2時間でざっくりつかむ!中小企業の「システム外注」はじめに読む本まとめ

▼システム発注において気をつけるべき5つの項目
1 システム化するものを構造化する
2 ベンダー選びはお見合い
3 ベンダーごとの強みや専門分野を理解する
4 ベンダーの本性を見極める
5 自社の評価基準を設ける
最後に

1 システム化するものを構造化する

 システム発注をする際、「何をしたいのか」が曖昧な企業や発注担当が多くいます。システムを外注をするということは、既存の自社業務の一部をIT化するということです。となると、自社の現在の業務がどんなもので、どの部署とどの部署で分割して行っているのかなどをもれなく詳細に把握し説明できる必要があります。
 多くの中小企業は「暗黙知」「形式知」という社員の頭の中だけに業務フローが存在している状態に陥り、他社に自分たちの業務を説明できないという状態が多く存在します。当然ですがシステムを発注する人は社外の人となるため、自社のことを十二分にわかった上でないと、有効なシステムの開発は難しいでしょう。他社の人にも自社の業務をわかってもらうため、まず己のことをしっかりと知り、業務フローを資料に落とし込む必要があるのです。

コメント 2020-07-09 133215

(引用:2時間でざっくりつかむ!中小企業の「システム外注」はじめに読む本)

2 ベンダー選びはお見合い

 ベンダー選びはシステム発注の成功において大きなウエイトを占めています。同じ内容を発注したとしてもベンダー次第でできあがる成果物が違うのはいうまでもありません。ベンダーは一旦選ぶと長い付き合いになり、問題があったとしても途中で簡単に別れを告げることはできません。にも関わらず、「提示金額がいちばん安かったから」という理由でベンダーを決めてしまう会社は少なくないでしょう。ベンダーとの関係はシステムが完成して終わり、というものではなく運用保守などを考えれば、途方もなく長い付き合いになります。迂闊に関係解消はできないのです。 
 例えばお見合いでは、家柄や見た目だけで結婚相手を決めることはないでしょう。少なくとも一度会ってフィーリングを確かめてから正式に、というパターンがほとんどで、一度も会わずに決めるという方はいないのではないででしょうか。ベンダーも結婚相手と同じで、何か問題があってもすぐに別れることは不可能で、強引に関係を解消すると慰謝料などダメージが大きいものです。「なんとなく」ではなく、パートナーは多様な視点で選ぶことが重要です。

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(引用:2時間でざっくりつかむ!中小企業の「システム外注」はじめに読む本)

3 ベンダーごとの強みや専門分野を理解する

 IT業界では新しい技術が日々めまぐるしく登場するため、学術界や医学界と同じように専門のタコツボ化が進行しています。それぞれの専門分野がより狭く、より深くなっているのです。技術の進歩によってITで処理できる対象が非常に広くなり、1つの企業では全体をカバーすることが難しくなっているためです。結果として、実はIT業界の中でもベンダーごとに明確な強みを持ち始めています。逆に言えば、ベンダーは得意としない分野の発注を受けることもある、ということです。
 不得手な領域が発注されたときの対策としてベンダーはその分野が得意な他社、他のベンダーに再発注をかけます。こうなると、システム開発はどんどん規模を増し、ベンダーの「連合軍」となります。委託先が増えれば増えるほど、費用が莫大となるだけでなく伝言ゲームのように情報の伝達がおろそかになることで開発スピードの遅れ、情報漏えいにつながってきます。最初から何をしてほしいのかを定義し、その領域に強みがあるベンダーに頼むことがシステム発注成功の近道です。

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(引用:2時間でざっくりつかむ!中小企業の「システム外注」はじめに読む本)

4 ベンダーの本性を見極める

 ベンダーに発注を頼む際、通常それぞれのベンダーと面談を行います。この面談はよいベンダーを見極めるための唯一の手段となります。第一に、この面談は「発注前である」ということが重要です。発注前は、まだ、どのベンダーにするかを見極めている状態のため力関係は対等、もしくは発注者のほうが上といえます。しかし、発注を完了してしまうと発注者とベンダーの力関係が変わり、ベンダーの力が強くなってしまうケースが再見されています。力関係が変動しないうちに本音ベースでコミュニケーションを取っておきましょう。
 システム開発はPMの力量に左右されるためシステム開発を実際に行うPMとも必ず面談を行うようにしましょう。PMと面談をすることで「優秀そうか」だけでなく、この人なら大丈夫そうだ、この人ならまかせたいといった総合的な人間力もチェックするべきです。また、面談の中で「いじわるな質問」をしたときキレイな言葉だけを並べていないか、あえて苦言を呈してくれる人なのか、でベンダーの「誠実さ」も見極めることができるでしょう。

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5 自社の評価基準を設ける

 良いベンダーでここに頼みたいと思っても、衝動的に場当たりな決定をしてはいけません。ベンダー選定を適当に行うと、システム外注プロジェクトは確実の失敗します。先程記載の通り、ベンダー選定はお見合いです。誰かにとっては最高の伴侶でもそれが自分にとっても最高であるわけではありません。「この人は料理が上手」「この人は身長が高い」「この人は高収入」など会う人たびに評価にばらつきが出ては選択肢があればあるほど決められないくなるでしょう。自分にとって何が重要なのか?実現したいことのために優先すべきことはなんなのかを決めることによって、ある程度なにかを諦める、目をつぶることができます。この優先順位に応じてベンダー採点表をつくり各ベンダーの評価をスコア化していけば場当たり的な策定ではなく、一律の基準で外注先を選べるようになるのです。

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最後に

 ベンダーとうまくいかない原因の多くは発注時の選定不足か発注者のスタンスにあります。ここでは発注までにフォーカスして記載をしましたが、システム外注においては発注後も非常に重要です。もしベンダーがゴミのような成果物を出してきたとしたら、それは発注側がゴミを投げつけている可能性が高いです。発注側はベンダーはパートナーだという意識を忘れず正確な伝達を心がけましょう。正確な伝達を実現するためにベンダーとの共通言語である、ある程度の専門用語は必要です。例え発注者がIT系の方でなくても勉強しましょう。
 また、後出しジャンケンやベンダーへの丸投げは厳禁です。後からこれもこれも、とベンダーに依頼するとことは、発注側の要件定義がずさんであったと言っているようなものでありベンダー側の信頼の喪失につながります。ベンダー側は大きくスケジュールを変更せざるおえないため、関係する人たちをデスマーチに追いやってしまう可能性があり、最終的には裁判沙汰となるケースもあります。さらに、要件を丸投げすると、プロジェクトの主導権を奪われ、費用が高くなるだけではなく、ベンダーへの依存度が高くなることで自社ではプロジェクトがどうなっているのかわからない、わからないので頼み続けるしかないというベンダーロックインが完成してしまいます。あくまで要件を定義するのは発注者、ベンダーは「言われたことをやる立場」ということを肝に命じておきましょう。


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