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10分の道を、40分かけて歩く。

晴れた日の朝、ぼくはもうすぐ2歳の娘と最寄りの駅まで散歩する。
これまではもっぱら公園がメインだったけど、だいぶしっかりと歩けるようになってきたので少し遠い駅まで娘と歩いてみることにした。

大人の自分が歩いたら家から駅まで10分くらい。でも、娘と歩くと冗談抜きに40分くらいかかってしまう。

3歩歩いては人の家に入ろうとし、10歩進んだかと思えば空飛ぶ飛行機に目を奪われて(たまにそのまま後ろに倒れそうになる笑)、そしたら急に逆向きに歩き出す。

前からおばあちゃんが歩いてくると、娘は立ち止まってじっとおばあちゃんを見つめだす。どうやらおばあちゃんは「かわいいねぇ」と言ってくれることが多いから「かわいいねぇ」待ちをしてるみたいだ笑

***

コーン

そんな娘の最近のお気に入りは「コーン」。工事現場とかに置かれてるアレ。娘はコーンを見つけるとテテテっと走り出し、嬉しそうに叫び出す。

「あか!あか!あお!ぃろ!!!」

あかは赤。あおは青。そして「ぃろ」は「黄色」。

こどもちゃれんじで学んだ色を見つけて、全力でコーンの色を教えてくれるのだ。

娘がこんな調子だから、ついついぼくもコーンを見つけると娘に「コーンあるで!」と言ってしまう。これまで気にも知らなかったけど、家から駅までにコーンは20個くらいあるみたい。

娘と駅までのいつもの道を歩いていると、色んなことに気付かされる。

こんなところに花が咲いていたんだ。
こんなところに段差があったんだ。
こんなところにマンホールがあったんだ。
こんなところにコーンがあったんだ笑

自分ひとりでは気にも留めてこなかったものが確かにここにある。

そして娘は親の自分が視界から排除していたものをどんどん見つけ出し、嬉しそうに触ろうとする。

花は触ったらどんな感じなのか。
段差はどうやったら登れるのか。
マンホールを思いっきり踏んだらどんな音がするのか。
コーンは何色なのか。

娘を抱っこして歩けば、すぐに目的地には着くけれど。
ぼくは娘が気になることを、できるだけ自分の目で見て、手で触って、匂いを嗅いで、体験してほしいから。

明日も10分の道を、40分かけて歩こうと思う。

お気に入りの線路沿い。電車が来るのが待ち遠しい。
電車が来たら嬉しそうに指差す娘。

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