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働き方の多様性に向き合ってプロダクト改善した話

こんにちは。プロダクトデザイン部の仁科です。
この記事では、1月下旬にリリースしたChatworkモバイルアプリの新機能、マルチアカウント機能の開発裏話をお届けします。

話を聞いたのは、マルチアカウント機能開発のプロダクトマネージャー(以下PM)高柳と、担当デザイナー大竹です。

🐨 PM高柳(プロフィール)
大学在学中に創業、人材紹介事業・無人島活用事業・WEB制作事業などの立ち上げ経験を経て、2019年Chatworkへ。マーケティング部門でサービスサイトの分析・改善に関わったのち、PMへ転向。

🐰 デザイナー大竹(プロフィール)
学生時代に人間科学やデザインを専攻したのち、IT企業のインハウスデザイナーを経て2019年Chatworkに入社。プロダクトデザイナーとして、UXリサーチ、情報設計、UIデザインを担当。

まずは今回の機能開発に至った経緯を教えてください

🐨 PM高柳:フリーランスや副業など働き方が多様化する中で、複数アカウントを持つモバイルユーザーからアカウント切り替えの機能要望が増えていました。
自分自身も個人事業主をしていたことがあり、働き方の多様性にこたえたいと思い、今回企画しました。

機能要望の背景を深掘りすべく、まずは「どういったときに複数アカウントを持つ状況が発生しているのか」について、既存ユーザーさんを中心にアンケートやインタビューを実施しました。
そこで分かったことは、フリーランスや副業などで複数就業先がある場合、就業先ごとに組織アカウントが発行されていて複数アカウントの利用を余儀なくされていることでした。
組織を管理する側の視点からすると、外部委託の方のアカウントは取引が終了する際に組織のチャットルールからひとつずつ外す必要があります。
その手間を考えると、組織側から外部委託の方に組織のアカウントを発行し、取引終了後はアカウントの利用を停止するほうが効率が良いのです。またフリーランスや副業で複数の会社から仕事を受ける個人側の視点では、会社から発行されたアカウントで別の会社の仕事を受けるうしろめたさがあることがわかってきました。

上記から、複数アカウントを同じデバイスで都度ログインせずに利用できる「マルチアカウント機能」が必要だろうと判断しました。

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実際にどういったデザインプロセスで進めていったかを教えてください

🐰 デザイナー大竹:上記のニーズが分かった後、PM、デザイナー、エンジニアのプロジェクトメンバー全員でユーザーストーリーマッピングをおこないました。
今回はこのユーザーストーリーマッピングをデザイナーが主催し、エンジニアと実現可能性を議論しながら必要最低限の要件、MVP(Minimum Viable Product)を詰めていきました。

今回ユーザーストーリーマッピングでの議論がスムーズに進むように、デザイナー としていくつか工夫しました。
まず1つ目は、ユーザーインタビューに同席できなかったメンバーのために、最初にユーザーインタビューのサマリを共有しました。
それにより、「Aさんの場合、この機能って必要かな?」というような、具体的な利用シーンをイメージしながら議論ができました。

2つ目は、既存の画面フローや検討中の画面デザインを miro (ビジュアルコラボレーションツール)上に並べ、「今どの画面の話をしているか」を確認しながら話せるように、場のデザインも行いました。

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スムーズに要件は絞れたのでしょうか?

🐨 PM 高柳:やっぱりMVPを決めるのが難しくて(笑)
今回はユーザーストーリーマッピングで出てきたアイデアや要件に対し、判断基準が曖昧なままMVPをつけ始めてしまったので、「あれもこれも全部やりたい」という状態になってしまいました。

プロジェクトメンバーで出したストーリーに対して半分くらいMVPをつけ終えたタイミングで、エンジニアのメンバーから、「本当にこんなに全部やらないとリリースできないのかな?」という言葉をもらい、そこで我に返りました(笑)

「せっかく書いてもらったアイデアだから生かしたい」という気持ちから、逆にメンバーを不安にさせてしまっていたなと反省しました。
そのあとは、きちんと軸を持ってMVPを判断することができたように思います。

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UIデザインで苦労したところはありますか?

🐰 デザイナー大竹:とにかく使いやすくしたかった、というのが一番にありました。
見慣れないUIは避けて、直感的に使えるように…と案を出していきました。
最初に作ったUI案でユーザビリティテストを実施したところ、ユーザーさんまらの感触も良く、UI設計は順調に進んでいました。
その後、動くプロトタイプができた時に社内のメンバーにも触ってもらったのですが、そこで想定外の反応がありました。「マルチアカウント機能」を使わない人が、この機能への動線を別の機能への動線と勘違いしてしまったのです。
このままでは誤解を与えてしまう…という判断になり、UIを見直すことになりました。

その後のユーザビリティテストでは大きな課題は発見されず、無事リリースを迎えることができました。

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リリース後の反響はいかがでしたか?

🐨 PM高柳:とても多くの反響をいただきました!
「神アプデ」などの感激の声をいただけて、がんばって良かったなと思いました。

🐰 デザイナー大竹:正直、リリース後しばらくはユーザーさんからの反応を見ることができませんでした(笑)

でも多くのユーザーさんが「待ってた!」という喜び声を上げてくれていて...。自分が制作しているプロダクトは、こんなにも多くの人の働き方を良い方向に変えていけるんだと強く感じました。

今後の開発に活かせる学びなどがあれば、教えてください

🐨 PM高柳:プロダクトとしての方向性やどういったユーザー体験を作っていきたいのかを念頭に置きながら、意思決定していくことの大事さを改めて学べた経験だったと思います。特にMVP自体の基準を言語化し、明確にしておくことの重要さを実体験できたのは良かったです。その際に忌憚ない意見を言ってくれるデザイナーやエンジニアとの関係づくりは大事だなと思います。

🐰 デザイナー大竹:Chatworkユーザーの視線や思考を自分の中に入れて設計することや、リサーチを通してエラーを発見し改善を繰り返していくことの大切さを学びました。少しタイトなスケジュールではあったのですが、しっかりPMやエンジニアとコミュニケーションを取り進めることが、スピードアップにつながるなと実感しました。


お2人、貴重なお話をありがとうございました!

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最後までお読みいただきありがとうございます。

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