見出し画像

新宿御苑前駅 真鯛と蛤の塩そば

西武新宿駅に着いたのは14時15分。
今日の目的は新宿御苑周辺の散策と写真撮影。
そしてお目当てのお店でランチを取ること。

お店のラストオーダーは14時半。
携帯の時計を見ながら足早に歩き、5分前にお店に着いた。
しかしお店に着いてみると、立て看板に
『本日のランチは終了しました』の貼り紙がされていた。

こんなこともあろうかと、事前に調べていたお店がもう一軒。
さっさと足を右に向けて靖国通りを横切る。
5分ほど歩くと、少し暗めの路地裏にそのお店はまだ営業していた。
お店の前には整列のためのポールが置かれ、普段は行列ができることを
教えてくれた。
明るい店内に入るとカウンターは満席で、
先客が1人、席が空くのを待っていた。
全く運がいい。
自販機に向かい合い、一通り全てのメニューを確認してから、
千円札を一枚入れ、
『真鯛と蛤の塩そば』のボタンを押した。

程なく、3つほど席が空き、店員の方に席に通されて食券を渡す。
コートを脱ぎ、荷物をおいて少しラインのやり取りをしていると、
目線より少し上のカウンターの上に、店員さんの掛け声とともに、
見た目にも品の良いどんぶりが置かれた。
受け皿ごと持ったそれを、自分の目の前に置き、中を覗き込む。
丼の中もまた外見同様、上品な佇まいのラーメンである。

軽い飢餓状態と戦いながらもカメラを取り出し、
1、2、3枚と立て続けに撮り、はやる気を抑えながらバッグに戻す。
左手にレンゲを、右手には箸を持ち、まずはいつものように
スープをひとすくい。
声にならない声が胸の内で広がる。
漫画ではないが、自分の目がキラキラしているのが自分でわかる。
真鯛と蛤の・・とあるが、もうこれはほぼ9割5分以上、蛤のそれ。
例えるなら、蛤の洪水、だ。

蛤だしのラーメンを他店でもいただいたことはある。
特に銀座にあるお店には、何回か通った。
しかし、ここまで蛤の旨味が怒涛の如く押し寄せてくるようなスープは、
未だかつて飲んだことがない。
とにかく 圧倒的 だ。

スープをひとくち、からの麺。。という習慣はどこへいってしまったのか。
夢中で2杯3杯と舌の上に流し込む。
どうやら真鯛は縁の下の力持ちらしい。
蛤の旨味を真鯛のだしがしっかり支えている。

少し落ち着いたところで、今度は麺。
麺は角切りストレートの中細麺で、全粒粉なのか、
蕎麦のような模様が見える。
取り立てて特徴があるようには感じなかったが、ほんの少し柔らかめの
茹で加減が、このスープとのバランスを良くしているように思えた。

具はチャーシューが大小1枚ずつ、白髪ネギ、セリ(もしくは三つ葉?)、
長めの穂先メンマ、2種類のペーストに、
白髪ネギの上にトッピングされたチャーシューを刻んだもの。
大きなチャーシューは豚のもも肉、小さな薄切りのものは鴨だと思われる。
どちらも低温調理のようだ。
鴨が好きなこともあるのだが、とても薄くスライスされているのに、
噛みしめた時の存在感がとてもある。
これは自分でも作ってみたいと思わされた。

2種類のペーストはスープの味変を楽しませてくれた。
茶色い方はどこかで食べたことがある。
一部だがハッキリとわかるこれは、マッシュルームの味。
つい先日いただいたラーメンにもマッシュルームが使われていたのを
思い出した。
今、ラーメン界は静かにキノコブームなのだろうか。
もう一つの醤油のような色合いのものは、揚げ玉ねぎにバルサミコを加えて少し加熱したような味がする。
全てのスープを飲み干した後、ベリーかほおずきの種のようなものが丼の底に残っていたので、恐らくその類のフルーツをペースト仕立てにしたものだろう。

白髪ネギは言うまでもないが、セリのクセになる香りもこのスープと
よく合う。
日本人の慣れ親しんだ味。
このお店の作り手は、そのことを良く心得ているのだろう。

麺を箸で口にひと運び。
スープをレンゲでひとすくい、ふたすくい。
チャーシューをひと口。
また麺を。。

最後にレンゲでは すくいづらい程度に残ったスープを、どんぶりを両手で
抱えあげて飲み干す。

また店内に人が入ってきた。
ラストオーダー前だと言うのに、客足が絶えない。
カウンター内の店員さんに礼を言い、
新宿御苑に向かうべく店をあとにした。

また伺います。
ごちそうさまでした。

画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?