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夏だ!アンスティチュ・フランセのヴァカンス映画特集へ行こう!

こんにちは、チェ・ブンブンです。

昨日、アンスティチュ・フランセ夏の映画特集が発表されました。今年はズバリ、《ヴァカンス映画特集》!

6/8(土)から渋谷ユーロスペースで、ヴァカンス映画の新鋭ギョーム・ブラック『7月の物語』が公開されることを記念して、アンスティチュ・フランセ東京では6/7(金)〜7/14(日)にかけてヴァカンス映画が開催されます。

残念ながら、『アデル、ブルーは熱い色』のアブデラティフ・ケシシュがパルムドールを投げ売って作ったヴァカンス映画『Mektoub, My love: Canto Uno』(現在カンヌ国際映画祭のコンペティションで上映されている『Mektoub, My Love: Intermezz』は続編)の上映は叶いませんでしたが(公式サイトを見ると後日作品追加発表されるとのこと。そこに期待!)、魅力的なラインナップとなっていたので、軽く紹介していこうと思います。というよりかは、ブンブンの雑記帳です。

アンスティチュ・フランセサイト

1.宝島(ギヨーム・ブラック、2018年)※日本初上映

揺れたり震えたりした線で
丁寧 丁寧 丁寧に描くと決めていたよ

今回の特集最大の目玉が降臨しました。本作はカイエ・デュ・シネマベストテン2018にて10位に輝いたギョーム・ブラック監督のドキュメンタリー。『7月の物語』とは対の関係にあり、どちらもエリック・ロメールのヴァカンス映画『友達の恋人』のロケ地であるセルジー・ポントワーズを舞台にしています。ギョーム・ブラックは『女っ気なし』で、ジャック・ロジェ的情けない男のヴァカンス喜劇を完全にコピーしていました。個人的に、『女っ気なし』や『遭難者』ではエリック・ロメール的会話によって人生の教訓を観客の心の奥に差し込むスタイルは踏襲できていなかった。しかしながら、あらすじを読む限り、ヴァカンスの持つ現実逃避の側面、童心に舞い戻る感情を捉えた極めてロメール的映画になっているようです。

2.日曜日の人々(エドガー・G・ウルマー クルト・シオドマーク ロバート・シオドマーク フレッド・ジンネマン、1930年)

古(いにしえ)のヴァカンス映画。世界恐慌直前のベルリンのとある日曜日をセミドキュメンタリーで描いた作品。ヴァカンス映画とは、その国その当時のライフスタイルの片鱗を観ることができる。約100年前のドイツのヴァカンスにタイムスリップしてみませんか?

3.ピクニック(ジャン・ルノワール、1936年)

清く尊いブランコのシーンで有名なジャン・ルノワールのヴァカンス映画。フランスのヴァカンス映画は、海や草原といった自然がよく登場する。汚れなき空気感で描かれる人間に、癒される。本作は、エリック・ロメール映画のルーツとも言える、ヴァカンス先でのつかのまの恋を描いた作品だ。


4.簪(清水宏、1941年)

『有りがたうさん』の清水宏監督のヴァカンス映画が登場。見慣れない漢字がタイトルとなっているのですが、《かんざし》と読みます。井伏鱒二原作『四つの湯槽』を元に、夏休みに温泉へ集まった男女の恋を描いている作品。本作は日本初のトーキー映画『マダムと女房』で採用されたサウンドシステム土橋式フォーンが採用されている作品なんだとか。音響のことはよくわかりませんですが、ブンブン非常に気になります。

5.ぼくの伯父さんの休暇(ジャック・タチ、1953年)

『ぼくの伯父さん』シリーズの1本。ジャック・タチ演じるユロ氏が、ワンコに追いかけられたり、爆竹に驚いたり、リュミエール兄弟のサイレント映画のようなコミカルさで観客に笑いをお届けるする。Mr.ビーンと比べると、ユロ氏はただ歩いているだけだったりします。犬も歩けば棒にあたるように、ユロ氏が歩くことで笑神様が天から降りてくる。そんな作品です。

6.夏の妹(大島渚、1972年)

『戦場のメリークリスマス』の大島渚もヴァカンス映画を撮っていたことご存知だろうか?とはいえ、本作は大島渚の戦後沖縄に対する想いが語られているとのこと。栗田ひろみがアイドルのように尊いと小耳に挟んだので観てみたい作品だ。


7.緑の光線(エリック・ロメール、1986年)

上映環境によって、ラストの緑の光線が見えたり見えなかったりすることで有名なエリック・ロメールの代表作。恋に恋する女性のヴァカンスは、楽しいようで孤独だ。こんな心地よい旅をイイ男と過ごせたらなぁと恋い焦がれる女性を描いた作品だ。実はヴァカンス映画好きなブンブンですが、エリック・ロメールとは相性が悪い。意外と『海辺のポーリーヌ』もそこまで嵌らなかったりする。『緑の光線』は高校生の時に背伸びして観て、訳がわからなかった思い出があります。これを機会にリベンジしたいところ。

8.夏物語(エリック・ロメール、1996年)

ヴァカンスで恋人を待とうとするのだが、クレープ屋の女の子についつい手を出してしまうエリック・ロメールの作品。エリック・ロメールファンの知り合い曰く、本作がベストロメール映画なんだとか。先ほど、TSUTAYA渋谷店でVHSを借りてきたのでこれは家で確認しようと思います。

9.憂鬱な楽園(侯孝賢、1997年)

ホウ・シャオシェンのロードムービー。撮影が難航するものの、日本からの出資でなんとか完成させた作品で『好男好女』でカンヌに行った際の高捷、林強、伊能静の三角関係を基にした話なんだとか。


10.ミシュカ(ジャン=フランソワ・ステヴナン、2002年)

『ジェヴォーダンの獣』や『リミッツ・オブ・コントロール』に出演していたジャン=フランソワ・ステヴナン監督作。サービスエリアに置き去りにされた老人と、彼を拾った看護人のロードムービー。これは観たい!


11.私たちの好きな八月(ミゲル・ゴメス、2008年)

去年、MUBIにて配信されていたミゲル・ゴメス監督作。ポルトガルの田舎町の音楽フェスティバルを撮影したドキュメンタリーだと思っていたら、恋愛ドラマが始まる。ユニークな作品。突然、停電でライブが中断したりするドキュメンタリー映画ならではの偶発的出来事を物語に組み込もうとしていく過程が面白い作品だ。

12.湖の見知らぬ男(アラン・ギロディー、2013年)

毎回ハードコアなエロ描写につき、日本ではアンスティチュ・フランセの特集上映でしかお目にかかることのできないアラン・ギロディー監督が撮ったヴァカンス映画。話は同性愛者の楽園である湖で、殺人事件が発生。とある男に恋したフランクは、ひょっとしてその男が殺人したのではないかと猜疑心を抱くというもの。アラン・ギロディー監督自身が同性愛者ということもあり、目線と空間を使った愛表現が非常に上手い。男が情事に励む際、人目を逃れるかのように森という闇に消える。森はブラックボックスで、人の欲望が蠢いている。湖が光り輝く美しさを放っているだけに、森が強調され、人間の心の暗部、大事な人以外には知られてはいけない心を見事に象徴させています。危ないヴァカンス映画を楽しみたい方は是非!

13.ほとりの朔子(深田晃司、2013年)

日本を代表とするアート映画作家深田晃司監督作。大学受験を失敗し、モラトリアム状態になってしまった女性を二階堂ふみが好演しています。ヴァカンスの持つ魔力を引き出す演出が素晴らしい一本。

14.若き詩人(ダミアン・マニヴェル、2014年)

昨年、『泳ぎすぎた夜』『パーク』で話題となったダミアン・マニヴェル監督長編デビュー作。配給が、映画情報サイトIndieTokyoということもありDVD化されていない為幻となっていたのだが、今回このヴァカンス映画特集に降臨しました。詩人がアイデアを貰うために旅先でもがくという内容。ブンブンも物書き故、シンパシーを感じそうな作品です。

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