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EMはマネジメントとどう向き合うべきか?

みなさん、こんにちは!採用広報の安田です。
今回は2023年10月19日に開催したChatwork EM Talkシリーズ第二弾となる「ChatworkのEMの頭の中」のイベントレポートをお届けします!

当イベントでは新メンバーの原を加えた4名でEMとして働く上でのノウハウや考えていることについてお話しました。イベント内でお答えしきれなかった質問のQAもあリますよ!

このnoteは2023年10月19日に実施したイベントのレポート記事です。
部署名や体制はイベント当時のものであり、掲載時と異なる場合があります。

メンバー紹介

原 孝治/プロダクト本部 エンジニアリングマネージャー
広告制作会社、印刷会社システム部に勤務の後、産業技術大学院大学を修了。株式会社識学 識学開発部開発責任者、株式会社GA technologies PjM、株式会社ランドネット 経営企画室副部長、株式会社FOLIO 証券基盤部長を経て、2023年6月にChatwork株式会社に入社。開発組織のマネージャーとして、ピープルマネジメントに従事している。

門田 矩明/プロダクト本部 エンジニアリングマネージャー(@nottegra
2012年サイバーエージェントに中途入社。メディア系サービス立ち上げにエンジニアとして関わった後、広告系SaaSサービスの責任者として、開発組織の改善やサービス提供体制の整備などの組織作りに取り組む。2020年にChatwork株式会社に入社。急拡大する事業を支える開発組織の強化施策や、エンジニア採用強化に奔走中。

粕谷 大輔(だいくしー)/プロダクト本部 エンジニアリングマネージャー(@daiksy
SIer、ソーシャルゲーム開発でのエンジニア業務、サーバー監視ツール開発のディレクターを経て、2021年より現職。開発組織の整備、スクラムコーチングはもちろん、会社全体のアジャイル化を推進している。数多くの登壇、執筆を通じて、アジャイルやスクラムの発信活動に取り組む。

澁谷 哲也/プロダクト本部 エンジニアリングマネージャー 兼 フロントエンド開発部 マネージャー(@shibe_23
2019 年に Chatwork 株式会社へフロントエンドエンジニアとして入社。フロントエンド開発部のマネージャーを経て、現在はエンジニア組織全体のピープルマネジメントにも携わる。 働く人がモチベーション高く事業を成長させるための仕組みに関心があり、社内でFour Keysの導入を推進中。

それでは本編をどうぞ!

澁谷:まずはここにいるメンバーが思う「マネジメントとは何か」について、一言ずつ聞いてみたいと思います。原さんからお願いします。

:ちょっと難しいですね。最近スクラムバット(ScrumBut)の話をしていて思ったのですが、プレーヤーとして優秀な人がマネージャーになった時に、「〇〇がつらいのでプレーヤーに戻りたい」って思うことがあるんですよね。でもその〇〇のところがマネージャーの仕事だなと思いました。そのつらい部分がマネジメントの仕事の全てな気がします。

澁谷:最近このテーマについて考えたときに、改めてドラッカーのマネジメントの定義を読んで、いいなと思ったのがあったんですよ。手元にあるので読み上げますが、「(2つある役割のひとつとして)部分の和よりも大きな全体、すなわち投入した資源の総和よりも大きなものを生み出す生産体を創造することである(引用:ピーター・F・ドラッカー (著). 上田 惇生 (翻訳) . マネジメント[エッセンシャル版] . ダイヤモンド社. 2001. p.128.)」と言ってるんですよね。その人たちの総和よりも多くの価値を生み出すことが大事で、平たく言うと相乗効果を生み出すことがマネジメントの肝かなと思っています。

門田:マネジメントと一緒に「戦略と戦術」というワードがよく使われますが、僕がマネージャーとして大事にしているものは「戦術」の方です。

経営層とメンバーの間を埋める人たちが、ミドルマネージャーとしてすごく重要視されていて、その間の部分で戦術的に何かを進めていくことが、ミドルマネジメントに求められるところなのかなと。最近はマネジメント = ミドルマネジメントではないかと思っています。

粕谷:マネジメントには2種類あって、マネージャーが仕事をしやすくするために管理するマネジメントと、現場のみんなが働きやすくするためのマネジメントの2つのベクトルがありますよね。両方の塩梅を探りながらやっていくことになりますが、やっぱり僕は現場のみんなが働きやすくなるマネジメントに、こだわっていきたいなと思っています。

1on1(メンタリング)について

澁谷:EMの仕事として一番時間を割く1on1(メンタリング)で、それぞれが大事にしてることや工夫について話しましょうか。

門田:EM同士で最近話したのは、1on1で一番大事なのは傾聴だということですね。

1に傾聴、2に傾聴、3にコーチングくらいの重要度かなと思ってます。対話が生まれやすい関係性を築くためには傾聴しないといけないですし、耳を傾けることで本当に欲しているものを見極めることが大事ですよね。

粕谷信頼貯金という言葉がありますけど、信頼貯金を積み立てる場が1on1で、それ以外のところで、僕らは貯金を消費していきます。1on1で貯めて他で使うみたいなイメージなので、その場をリスケしまくるマネージャーがいると、信頼貯金を切り崩してどうするんだって思いますね。

門田:絶対ずらさないように気をつけてますね。

粕谷:リスケされると、自分のことをないがしろにされてるように感じてしまいますよね。彼らがそう感じないようにすることがポイントなので、約束を守る最初の一歩は1on1だと思っています。

澁谷:一方でマネジメントの本を読むと、1on1は上段の意思やボトムアップの意思を接続して期待値を合わせる場だ、みたいな話が書いてたりしますよね。期待値を合わせる場と傾聴する場は、どうやって切り分けたらいいんだろうという悩みも出そうですが、みなさんいかがですか。

粕谷:難しいな。傾聴8割、期待値の調整2割、くらいのイメージですかね。

門田:我々のピープルマネジメントのやり方だと、1on1にはいくつか種類があって、毎月1回マネージャーからのフィードバック枠を設けています。フィードバックはそこの場で話すから、それ以外のところは全部傾聴に振り切っていい状態にしています。

確かに普通に1on1をやっているだけだと、フィードバックをするタイミングを逃したまま終わってしまうこともあるので、フィードバック枠を別に設けて、期待値を擦り合わせないと難しいですよね。

澁谷:傾聴するだけでも駄目だし、ちゃんとフィードバックをする場もどこかで設けないといけないですよね。

粕谷:評価の時期になって急に評価されるよりも、日頃からこまめなフィードバックをすることで、その納得感が変わると思います。結局はフィードバックも信頼関係を作る場になっているなと喋りながら思いました。

澁谷:ちゃんと見ていますよってところが伝わってないと、フィードバックも受けられないですよね。

コメントで、「人と話をしてるときは傾聴を意識しますが、いざ1on1になると傾聴を忘れてしまいます」といただいています。

門田:壁に傾聴って貼ってみるのはどうでしょう。

粕谷:リモートワークの場合はディスプレイの下に付箋を貼っておくといいって言いますよ。

:背景画像に書いておけばいいんじゃないですか(笑)。

澁谷:主張の強い感じになりますね(笑)。それでバーって話したりしてたら、この人の傾聴忘れてるなって思われちゃいますね。

あと時間の余裕を持つというのも大事かなと個人的に思いました。時間がないと、こちらの言いたいことを詰めて伝えちゃいがちですからね。

コメントからの質問です。「フィードバックの他に、1on1でみなさんが意識してることって何かありますか?」。

:何だろう。フィードバックと違うかもしれないですが、次の1on1までには必ず何らかのアクションをする、という決まりを自分の中で作っています。

そうすると次の1on1では、そのアクションについての話ができるので、相談しても何も起きないので相談しない、という状況が生まれることを防げると思います。なので相談に対しては必ずアクションをするようにしてますね。

アクションをすべきかどうかの判断をするためにも深掘りをする必要があるので、その場で質問をすることが、ある意味フィードバック的な役割も果たしているかもしれないです。

澁谷:原さんはやることをタスク化しているイメージがありますね。

:忘れちゃいますからね。「Chatwork」のタスク機能はいいなって思ってます。

門田:軽い宣伝(笑)。

:タスク機能いいですよね。仕事は期限とセットなので、期限がつけられるのがすごくいいです。

澁谷:他にフィードバックで意識していることとかありますか?

門田:フィードバックをしなきゃいけない内容があるときに、事前に1on1でその内容に触れられれば一番いいのですが、触れないままフィードバックしなきゃいけないときがあるじゃないですか。その場合は、その内容について本人が今どう思っているかをちゃんと聞いてから、フィードバックをして、その後フィードバックに対して本人がどう思うかまでセットでするように気をつけてますね。

以前いきなりフィードバックをしてしまったことがあったのですが、後から情報を集めてみると、実は当人は悪くなかったことがあって、すごく反省しました。

受け取った側も違うのになと感じていたのに、マネージャーからこう言われてるから飲み込むしかないみたいな感じで我慢しちゃったんでしょうね。相手のことをちゃんと聞いて、その上でフィードバックをするのが、基本のキみたいな話ですが大事だなと思ってます。

粕谷:我々はチームに張り付いて仕事をしているわけではないので、これこれというフィードバックをしたいけど、それが本当に正しいのかどうか悩みますよね。チームに張り付いて日頃から観察していれば、自分が実際に見たままでファクトがわかるのですが、勘違いしたままフィードバックをしちゃうこともあります。

澁谷:事実確認にすごく気を遣いますね。その人の視点だと違って見えることも全然ある。

あと僕も十分できてるわけではないのですが、フィードバック時間の後の予定を空けておいたほうがいいかなと思います。フィードバックしてる途中に時間がきてしまうと、消化不良に終わってしまうので、その場である程度1回出し切ってもらったほうがいいのかなと。

粕谷:確かにフィードバックを受けた人がもう少し話したかったときに、マネージャーの予定が空いてない、ってなったらかわいそうですよね。いいよって言ってあげたい。

澁谷:そうですね。忙しそうにしてるマネージャーとの対話は難しいと改めて思います。

チームビルディングについて

澁谷:EMをしてると、新しくチームを作ったり、あるいは既存のチームに新しくメンバーが入って、新しいチームでやっていくことがあると思います。こういったときのチームビルディングで効果的だったこととか、ポイントになる部分はありますか?

粕谷:今はリモートワークで働いているので、新しくチームを立ち上げたりとか、そのチームが出来上がっていく中で、まだ関係性の構築が難しいんですよね。

オフィスにみんなが集まって仕事をしてた時代は、放っておいても毎日顔合わせるので、時間とともに関係性が出来上がっていきます。でもリモートワークは狙ってそういう場を作らないと、関係性が出来上がっていかないので、腹を割って話す場を提供する必要があるなと思っています。

腹を割って話せるような関係性をいかに早く作れるかが、今のリモートワーク時代のチームビルディングのポイントかなと思います。僕もまだ手探りだからわからないところもあるのですが。

澁谷:最近色々な便利なツールが出てきてワークをしやすくなったとはいえ、やっぱりオフラインだったときとは違う一体感の持たせ方になりますよね。

粕谷:人となりを知ることって難しいので狙ってやらないとね。

門田:新しく人が入ったりとか、新しくチームを組むとき、一番最初に自己紹介をしないと、それ以降個人のバックボーンまで説明する機会はないですからね。

澁谷:EMの中でやったワークで、私の取扱説明書というのが結構良かったですね。「私はこういう人間です」「こういうところが苦手です」、「こういうことが得意です」みたいなものを書き出して、みんなでワイワイするやつです。オンラインだとチームビルディングやドラッガーエクササイズのような、チームとして認識合わせをするワークも大事なのですが、その前段の「人となりを知る」ワークってすごく効果的だなと思います。

澁谷:新しい人が入ってきたタイミングでどうやり直すか、新しい人に馴染んでもらうかというのが難しいテーマですよね。

粕谷:元々いた人たちは関係性が出来上がってて、その中に入っていくわけだから難しいですよね。例えば僕らは原さんだけを知ればいいですが、原さんは全員のことを知らないといけないですし。

澁谷:都度ワークをやり直すのも手ですが、その人だけやり直すっていうのもすごく非対称性のある振る舞いですよね。

粕谷:逆に原さんはこのチームに馴染むために意識的にやったこととかありました?

:ピープルマネジメントチームに対してっていう感じですかね?特になにもないですね。

門田:飲み会だけですよね(笑)。

粕谷:あとは毎日朝会やってるからそこで話していますよね。

:メンター制度があるので、何かあったらメンターに相談ができるのですが、ピープルマネジメントで悩む内容ってあまりEM以外には相談できないんですよ。

なので、朝会で相談することになりますよね。新しく入ってやったことは、普通に朝会で話すのがメインかなという気がします。

澁谷:一応、メンター・エルダー制度という入社から3ヶ月間のオンボーディングをサポートする制度があります。部署外の人がメンターとして、チーム内の人がエルダーとして困りごとをサポートする体制です。僕は原さんのエルダーなのですが、何か困っていることはありますかって聞くと、大体朝会で相談しているのでないですねって言われるので、僕は何の役にも立ってないんですよ(笑)。

門田:朝会、あとはチャットや臨時で話したりとかで、解消しちゃいますよね。モヤっとしてたら、振り返りで喋っちゃいますし。

粕谷:マネージャーって、そもそも自分たちが普段扱っている課題が濃いので、自然な会話の内容も濃いじゃないですか。その濃い話の中でお互いの考え方を明らかにしていくので、それ自体がチームビルディングになっているのかもしれないなって思いましたね。

:朝会は心理的安全性が高いので、そこで聞きますね。そこで聞けなかったらエルダーに持ち込まれるんじゃないですかね。なので、あえて澁谷さんだけに話すことは特にない(笑)。

聞きたいときに聞けば、誰かが答えてくれる安心感があるので。そんな感じです。

澁谷:僕がメンターになっている人の中でも朝会をしているチームに所属している方は、朝会で話しているので大丈夫ですってパターンは多い気はしますね。

粕谷:ピープルマネジメントチームは、疑似スクラムのような雰囲気でやってるので、朝会もそうだし、週1回の振り返りなど、結構会話する場が多いってのもありますね。4人で話す場が多いというか。

澁谷:うん。接触回数って大事なんだなって。
ちょっと気になってたのがマネージャーのエルダーになったときに、マネージャー経験がある方ってチームビルディングとかもある程度わかっているじゃないですか。

だから自分たちのチームビルディングは、大体わかるでしょという感じになってしまいますね。意外と疎かになりがちなので、ある種の罪悪感みたいなのがあります。

門田:オンボーディングとかは結構頑張ったと思うのですが、業務する上で必要になる情報の共有がメインでしたね。確かにチームビルディングのワークみたいなのは、抜けてました。

粕谷:僕らと同じ人種なのでよしなに馴染んでくれる、みたいな信頼があったんですかね。

澁谷:メンバーのみなさんには「大事だよチームビルディング!」みたいな話をするんだけど。

根回しについて

澁谷:組織の中で働く以上は、ストレートなコミュニケーションだけじゃなく、いわゆる根回し、ネゴシエーションをする機会があるんじゃないかなと思います。そういった根回しをするにあたって気をつけていることやこういうときに根回しするよとか、そういうポイントがあれば聞いてみたいと思うのですが、いかがでしょうか?…

続きはアーカイブ動画からご覧ください↓

Q&A

ありがたいことにイベントでたくさんの質問を頂いており、時間内に全てに回答することができませんでした。この場でいただいた質問にお答えします!

toB 向けプロダクトのエンジニア組織だと、Biz や PdM が上げた事業開発上必要な機能の開発だけで工数をほぼ使い切ってしまい、エンジニア起点で発案した機能や改善などにかけられる時間がなくなり社内受託感が出てしまうことがままあると思っています。もし Chatwork さんでそのような課題を感じられたことがあれば、それにどのように対処した (or している) か伺いたいです。

澁谷:Chatworkの場合ワンプロダクトなので、PMとエンジニアそれぞれの組織が一つの塊になりやすい側面はあると思っていて、これらは普段のコミュニケーションとか、なるべくWhyをすり合わせする時間をとっていくとかでカバーしているのかなと思います。

原:自分の部に所属しているチームに関してですが、リリースとリファクタや改善をバランス良くできていると認識しています。うまくいっているケースの定型句になってしまいますが(うまくいっていないケースはその理由があるのですが)、明確な理由があるというよりは、優秀なメンバーが活躍しているという印象です。

どんなメンバーにいて欲しいですか?

澁谷:Howありきではなくて、事業のWhyを理解しながら自分の役割に対して、地に足をつけて成果を出してくれる人、でしょうか。

原:チームで成果を出していくというマインドの方にいて欲しいです。

終わりに

いかがでしたでしょうか?今後もChatworkのEMたちの情報を発信していきますのでお楽しみに👀

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