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2022年8月観て良かったYouTube動画

こんばんは、チェ・ブンブンです。

8月に視聴してよかったYouTube動画を紹介します。

1.ヒカキンさんって1年間に何回、首折ってるの?(おめがシスターズ)

おめがシスターズの動画は、かつての「トリビアの種」を彷彿とさせる。「トリビアの種」とは2000年代を代表とする番組「トリビアの泉」の一つのコーナーであり、小学生とドッヂボールをさせるために海外からSPを呼んだり、血統書付きの猫10匹がお見合いパーティーをやった時、同じ種類の猫同士がカップルになるのは10組中何組かを検証するために日本獣医師会に取材をしたりとしょうもないアイデアに対して大掛かりなロケ・取材をおこなっていた。予算がまだ潤沢だった頃の尖った番組であった。

今や、その役割はYouTuberへと引き継がれている。中でもVTuberである「おめがシスターズ」は、馬鹿げたアイデアを形にする天才である。

今回はHIKAKINさんの動画における定番SEである骨折音を集計するもの。おめがレイさんが、SEの音を収集するツールを探す。しかし、存在しないことが分かった。元プログラマーである彼女はツールを作ろうとするができなかった。しかし、動画はそこで終わらない。作れる人に外注したのである。

「ヒカキンさんって1年間に何回、首折ってるの?」より引用

専用ツールを使って調査が始まるのだが、いきなり研究者が使うような「類似度データ」の解説を行うのだ。これが非常に分かりやすい。沢山あって困惑するようなデータセットを嬉々としながら解説するレイさんと、視聴者の反応を代弁するリオさんの掛け合いにより、衝撃のHIKAKIN骨折データが語られる。本来であればテレビ番組がやるべきことを、おめシスとエンジニアだけでやり遂げてしまう。このパワフルさにノックアウトされました。

2.LET’S GO !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! #shorts(さなちゃんねる)

今月は、名取さなさんの動画が総じてハイレベルであり、毎回腹筋が崩壊するレベルに笑った。名取さなさんは、超雑技巧のトークと身体表象が特徴的で、8月の雑談配信では「ハリーポッターソシャゲにありがちなこと」をテーマに1時間近く高解像度なハリーポッタートークを繰り広げていた(賢者の石の使い道に涙が出た)。また、周防パトラ生誕祭ではでびでび・でびる氏と可愛らしくも滑稽な動きで周防パトラさんの宴を盛り上げていた。

さて、そんな彼女の芸が鮮やかに決まったのがこのshorts動画だ。

スタイロフォンでシーザーズの"Jerk It Out"鳴らす男が、突然「Let's Go!」と叫び荒ぶりながら原曲を流すミームを、名取さなさんの楽曲「モンダイナイトリッパー!」で再現したもの。

「LET’S GO !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! #shorts」より引用

縦長の画面の中心にスタイロフォンを配置し、彼女の目線と手で集中線を作る絵画的構図は、アニメとして作り込まれたように思わせる。しかし、彼女が「Let's Go!」と叫ぶと、「ぽんぽこさん」と「さえきやひろ」と共に踊り狂う。この人間味溢れる動きは明らかにフルトラッキングされた生の動きである。元の動画にはない、「作り込まれたアニメだと思っていたら実はフルトラッキングの動きであった」驚きを与えてくれる。

そして、「モンダイナイトリッパー!」の高揚感を10秒で紹介するMVのPVとしても機能している。恐るべし!

3.【ドッキリ】昆虫採り中に目の前でカブトムシ食べてみた!!!(ぽんぽこちゃんねる)

TOKYO IDOL FESTIVAL 2022に出場することになった甲賀流忍者!ぽんぽこさんの別の姿「ガチ恋ぽんぽこ」。ガチ恋ぽんぽこさんと言えば、激辛料理や昆虫食に挑戦するときにゲスト出演する傾向がある。ただ、まさか新衣装お披露目動画でカブトムシを食べるとは、我々の想像の斜め上を行く出来事であった。

そしてその内容が攻めている。ぽんぽこさんが相方ピーナッツくんと一緒にカブトムシを採取しに行く。そこで、ぽんぽこさんはドッキリを仕掛ける。なんと、木に止まっているカブトムシを、その場で食べ始めるのだ。事前に昆虫食のカブトムシを木に設置し、ピーナッツくんを驚かしつつ、ガチ恋ぽんぽこさんに入れ替わり新衣装を紹介する。

カブトムシを間髪入れずに、ボリボリと食べ始める狂気と新衣装の可愛らしさに、視聴者もピーナッツくん同様、困惑することでしょう。尚、サムネのインパクトも凄まじいものとなっている。

4.EQUALINE - RTA in Japan Summer 2022(RTA in Japan)

8月に開催されたゲームの祭典RTA in Japan 2022 Summer。今回も超絶技巧のゲームプレイと面白い語りを満喫したのだが、その中でダントツに素晴らしかったのはEQUALINE回でした。

詳しくは、既に記事にしている下記を参照していただけたらと思います。

5.【デカボイス】声で操作、これで捜査! #なとリゼ 【リゼ・ヘルエスタ/名取さな】(さなちゃんねる)

ゲーム実況配信は、配信者のアクションによってゲームが思わぬ反応をする即興的なやり取りが生み出す面白さに魅力が隠されている。名取さなさんが、リゼ・ヘルエスタさんと共に音声操作で事件を解決する「デカボイス」の配信がとても面白かった。

なかなか思うように主人公が動かない中、二人があーでもない、こーでもないと言葉をチョイスしていく姿は笑いと癒しを与えてくれる。そして、終盤30分。ゲーム操作に慣れてきたふたりの掛け合いとファム・ファタールな女性との心理戦は壮絶なものへと発展していく。色仕掛けで尋問していくターゲット。「カジノは好きなの?」と訊かれると、「ソシャゲのガチャなら回します」とボケをかます名取さなさん。ゲームは音声を認識してくれないかと思いきや、彼女の内容を理解して駆け引きが続行する。ただ、クイズが非常に難しく、お助けキャラは何故か彼女たちの音声に反応してくれず絶体絶命な状況になる。視聴者が助け船を出して、間一髪、窮地を脱する展開は映画さながら。映画館で観客の応援がリアルタイムに映画の内容に影響し、その場限りの物語が生み出される感動を与えてくれた。

6.PCこわれた、なおせ【でびでび・でびる/にじさんじ】(でびでび・でびる)

この日、でびでび・でびる氏は「あくまーじゃん」という麻雀企画を予定していた。しかし、PCが動かなくなってしまった。急遽、配信を切り替え、視聴者と共にPCを直す回が行われた。黒い画面に、でびでび・でびる氏が情報を書き込み、視聴者がトラブルシューティングの手を貸す。しかし、なかなか上手く行かない。そこで救世主・社築さんを召喚する。PCに詳しい彼は、でびでび・でびる氏の拙い説明を聞いて、大体の当たりどころをつけ、解決へと導いていく。日頃、エンジニアと非エンジニアの言葉を翻訳して社内調整することの多い私にとってスリリングで胸熱な配信であった。社築さんの技術力の高さに感銘を受けました。ちなみに二人はPCを組み立てるゲームの配信動画をアップしており、これも面白かった。

7.鮫【小原マリアの裏映画100本ノック Vol.010】(小原マリア)

映画系VTuberの中で注目している方がいる。その名は小原マリア氏だ。「小原マリアの裏映画100本」と称してVHS時代の映画を紹介しているのだが、これがマニアックだ。VHS時代の映画といえば『アブノーマル』あたりを思い浮かべるだろう。しかし、小原マリア氏があげるのは『殺人特攻戦車タイガー・シャーク』や『ガキテロT.V.ハラハラハッカー』などFilmarksの常連シネフィルですら観てないどころか、コメント1件もない映画ばかりなのだ。

そして映画の選出のキレも鋭く、サメ映画を中心に紹介している中で田坂具隆の『鮫』を扱い始める。単にあらすじを紹介するだけではなく、小原マリアの感想があり、そして本作が歴としたサメ映画である根拠を2分でまとめ切る手腕。

映画の伝道師として尊敬するVTuberといえよう。

8.フォルゴレが忙しい日のキャンチョメ(ガーリィレコードチャンネル)

ガーリィレコードチャンネルにおけるフェニックス氏のカメラワークは映画業界に欲しいほどのものだ。「金色のガッシュ!!」のキャンチョメに扮した高井さんの行動を収めた動画であるが、空間で集中線を作る構図、異様なロングショット、縦に捉えるキャンチョメの運動と安定して豊かな画を生み出している。中でも、迫り来るキャンチョメに対して、一定の距離を取る鳩の群れの演出は即興的にしてもあまりにドラマティックなものだ。

9.Mr Oizo - Flat beat (Official Video with Flat Eric - 1999 - F Communications)(fcommunications)

cinemas PLUSさんでカンタン・デュピュー記事を書く際の調査に観た動画。カンタン・デュピューが音楽アーティストとして参加した"Flat beat"は、社長室にいるFlat Ericが受話器をスピーカーに当てバイブスを上げるユニークなMVに合わせて、頭に残る電子音が木霊する。キーボードを叩く、ダイヤルを回すといったアクションの楽しさを存分に活かしたMVと言えよう。

10.【#志摩スペイン村】来て!【周央サンゴ】(周央サンゴ)

にじさんじライバーである周央サンゴさんの切り抜き動画がTwitterでバズり、一躍有名となった志摩スペイン村。志摩スペイン村のその後のアクションは、広告戦略の重要な例として語り継がれるであろう。8月に入るとYouTubeで広告を出すようになった志摩スペイン村は、遂に周央サンゴさんとタイアップして紹介動画を作った。

園内を貸し切り、周央サンゴさんをおもてなしする。優勝確定BGMと開演の音から動画は魅せていく。広場に集まる着ぐるみたち。ここで周央サンゴさんの話芸が発揮される。興奮しながら、たくさん現れた着ぐるみの言葉を同時翻訳し始めるのだ。この語りは、思わず目の前にいる着ぐるみが話しているかのような錯覚を与える。着ぐるみたちの身体表象を的確に翻訳することで生み出される空気感である。そんな語りの中で、フレームの横からコミカルに登場する仲間たち。それを的確にフレームに捉えていくカメラワーク。

もはやバラエティ番組に匹敵するクオリティである。園内の見所を、マクロとミクロの視点から余すことなく捉えていき、のどかな遊園地とは裏腹にトンデモない動きをするジェットコースターを終盤に魅せることで視聴者の心を鷲掴みにする。

志摩スペイン村に行きたくなるPR動画であった。

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