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難問:「好きな映画を教えてください」に回答してみた

こんにちは、チェ・ブンブンです。

映画ファンの間におけるフェルマーの最終定理ともいえよう難問「好きな映画を教えてください」「あなたの人生の1番を教えてください」。この問いは定期的にX(旧:Twitter)で話題となり、活発な議論が行われる。私も、人生の折々でこの問題と対峙した。シチュエーションは多岐に渡る。会社での自己紹介、ライトな映画オフ会からシネフィルの集まりなど。オールタイムベストは誰しもだいたい一意に定まっているだろう。しかし、いざこの手の話題が振られた時の正解はシチュエーションによって変わるのではないだろうか?今回は、この難問における解を検討していく。

一般人か映画ファンかで分岐が発生する

まず重要なのは、会社などといった一般人との対話で発生している質問なのか、映画好きという共通認識がある状態での質問なのかで大きく回答がことなるところであろう。

1.一般人は「好きな映画」を知りたいわけではない

会社のような一般人との対話において、「好きな映画を教えてください」「あなたの人生の1番を教えてください」はあくまで会話のきっかけである。「好きな映画」を知りたいわけではない。雑談や飲み会といった空間で、無の空間が生まれないようにしているだけである。軽く雑談ができればいいので、「~監督の〇〇」といった専門的な話は、ついていけず相手が困惑する可能性が高い。

映画も金曜ロードショーで放送されていたり、一般常識として知られているような作品から離れると、会話が広がらない危険性がある。誰もがバラエティ番組の司会者のように、全く知らない、あまり興味のない話を広げられるスキルを持っているわけではないのである。

また、たとえ相手が自分の受け答えに反応し、映画の話が分かる人だと分かったとしても深追いは危険である。映画だけでなく、ゲームやVTuberなど趣味の話を深堀りされるのを嫌がる人が一定層いる。特に、コロナ禍になってからパブリックとプライベートを分けて、領域内に入ってくる者を拒む20~30代が多いなと感じる。

つまり映画に興味ありそうだからと「最近、なにを観ましたか?」と訊くのは、悪手な可能性があるのだ。もし、相手が映画のタイトルを口ごもって言わなかったら「あなたにはこの領域に踏み入れてほしくない」という意味なので、話題を変えたほうが良い。

別の領域ではあるが、私は大きな失敗をしたことがある。広告代理店に入社した時に、親睦を深めようといろんな人に話しかけていた。その時に、「にじさんじ」好きの女性社員がいたので、「私もVTuber好きですよ、推しは誰ですか?オリバー・エバンスですか!最近、犬山たまきさんとコラボしてましたよね。」とドライブ感ある会話をしたらドン引かれてしまった。VTuberは最近、市民権を得たように思えるが、推し活界隈なので、人に推しを簡単に開示して話したくない(要は軽々しく会話の肴にされたくない)と思う人が結構多いので要注意だ。

2.映画ファンの集まりにおける正解とは?

では、映画ファンの集まりにおける正解はなんだろうか?これもまた、層によって異なるだろう。ライト層なのであれば、その集まりのニーズにあった映画を答えるのが吉である。配信で観られないような作品はマウントになる可能性がある。シネフィルの集まりであれば、何を答えても大丈夫な気がするが、会を楽しいものにするためのフックを見据えた語りでいくと上手くいく。まさしく、内なる好きな総菜発表ドラゴンを召喚するのである。ジャンル+例(最近観た映画orオールタイムベスト)で語ると良いだろう。

私の場合、「家侵入ものが好きです。最近だと『レッド・ロケット』が好きです。」と答える。あくまで、親睦を深め情報交換をする場なので下手にカッコつけてはいけない。シネフィルは数言話せば大体、相手がどんな映画が好きで、どれくらいマニアかが分かってしまう生き物だからだ。だから、自分の好きなジャンルを言っておいて、オススメしてもらえる土壌を作ることが重要だといえよう。

3.コミュ強集まりでは珍品を

ここまで聞くと、シネフィル以外の場ではメジャー映画を挙げておくのがセオリーだと思うだろう。しかし、この問いの本質は「有意義な時間になるか(あるいは虚無の刻に陥らないか)」なので、面白い紹介ができるのなら謎の映画で語っても大丈夫だ。

たとえば、自分の場合、上映時間8時間のフィリピン映画『痛ましき謎への子守唄』を挙げることがある。まず、8時間の映画が存在することに興味を持ってもらえる。そして、中身が意外と『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に近い作品だと話すとバイブスが上がるのである。特にコミュ強、パリピの集団でこれらの問いに答えるのであれば、鑑賞困難な作品でも語りがよければ受け入れてもらえるであろう。

最後に

このように考えれば、意外と簡単な問題のように思える。円滑な会話になるように、自分のデッキから映画を選べばいいだけなのだ。裏を返せば、「好きな映画なんて選べない」みたいに相手の投げたボールを捨ててしまうような回答だったり、剛速球で打ち返して相手にぶつけてしまうようなマウント仕草は好感度が下がる。これを気を付ければ、この難問から解放されることだろう。


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