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たとえ記憶には残らなくとも

実家に帰り、昔住んでいた街を車で走る。

高校生の頃に通っていたお店がなくなっていて少し寂しさを覚えたり、新しいおしゃれなカフェができていてこんな場所にもおしゃれなカフェできるんやなぁなんて、ぼーっと窓の外を眺めていた。

車内では妻と母親がぼくの子どもの頃の話をしていたようで、母から「むかしあそこに遊びに行ったの覚えてる?」と聞かれたけど、全く記憶になくて「全然」と答える。

たまに小学生よりも小さな頃の出来事を覚えているか聞かれるけど、正直そのほとんどが記憶にない。

いつも他の人はどうなんだろうと思うのだけど、例えば幼稚園に入る前の記憶とかみんな持っているのだろうか。

妻と母親はまだ喋っているので、自分の1番昔の記憶は何かなと必死に脳の奥の奥を探ってみる。

幼稚園で給食が嫌で嫌で脱走した記憶?
これは多分3歳くらい。

2歳くらいの記憶はどうだろう。

朝起きて、家の中に誰もいなくて怖くて怖くて泣いたことがある。すぐに母がゴミ捨てから帰ってきて抱っこしてくれたけど、当時は何かすごく絶望感みたいなものを感じていた気がする。

多分だけど、これが自分の中にあるいちばん昔の記憶。2歳頃のことは99.9%覚えていないし、1歳より前のことは何も思い出せない。

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娘がこの3月誕生日を迎え、2歳になった。

本当にあっという間で、正直びっくりしている。
おむつを変えるのも終わりが近づいてきてるし、こんなにパパに甘えてくれるのも、他のパパさん曰く残り時間は短いらしい。

娘はわりとのんびり屋さんで、なかなかハイハイは前に進まないし(なぜか後ろに進んでた)、何かに捕まらず1人で立つのも、歩き出すのも、言葉を喋るようになるのもゆっくりめ。

この2年、娘の成長を心配することもあったけど、それでもここ最近は妻が咄嗟には追いつけないくらいすごい勢いで走り出すし、語彙も増えてきて、3日前には急に2語文も話し出してびっくりした。
(ちなみに弟のレイくんがオナラをした時に「れいくん、ぷー!」って言った笑)

1月に弟が生まれ今のところ弟が大好きな娘だけど、少しは寂しい思いもしているかなということで、誕生日は娘がうんと喜ぶことをしようと妻と計画する。

***

娘の最近のマイブームはなんといっても「あんぱん」だ。もちろん食べ物のあんぱんではなく「アンパンマン」のこと。

別にアンパンマンのアニメを見せたりしていたわけではなく、ぼくの母が娘のために買ったアンパンマン柄の袋に入ったスティックパンがよっぽど美味しかったらしく、それ以来アンパンマンのことを大好きになったみたい。(ご飯の前にもかかわらず「あんぱん!あんぱん!」とスティックパンをねだってきて少し困っている)

それからというもの街中でアンパンマンの自販機を見つけたり、他の子がアンパンマンのポーチやぬいぐるみを持っているのを見つけると「あんぱん!あんぱん!」とそれは大きな声でそこにアンパンマンがいることを教えてくれる。

誕生日はアンパンマンのぬいぐるみとかがいいかなぁなんて考えていると、妻がホテルオークラ神戸に「アンパンマンスイートルーム」なるものがあると教えてくれた。
公式サイトを見てみると、部屋中アンパンマンだらけで、お風呂も、トイレも、寝室にもアンパンマンの絵が壁に描かれていたり、アンパンマンのおもちゃもあるみたい。

これは喜んでくれそうと思って予約をしようにも、数ヶ月先まで空室はなし。
今回は諦めた方がいいかなって思っていたけれど、たまたまサイトを見てみるとキャンセルが出たのか娘の誕生日付近で1日だけ枠が空いていた。
早速予約して、1泊2日のアンパンマンづくしの誕生日祝いにすることにした。

***

旅行の当日。

娘には「今からあんぱんに会いに行くで〜」と伝えて朝から車で神戸に向かう。ホテルのチェックインには時間があったから近くのumieでランチを食べたり、トイザらスに行ったりした。

トイザらスの中で娘がアンパンマンのぬいぐるみを見つけて、また「あんぱん!あんぱん!」と叫んで持って帰ろうとする。これからアンパンに会えるんやでと伝えたら離してくれるかなって思ったけど、全然聞いてくれない。2歳児の意志の強さは半端ない。

そんなこんなで時間になったから、ホテルでチェックインして、アンパンマンスイートルームまで案内してもらう。

かわいい

娘に「あんぱんいるな〜何でやろな〜」とか言いながら部屋に着く。

扉を開けると、そこかしこにアンパンマンのキャラクターが壁に描かれていて、娘のテンションは一気に最高潮に。

「あんぱん!あんぱん!あんぱん!あんぱん!」と叫びまくっている笑
(部屋全体の写真を撮り忘れていた。。気になる人は公式HPを)

バイキンマンもいた
窓にもいる

部屋にはキッズスペースがあり、そこにはアンパンマンの滑り台や車や音が鳴るおもちゃがたくさん置かれており、ホテルのスタッフさんの説明を聞く間もなく早速遊び始めていた。

一通り遊んだ後、ふとリビングに目を向けると、、、

そこには巨大サイズのアンパンマン。

娘よりでかい

それはもう嬉しそうに抱きついていて微笑ましい。

この日は雨が降っていたので、チェックインからずっとお部屋で遊んでいた。初めて遊ぶおもちゃや、大きなアンパンマン、壁に描かれたアンパンマンの絵を見て娘がすごく楽しそうにしていて、妻とこの部屋にしてよかったねと嬉しくなった。

***

このアンパンマンルームには、ホテルから徒歩10分くらいの場所にある「アンパンマンミュージアム」のチケットもついている。

翌日、朝イチで支度してミュージアムへ。

チケットを見せて中に入ると、早速アンパンマンが子どもたちに囲まれていた。娘も恐る恐る近づいて、ハイタッチをしてもらい嬉しそう。

ミュージアムの中は、たくさんの遊び場や仕掛けがあり、娘はそれはもう楽しそうにはしゃぎまくっていた。

こんな感じ
ジャムおじさんをなでなでしてた

ところで、ミュージアムの中には大きな滑り台がある。

初めての場所では基本的にビビる娘なので、今回も最初は娘の手を引いて階段を登り、一緒に滑り台を滑っていたけれど、2回目はなんと自分1人で行くと言い出した。(喋れないので厳密にはパパは来ないでとジェスチャーしていた)

パパがいないとまだまだダメやなぁとか思っていたのに、急に1人で階段をすくすくと登り出す娘。時々振り返ってパパがついてきてないか確認している。

滑り台の上に立ったら怖くなって滑れへんのちゃう、と心配していたけど、自分の滑るレーンを決めたら勢いよく滑り出した。
上手に着地して、嬉しそうに近づいてくる。
「1人で滑れてすごいやん!!!」と娘を抱きしめたけど、なんか、急に寂しさが込み上げてきて泣きそうになった。

***

その後はショーを見たり、アンパンマンと写真を撮ったり、1日中ミュージアムで遊んで帰路につく。さすがに遊び疲れたのか、娘は車に乗った瞬間から家に着くまで爆睡していた。


娘が大人になった時、きっとこの日のことは覚えていない。

それでも、いい。

ぼくは帰りの車でこの幸せな2日間を噛み締めていた。

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