。

愛犬、愛猫等々、ご家族のカービング喜んで張り切って承ります!


そして本体に関しましては、開閉に必要な指掛かりを外装と一体化させる事でスッキリと仕立てて、かつ背面にカービングを入れても見栄え良いようにしました。

外周のマチを裏打ちと漉きで立体的な形状にすることで閉じたときのフィット感をより向上させ、且つ丈夫に仕立てております。

また、今回使用した糸の色がオリーブに黄茶を混ぜたような、形容しにくい中間色で良い塩梅じゃないかと思います。

以上、カービング馬蹄型小銭入れでした。

今回も良いオーダーを有難う御座います!!!!


次は今年最後のメンテナンス&リペア祭りです。

それでは皆様、また会う日まで。


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北崎厚志

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