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『消滅危機世界遺産: 人類が破壊した23の遺跡』感想

こんにちは、チェ・ブンブンです。

世界遺産検定マイスターに向けて、世界遺産が抱える問題や視点をインプットしようと図書館に行った。そこで、見つけた『[ヴィジュアル版]消滅危機世界遺産: 人類が破壊した23の遺跡』が役に立つ代物であった。

本書は、危機遺産が抱える問題を深掘りした内容となっており、その世界遺産の背景はもちろん、2010年代後半以降の問題点にも触れている。そのため、問いや解を作るのに有効な本となっている。実際に、オーバーツーリズムへの回避策や建造物が残っていない場所において3Dモデル、デジタルツインを検討されていることが言及されている。

その中でいくつか、取り上げられる遺産の問題に興味を抱いた。

例えば、2001年3月にタリバンによって破壊されたバーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群。バーミヤンの住人は観光客が戻ってくるように石仏のレプリカ建造に賛成を示すが、数千ドルの費用がかかる問題をどのように解決するかが課題となった。その中で、パスカル・コルヴェールとイコネム社が等身大のホログラムを製作する案を出したとのこと。2019年には引き続き危機遺産として登録継続となったが、遺跡周辺の産業開発による人口増加、警備員不足、気候変動による影響で危機的状況となっている。石仏破壊後、有識者や関係者によって保護されてきたかと思いきや、そこに都市開発問題が忍び寄っている。これは意外だと感じる。

また、遺産保護の関係で生じる闇としてトルコのハサンケイフがある。これは世界遺産に登録されなかったもの。一時期、世界遺産に登録しようとしていたそうだが、狡猾なダム計画によりなくなったとのこと。1978年にダム建設計画が立ち上がると、この地域を無形遺産として管理する。これにより、新しい建造物を建てられなくなり、住民は追い出された。そして発掘調査作業をしていると見せかけて、反対勢力を鎮圧させるためにわざと長引かせ、結局この地は水没した。

ウズベキスタンのブハラでは歴史都市として再建活動を行うが、史実と関係のない大通りが整備される事態となったが、世界遺産センターへの相談・通知が全くなかったため、発見が遅れた。

ナスカの地上絵やピラミッドは監視の目が行き届かず、環境活動家による破壊や不法住居の建造、ピラミッドの頂点で性行為する事態を引き起こした。

制度やシステムは生き物のようなもので、運用するだけではなく監視しないと悪用されてしまい、破壊に繋がることがよくわかる。これらの観点を基に大問3の予想問題を作っていこうと思う。

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