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RTA in Japan Summer 2022神回10選

こんばんは、チェ・ブンブンです。

先日、ゲームの祭典RTA in Japan Summer 2022が開催されました。RTAとはゲームをいかに早く走れるのかを競うもの。「スーパーマリオブラザーズ」といったレトロゲームから「Ghostwire: Tokyo」といった最近のゲームまでバラエティ豊かな走りが観られる祭りである。

夏休み後半は、毎日のようにRTAを観ました。今回も面白い走りをたくさん観測したので紹介していく。

1.EQUALINE

今回のRTA in Japanの中で最も面白かったのは算数パズルゲーム「EQUALINE」だ。

走者のSKB(@superkuppabros)さんが優しく丁寧な口調で語り始める。3×3のマスに描かれた数字や記号を組み合わせて指定された数字を作っていくパズルゲームだと説明する。

「俺の方ができるぜ!と言っていただけたらなと思います。」

とSKBさんが言う。すると解説のゆうだい(@yudai_jokegamer)さんが、

「絶対ないと思います。」

とツッコミを入れる。この時点で相当ハードルが上がる。そもそもRTA in Japanは基本的に人間離れした動きが披露されるので、ある程度追っているとどれくらい速いのかは想像できるだろう。

本ゲームの開発者も応援に駆けつけてくれる中で始まる。

3…!!!
2…!!
1…!
スタート!!!

自分が数字と記号を把握するまいに、次々とクリアされていく。「目にも止まらぬ速さ」とはまさしくこのことを差すのだろう。4分30秒ほどで100問を瞬殺していく。

次にミッションをクリアしていくのだが、ステージが進む毎に問題の難易度が飛躍的に上がる。マイナスの掛け算を含む計算。小数点の計算。4桁の数字を作る問題。中には、記号マスが「?」になって分からない問題が現れる。ゆうだいさん曰く、通常は素振りを行い、記号の正体を突き止める必要があるとのこと。しかし、SKBさんは超能力で解いていく。一発で解答に辿り着いてみせるのだ。

彼のスーパープレイに目がいきそうだが、解説のゆうだいさんも凄まじい。爆速で攻略されていくステージを、「EQUALINE」初見の方にも分かりやすく解説していく。ルールだけでなく、攻略方や何が難しいのかまで語るのである。

超絶技巧のプレイ、超絶技巧の解説に感動すら覚える。

これぞRTAの醍醐味だろう。

2.ゾンビ式 英語力蘇生術 ENGLISH OF THE DEAD

毎回RTA in Japanではユニーク枠というのが存在する。今回、意表を突いた企画が「ゾンビ式 英語力蘇生術 ENGLISH OF THE DEAD」RTAであった。このゲームは、英語を「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド」の世界で学んでいくもの。

なんと本作をイギリス人であるPunchy(@Succinct_Punchy)がプレイするのだ。彼にとって「ゾンビ式 英語力蘇生術 ENGLISH OF THE DEAD」は日本語学習ゲームへと早変わり。漢字、ひらがな、カタカナからなる日本語ゾンビを軽やかに倒していく。説明文も解答も英語の問題はサービス問題。ボス戦を瞬殺していく姿にニヤニヤが止まりません。

語学学習ゲームですらRTAになってしまう。そして、海外からも気楽に参戦できる自由さは興味深いものを感じる。

■解説:ねこ(@ckit_22)さん

3.アンシャントロマン 〜Power of Dark Side

某クソゲーハンターのおかげで有名になったRPGゲーム「アンシャントロマン 〜Power of Dark Side」。不協和音、分かりにくい戦闘、大根を極めた演技と香ばしい作品であるが、そこに全力の愛を叩きつける男がいた。

SAS(@sassbu)さんが約3時間にも渡りひたすら語り続ける本RTAは爆笑とアンシャントロマン沼の深淵に引き摺り込む。RPG系のRTAはプレイしたことがないと退屈してしまいがちだ。何をしているのか分からなかったり、ランタイムが長かったりするからだ。しかし、狂気に満ちた彼の語りからは知られざる世界が垣間見える。

海外にも走者がいて、SASさんがプレイ結果を送るとフィードバックが行われ改善に繋げる。毎週のように開催されるアンシャントロマン学会でPDCAが回され、20年以上経った今でも新しい発見があるとのこと。

アンシャントロマンを愛し、アンシャントロマンに愛された男の走りに涙することでしょう。

4.GeoGuessr

ストリートビューから自分の位置を当てるゲームがまさかのRTA競技化!

 全5問からなるこのRTAは、特定厨がどのようにして場所を特定しているのか、そのプロセスを余すことなく教えてくれる。電話番号で都道府県を絞り込む。国道の看板はSSR、団地はURアイテムとし走者の攻略を手助けしてくれる。

周囲に何もない田園地帯。マップ上に道がない絶望的な場所であっても、冷静に仕留めていく走りが面白い。

■走者:Pitman(@Pitman_live)さん
■解説:誰(
@darenandayou)さん

5.スーパーマリオブラザーズ

RTA in Japanの花形「スーパーマリオブラザーズ」

今回は、4人の走者がワープなしで8面×4=32ステージを攻略していく。走者は

1.まんまる(@mammaru339)さん:日本人初のAny%4分57秒を達成。

2.kosmicさん:海外から参加。世界初のwarpless19分切りを達成。ギネスブックにも登録されたレジェンド。

3.nuirapaさん(
@nuirapa457):speedrun.com上でAny%日本人1位4分57秒027を達成。

4.DAI(
@daigame_pota):speedrun.com上でwarpless日本人1位19分01秒を達成。

とトップランナーが集結。面構えが違います。いざスタートすると、F1さながら、全くブレることのない動き。ほとんど同じ動きをする走者のデッドヒートが繰り広げられる。ひとつのミスで、順位が変わる。マシンのように正確に高度な技を決めていくkosmicさんに食らいつく他の走者。全く先の読めぬ手汗握るレース。クッパをぎりぎりのところでファイアで仕留める。華麗で鋭利な走りは、熱い夏をさらに熱くするものがありました。

■解説:核(@kaku52)さん

6.ウッチャンナンチャンの炎のチャレンジャー 電流イライラ棒

RTA in Japan Summer 2022最大のバラエティ番組企画。「第二回イライラ王選手権」。RTA in Japanの常連にして解説/走りのプロフェッショナルが集結し令和のイライラ棒対決が幕開ける。

通常のRTAよりも緊張するらしく「スーパーモンキーボールデラックス」を爆速攻めプレイをしていた、ゆとりん(@M_YTR_FRMK)さんがゆとりのあるプレイをする珍しい光景があったり、本番の魔物。まさかのソフトのバグで思わぬ挙動をしてしまう状況が発生したりと観客も走者のイライラの手触りを抱きながら見守る。

この回は相当気合が入っているようで、ソフトが壊れてもプレイ続行できるよう何本もソフトを用意したとのこと。大型企画だけに自宅観戦でも大いに盛り上がりました。

走者:
1.ミクロン(
@mikurom12)さん
2.ふじくら(
@ppdr2525)さん
3.aKaFuKu(キイ)(
@hidamare)さん
4.Su(cstrakm)(
@cstrakm)さん
5.HIKARU(
@HIKARU_ssbu)さん
6.Cma(
@cma2819)さん
7.ゆとりん(
@M_YTR_FRMK)さん
8.紺空(
@konkuu)さん

解説:
とよまな1(
@Toy0mana)さん

7.ゼルダの伝説

RTA in Japanには一人で解説しながらスーパープレイをしていく走者が必ずいる。「ゼルダの伝説」がその代表であろう。YuaRyuc(りゅうく)(@YuaRyuc)さん一人で解説しながら走る「ゼルダの伝説」。「ゼルダの伝説」は「ゼルダの伝説」でも、難易度が非常に高い「裏ゼルダ」の攻略を50分で行う。狭い空間にひしめきあうモンスターたちを華麗に避けながら、アイテムを回収しつつ、意地悪なトラップを切り抜けていく鮮やかさは芸術的といえる。

気がつけば、アイテム欄をリンクが爆走していくお茶目さもありつつ、目に見えないはずのガノンを超能力で死へ至らしめる。正統派RTAの走りを観ました。

8.Chinatris

ユニークゲーム枠。漢字版テトリスもじぴったんともいえる「Chinatris」は中国のゲームな為、正直漢字と漢字が合体しても、何が起きているのかが分からない。

しかし、漢字に魅せられ、Chinatrisに魅せられた男3+6=9_ミロク(@369syumiyo)さんが嬉々として語りつくす姿を観ていると、プレイしてみたくなる。RTA in Japanでは未知なるゲームの伝道師たちが、このようにユニークなゲームを魅力的に紹介してくれるところも楽しいポイントだ。

これの日本語バージョンが作られないかな。

9.ドルアーガの塔

VTuberである加藤ダム子(@damuko785205)さんによる「ドルアーガの塔」RTAは、走者が面白い枠であった。人生を知り尽くしたような渋い声で始める「ドルアーガの塔」。しかし、危機的状況になると甲高い声で「ヒィ」と叫ぶ。そして、すぐさま素の声に戻る。このギャップが妙に癖になる。ホラーゲームビビり実況のような悲鳴が飛び交うプレイ。次々と押し寄せてくる危機的状況を切り抜けていく。一見危なっかしいプレイに見えるが、よくよく観察すると安定した動きをしており、的確にステージのクリア条件を詠唱していく。

エンターテイメントとして素晴らしい曲芸をみました。秒でYouTubeチャンネルをフォローしました。

なお、加藤ダム子さんは今回の出走に関してnoteで文章を書かれているのですが読ませる哀愁が面白い。

練習室に入ると、とりあえず寒い。
電気はつけられるが、空調スイッチはない。
そもそも脚がびちょびちょだ。
Tシャツの下にエアリズムを着込んでいたが、それでも寒い。
震えながら PCE をセットアップする。
見えづらいが、窓の外のプロジェクターでは Paris Chase が流れていたと思う。
俺は寒さに耐えながら、ドルアーガを頭の中で解説しながらプレイした。
30階あたりで死んだ。
あ~ん。
思わず声がでたが、周りに人はいない。
やつらはセーヌ川で笑っている。
練習室様々だ。
ナイスセーヌ。
何度もお花を摘みながら、会場の様子を伺った。
出番は迫る。
寒さも感じなくなっていた。
俺は無敵だ。
無敵時間Tシャツだけにな。
ガハハ。

RTAinJapan Summer 2022 に PCエンジン版ドルアーガの塔 で出た
(加藤ダム子)

Paris Chase」RTAがバイブスを上げている裏での孤独を細部までユーモラスに語る。どこかアキ・カウリスマキ映画を思わせる哀愁が胸締め付けられる。文才もカンストしている素晴らしい方でした。

10.クレヨンしんちゃん『オラと博士の夏休み』~おわらない七日間の旅~

早朝に開催されたクレヨンしんちゃんゲームのRTAは、常時高速で動く尻が田舎の新聞社の購読者数を増やすために、爆速で日記を集めていく朝から高カロリーなRTAだ。

「クレヨンしんちゃん『オラと博士の夏休み』~おわらない七日間の旅~」自体が荒唐無稽な作品であり、長閑な田舎町を恐竜が闊歩していたり、朝から山盛りデカ唐揚げが陳列されるパーティが開催されたりする。

何よりも、スキップ不可なラジオ体操が開催される。何故、本RTAが早朝に開催されるのか?それは視聴者もしんちゃんたちと共にラジオ体操することを強要するためにある。連日、私のように画面にかじりついている視聴者もいるだろうそんな人の鈍った身体をほぐすのが本RTAの目的である。背後にいるスタッフがラジオ体操の度に集まる一体感。これは番組編成したスタッフのセンスに脱帽である。

なお、走りもほとんどミスがなくワールドレコードペースのスマートな走りが観られ、ゆるくもスピーディな試合を楽しむことができた。

■走者:レバタン(@Rebatan)さん
■解説:るなそる(
@runasoru)さん

最後に…

他にも「スーパーマリオオデッセイ」、「たけしの挑戦状」、「大乱闘スマッシュブラザーズDX(目隠しプレイ)」、「VVVVVV」などといったRTAが面白かった。

RTA in Japan Winter 2022が12/26(月)〜12/31(土)「note place」にて開催されるとのこと。

次はどんな走者がどのような超絶技巧のプレイを魅せてくれるのか楽しみである。

RTA in Japan公式Twitter

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