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藍染めと草木染めと閑清縫いと本物の白鞣しについて

皆様こんにちは。
ここ数日、お風呂に入ると風呂上がりに毎回くしゃみや目の痒みが出ます。
お風呂アレルギーですかね、困りました。

作品が完成し、写真を撮り、スマホに取り込んで画像を選別し画像加工しようとすると毎回3分以内に気絶するように寝落ちしてしまいます。
画像アレルギーですかね、困りました。

そんな困り果てた最中に作品が完成したので写真で綴ります。


下準備

左から、以前に自分で藍染めしたタンニン鞣しのワニ革、未仕上げのワニ革、本物の白鞣し鹿革、です。
ピット槽鞣しのベンズ床革を使い肉盛り用の裏打ち製作。
張り合わせ部分を漉きますが、斜め漉きだと段差が出来るのでS字に漉きます、重要。
正確無比に裁断します。因みに床革は牛の血管跡を避けて使います。

準備工程

ワニ革、鹿革を草木染めで染めて荒裁ちします。
それぞれのパーツを0.3mm〜1mmにベタ漉きします。
それを更にヘリ漉きで0mmへ。
裏打ち、曲げ部分の補強を経て裁断ラインを書きます。
満を持して本裁ち。
更に漉きます。
ただでさえ漉き難い0.3mm厚の鹿革を更にゼロ漉きします。
レザークラフト用の針だと太すぎてお話にならないので、今回は京都のみすや針を使います。
ループ部分をパイピング仕立にします。
裏地も漉きます、漉きまくりです。
藍染めの方は、後から磨けない部分の小端磨きを。
裏地を貼って裁ち直し。
手縫い用のどうぐ道具を削って磨いて仕立てます。
先ずは目打ち。
ディバイダー。
最後は錐の刃です。
縁を鹿革で包んで。
先程仕立てた道具で目打ちして、準備工程終了です。

縫製工程

先ずは左撚りの麻糸を切り出し。
二つ折りにして蝋引きし。
右に撚りを掛けて。
強撚にしながら熱処理を2度繰り返したら終了。
藍染めの方は現行品で最も細かい岩田屋16目で縫います。

そしてなんと、ここで縫製工程の写真を1枚も撮ってない事に気付きましたw
動画はあるんですけどね(汗)

因みにDバックルのヘリが角張ってて手首にも革にも良くないので、当たる部分は全て角を落として磨きました。
2時間近く掛かりました、見た目に分かりにくいですが。

という事情で、縫製工程と小端磨きはすっ飛ばしますが完成です。

藍染ワニ革ウォッチベルト

その1
その2
その3
その4
集合写真
小端と縫い目。
バネ棒穴付近は手を抜かれがちですがキッチリと仕上げます。
裏には花押を押してます。

草木染めワニ革閑清縫いウォッチベルト

その1
その2
こちらも裏に花押を押してます。
2本並べて。
最後は全体集合写真で。

以上となります。
いや〜、思ったより大変で時間も掛かりましたが、何とか形に出来たという所です。
随所に今までに培った技芸と新たなアイデアをギュウギュウに詰め込めております。

藍染めは以前に徳島産くすも藍を使い自分で染めたワニ革です。
草木染めは3種類使っておりますが、そもそも草木染めは染料によって染まり方、媒染の仕方が微妙に違ったりするので、それぞれの色で入念な実験、研究が必要です。

藍染めの方は1.9mm、草木染めの方は1mmピッチで縫っておりますが、一般的な手縫いのピッチは大体3.2〜3.7mmくらいでしょうか。

草木染めの方は閑清縫いという絶滅危惧技法で縫っております。
江戸時代に閑清さんという人が編み出したとされる技法です。
が、厳密に言えば今回のは少しだけ違いがあります。
本物通りに仕立てるとヘリが滅茶苦茶薄くなってしまうので意図的に変えております。
今でもされている方はいらっしゃるようですが、ここまで細かく縫われてはいないです。
江戸〜明治期の技芸に挑戦する為、これだけの為に工具を3つ加工し1mmピッチに挑みました。

個人的にウォッチベルトで重要なのは尾錠とバネ棒のループ部分と裏地の強度です。
ループ部分は時計本体と尾錠の兼ね合いで革を厚く出来ないので弱りやすい、裏地は汗で傷みやすい。

そこで本物の白鞣しの登場です。
今まで触ってきた革の中で、同じ厚みで最強な革はと言われれば白鞣しの鹿革一択です。
引っ張り、摩擦、引き裂き、水、いずれも弱点にならない程の強さなんです。
ところがこの白鞣し、悲しい事に偽物が出回ってます。
本物の白鞣しは日本で一人しか作っておりませんし作れません。
1000年以上続く製法を守り続けて製作されてます、軽い気持ちで名前をパクって良いもんじゃありません。
皆様もうっかり購入されないよう、この場を借りて注意喚起させて頂きます。
言いたいことはまだまだ山程ありますが長くなるので次へ進みます。

既製品のウォッチベルトには定革(ベルトループ)とは別に遊革といって自由に位置を変えれるベルトループが付いてますが、オーダーメイドはジャストの長さで製作しているので遊革は不要なのです。

それと尾錠穴は納品時に一つだけ開けます。
既製品はやたら沢山穴を開けてありますが、あれも強度的には宜しくないのです。

因みに、全て麻糸をしようしており、いずれも摩擦強度を少しでも上げるために裏側のみ縫い目を潰しております。

あ、蛇足です。

キッチリ1mmピッチです。
江戸〜明治期の閑清縫いと比較。
左右のは江戸時代と明治時代の閑清縫いですが、右は約1.4mmピッチ、左は約1.7mmピッチです。
つまり、私の勝ちです(笑)

見た感じでは、これらの閑清縫いの縁取りの革は牛革っぽいんです。
今回の白鞣しの方が摩擦にも曲げにも遥かに強いのでより長持ちするはずです。

では一息付いて次のオーダーの製作に取り掛かりたいと思います。

それでは皆様また会う日まで。

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北崎厚志

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