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【自分で選んでよかったこと】試験曲

大学の4年間は、ピアノ漬けの毎日で、充実していた。

卒業を1年後に控えた3年生の2月。
先生から卒業試験の曲を渡された。

いつも先生が選ぶ曲は、私が弾きたいと思っている曲が多かった。
この曲を弾きたいとはっきり先生に言ったことはなかったが、なぜか偶然一致することが多かった。

試験曲を渡される数か月前、先生に「弾きたい曲はある?」と訊かれた。
しかし、余計なことを言って、先生が考えていた曲と違う方にいくのも嫌だった。
「いつも弾きたいと思っている曲を渡されるから」と言い、明確に弾きたい曲を言わなかった。

そして、試験曲を渡された。
そこには、『ラフマニノフ プロコフィエフのソナタ か ショパンのスケルツォ』と書いてあった。
どちらの曲も想定外だった。
私は手が小さいから、ロシアの曲を弾くのは難しいと思っていた。プロコフィエフが候補にあがっていてびっくりした。
それでも、高校3年生の時に、そういえば、ロシアに興味をもったなあというのを思い出し、プロコフィエフを弾くことにした。

プロコフィエフを弾くことになり、卒論もプロコフィエフで書くことにした。ロシアに関することをいろいろ調べ始めた。

プロコフィエフを選んだことで、忘れていたロシア好きを思い出させてくれたのだ。
もし、あの時、ショパンを選んでいたら、ロシア好きを思い出さなかったし、ロシアに旅行にも行かなかっただろうし、住むこともなかったと思う。

逆に、娘のようにかわいがってくださったピアノの先生は、あの時、プロコフィエフを渡さなければ、近所に住んで、レッスンにも通ってきて、ロシアに嫁ぐことはなかっただろうなあと思ったと思う。

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