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メロンパン

夫の初来日は2013年。
その時、日本に来て気に入ったものがある。

それは、セブンイレブンのメロンパン。

夫は、「ロシアには、こんなにおいしいパンはありません。」と言い、毎朝、コンビニに行って、朝ご飯として食べていた。

それから、夫への日本のお土産は、セブンイレブンのメロンパンとなった。

日本から友達や知り合いが来るときも、「旦那さんのお土産は何がいい?」と訊かれたら、必ず「セブンイレブンのメロンパン」と答えていた。
当時100円ちょっとのお土産で安上がりだった。
夫は、故郷に住む日本のアニメ大好きの腹違いの妹にセブンイレブンのメロンパンを食べさせたいのだが、モスクワでも時差があるから、賞味期限ぎりぎりなのに、故郷に住んでいる妹に届くときは、賞味期限が切れてしまうため、まだ、食べさせることができていない。
今では直行便がなくなり、飛行時間も長くなったため、モスクワでも賞味期限が過ぎてしまう。それでも、6月の時は、久しぶりのセブンイレブンのメロンパンを食べたいだろうと思い、買って帰った。

現在の国際情勢、今後の国際情勢を考えると、夫が日本へ行ける日は来ないと思うし、日本に興味がある義母も日本の話をよく訊いてくるが、実際に行くことはできないだろうなあと思っている。故郷に住む腹違いの妹もおそらく、日本へ行くことはないと思う。

そんな時に、メロンパンを自分で作った人がいるのを知った。
そっかあ、セブンイレブンのメロンパンの味を再現できないと思うけれども、自分で作ればいいんだと思った。

ある日、夫にメロンパンの話をしてみた。
私「メロンパンを自分で作った人がいるよ。作ってみようかな。3時間かかるらしいけど。」
夫「(即答で)作らなくていい。」

いつも、ご飯を食べる?と訊いてもなかなか返事をしない夫がこの時の返事は早かった。
私が作るメロンパンを怖がっているようだ。(笑)

私「なんで、作らなくていいの?」
夫「3時間もかかるから。」

なんとか理由を考え出したようだ。

私「日本語のレシピだから、それをロシア語に訳して義理の妹に教えたら、上手に作りそうだよね。」
夫「うん。(即答)」

やはり、私が作るメロンパンを怖がっているようだ。

我が家のオーブンは、掃除好きの義母がピカピカに磨き、温度表示がすべて消えてしまっている。

そのため、私は、今までオーブンを使うのを控えていた。
日本にいた時は、デジタルで温度と時間も表示されるし、予熱無しも予熱有りも自動で設定できた。だから、使っていたのだが、我が家のは、ダイヤルを回すだけで、いろんな機能はない。ましてや、表示も消えている。

それで思いついたのは、ロシアのサイトで同じオーブンの温度表示が書かれていないか、夫に検索してもらうことにした。
夫が検索して、図を見つけてくれた。

これが、あれば、大丈夫だと思ったのが、注意深く見ないとだめだった。

まず、温度表示と火の位置のダイヤルが、図と我が家のと逆だった。
我が家のは、左が温度で、右が火の位置。

使う直前まで、左右逆に思っていた私。夫が反対だと言ってくれたため、温度と火の位置のダイヤルは分かった。

それから、生地を作って、発酵させてと作り始めてみた。写真を撮っている余裕はなかったので、ない。
レシピを見ると、発酵機能付きのオーブンで何度で何分と書いてあるが、もちろん、我が家のオーブンに発酵機能なんてものはついていない。
セントラルヒーティングで冬でも室内は暖かいから何とかなるかと思いきや、室温で35~40度になる場所はない。それなら、セントラルヒーティングの上に直接置くことにすればいいのではと思い、お風呂場にあるお湯が通っている鉄のパイプの上に置いてみた。40分後、見に行ったら、入れ物が冷たい。なぜと思ったら、細いパイプにはお湯が通っていなくて、冷たかった。太いパイプの上において、もう1度。それでも、不安定な位置だから、高いところだし、落ちたらやばい。
次に、部屋のセントラルヒーティングの温風が出てくる上に置いてみる。すると、発酵が少しすすんだ。
最終発酵の時は、オーブンを一番低い温度で少しつけて、その後火を消し、オーブンの中に入れておけば、35度くらいの温度を保つような気がして、そうやってみた。それは、予想通りいい感じで発酵がすすんだ。

やっと写真を撮る余裕ができた。

あとは、12分ほど、オーブンで焼くのみ。
先ほど気づいた温度と火のダイヤルを確認して、180度に設定する。適当に10分ほど予熱して、メロンパンを投入。
9分くらいたったときに、オーブンを開けてみたら、なんと、焦げていた。

え!焦げちゃったと夫に言ったら、ダイヤルをどこに合わせたの?と訊かれた。
すると、私は、200度に合わせていたらしい。
夫が教えてくれた温度表示の図を見てその通りにしたのに、温度が違ったらしい。

夫にもう一度聞くと、ダイヤル部分に温度が表示されているから、7時の位置が180度ではなく、スタート時に7時の部分にあったものが、12時の位置に行くとその温度に設定される仕組みらしい。
だから、私は180度と思っていたけれども、実は、200度だったらしい。
そりゃあ、焦げるわね。
焼くときに、念のために夫を呼べばよかった。

見た目は、焦げパンになったメロンパン。
食べてみたら、表面は焦げているけれども、中はやわらかくておいしかった。

義母にも「温度設定を間違って焦げたけれども、メロンパンを作った」と話すと、「材料は何を使ったの?」と訊かれた。
「小麦粉、砂糖、塩、バター、卵、イースト」というと、「普通だね」と。
一口食べてみたら、「おいしい」と言って、丸ごと食べると言い出した。
「メロンパンだけど、メロンは入っていないよ。見た目がメロンみたいだからメロンパンというよ。」と話すと、「へえ、おもしろい」と言って、お茶と一緒にメロンパンを食べていた。しかし、メロンパンとは言わず、「焦げパン」と言って食べていた。まあ、そういう民話があるから、すぐに「焦げパン」は何かが分かった。
夜、2個残っていたが、1つを半分に切り、さらに食べていた。よほど気に入ったらしい。

私がメロンパンを作った日は、偶然にも、夫の名の日だった。そんなことをすっかり忘れて作ったのだが、義母は、「夫の名の日だから作ったのね」と言っていた。もちろん、本人はロシア正教が嫌いだから、名の日のお祝いとか言われても嫌がるだけなんだけど。

夫が日本に来た時も、セブンイレブンのメロンパンに感動していたが、義母もメロンパンが気に入ったようだ。私が思うに、ロシアでメロンパンを作って販売したら、ものすごく売れると思う。それほど、ロシア人好みのパンだと思う。
そもそも日本にメロンパンを伝えたのは、アルメニア人だし、なぜ、ロシアにメロンパンがないのか不思議なくらいだ。

オーブンの温度表示をやっと理解したところで、まだ、材料も残っているし、また作ろうと思う。

ちなみに、私が試したレシピはこちら。

発酵に時間がかかると思い、パン生地とクッキー生地を作る順番を逆にした。

そうそう、日本には、薄力粉と強力粉があるが、ロシアでは少し違う。
強力粉は、パンを焼くときに日本でも使うから、ロシアで売られているパンのための小麦粉が強力粉と同じようなものだと思う。
一方、薄力粉は、和露辞典には、「слабная мука」とあるのだが、夫は「初耳だ」と言った。義理の妹に聞いても「知らない」という。おそらく、薄力粉はないような気がした。
それで、クッキーの部分をブリヌイ用の小麦粉にした。しかし、義理の妹はクッキーを作った時にパン用の小麦粉、強力粉で作ったという。ブリヌイ用の小麦粉はブリヌイがおいしく焼けるように、小麦粉だけでなく、砂糖や、イースト、塩などいろいろ入っていると以前義母が言っていた。砂糖が入っていたから、余計に焦げた気もする。
次のリベンジは、クッキー部分の記事もパン用の小麦粉で作ってみようと思う。

メロンパン作りについて書いただけなのだが、3000字も超えてしまった。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。

【11月28日の過去記事】


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