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【南大沢土木構造物めぐり】No.45 京王堀之内駅付近を歩く

京王堀之内駅は、南大沢からだと、新宿方面の隣駅になります。その次の駅は、京王多摩センター。特急停車駅に挟まれた駅で、地元以外の人にはあまりなじみが深くないかもしれませんが、多摩ニュータウンの中でも独特の雰囲気を持つ街です。駅前には大きなスーパーや魅力的なお菓子屋さんなど、たくさんのお店などがそろっています。私の地元街歩きは、基本的には徒歩での移動がほとんどなのですが、会社勤めの定期券持ちであることを利用して、この駅まで一駅電車で移動してから散策、ということが少なくありません。表紙の写真にもあるように、アートな感じの歩行者通路があったり、また少し足を延ばせば、素敵な公園や、昔ながらの農村風景まであり、歩くのが楽しい場所が満載です。今回は、橋めぐりをしながら、魅力的な街の本のごく一部ですが、ご紹介したいと思います。

【京王堀之内駅付近の多摩ニュータウン】

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 この図は、東京都都市整備局のHP(下記)から引用してきた図です。ニュータウンのエリアの開発は、もともと人が住んでいなかった地区は、「新住宅市街地開発事業」(新住事業と略記)という方法で公的機関が土地を丸ごと買い上げ、新たに街をつくる方法で開発されました。左側の南大沢駅付近は、新住事業でも、東京都が主体となって開発された地域です。一方で、京王堀之内駅付近は、同じ新住事業でも、都市再生機構(もと日本住宅公団→住宅・都市整備公団→都市基盤整備公団)が開発したエリアが、駅の南側(松木・別所地区)に広がっています。また、堀之内駅の北側の多摩ニュータウン通りや野猿街道に沿った地域は、大栗川や大田川の川沿いで、もともとの住民が少なくなかったため、「土地区画整理事業」の手法を用いて開発されました。区画整理事業をやりながら、道路や河川改修に必要な用地をねん出するのですが、古い建物が残っているところが少なくなく、新住事業で作られた大きな団地の立ち並ぶ街とは違い、中央大や帝京大、都立大などの大きな大学も立地していることから、学生向けのワンルームマンションなども多く立地する街並みとなっています。
 その北側の「19住区」は、新住事業の区域になっていますが、農業や酪農を営む住民との長年の調整の結果、昔ながらの農業・酪農の営みが残る地域と、民間の戸建て住宅が立ち並ぶエリアが共存する街となっており、他の団地が多い新住地区とは全く違った雰囲気が味わえます。

今回は、駅周辺の橋めぐりを中心に、その魅力を伝えます。街歩きをしていると、興味深い場所がたくさんあります。それらはまた改めて順次紹介していこうと思います。

【駅前の不思議な歩行者通路】
京王堀之内駅といえば、イメージするのは、なんといってもこの不思議な歩行者通路です。

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【VIA Stagione(四季の路公園)】
長池公園と駅を結ぶ道をコンセプトに作られているということです。イタリアと日本の造型作家の合作というこの場所。署名付きでアーチストたちの名前が刻まれているのは、とても素敵だと思います。

なんだか雰囲気がディズニーシーの「マーメイドラグーン」近くに似ている気がするのですが、やはり南欧のアーチストが関与しているので、そんな雰囲気があるのですね。駅前にこんな不思議なアートが共存していたり、この場所は一体何?という不思議な場所があったりですが、ここはれっきとした公共の歩道空間。階段もすごく個性的です。

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こんなモニュメントがあります。(本当に「夢の国」に来た気分になりますが、京王堀之内駅前です。)
「街しるべ」と書かれたこのモニュメント、なんと京王堀之内駅から長池公園までの地図が書き込まれたレリーフなのです。鳥と戯れる子供は、長池に住む水鳥と新しくできた町を表しているのでしょうか。長池が目立つように金色で塗られていることも特徴的です。

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この公園を抜けると、歩道橋が出現します。橋の下は、郵便局。不思議であり、前衛的な都市景観ですが、普通に何気なく利用している人も少なくないでしょう。

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歩道橋は屋根付きの構造物です。

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【上空通路 1990年2月 住宅・都市整備公団 π型ラーメン橋 西松建設】
柱と桁が一体になっているので、「π型ラーメン」に分類される橋のようです。桁のコンクリートが落下しないように、はく落防止工の施工もされているようです。

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この歩道橋に平行して、見慣れない斜め方向の屋根が目に入ってきます。これは「斜行エレベータ」。急坂が多いニュータウンに導入された伏兵のようです。階段の上の団地の方の施設のようです。階段の上から歩道橋と駅のほうを見るとこのような感じになります。

階段の上を左に曲がったところにあるのが、「風見鶏歩道橋」。給料部分は起伏が激しく、地形を生かして歩車分離されています。この橋も非常に個性的なデザインです。

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【歩道橋 1990年4月 住宅・都市整備公団 PC3径間連続箱桁橋
 施工 西松建設】

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で、風見鶏って何か?と思いましたが、団地の集会所の上にありました。歩道橋の名前が先か、この集会所が先かはわかりませんが・・。

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橋の上からは、変化に富んだ堀之内付近の風景が一望できます。
丘の上の団地は、駐車場にアートな空間があったりと、味わい深いです。

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アートな空間といえば、「秋葉台公園」を忘れてはいけません。丘の上を歩いていくとたどり着く公園。芝生広場もあり、子供たちの歓声であふれています。

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極めつけは、この巨大なピラミッドのような「すべり台」。ここまでくると、遊具と呼ぶより、立派な土木構造物と呼んでおかしくないでしょう。壮大なスケールに圧倒されると思います。子供たちは大はしゃぎです。

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不思議な古墳のような、ピラミッドのような、トンネルもついている巨大すべり台。堀之内の町に来たら、大人でも驚くこと間違いなしなので、是非訪れてみてください。

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この公園、もう一つ土木構造物めぐりで重要な要素があります。今のピラミッドの北側の平らな土地ですが、ここは・・・

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京王線のトンネルの真上に位置します。公園の両側には、電車の線路を眺めることができるスポットがあるので、土木構造物好きや鉄道好きには飽きさせない魅力があります。

【終わりに】
京王堀之内駅付近の、今回は「新住地区」の街並みを探訪しました。駅前の日欧合作のアートな歩行者通路と街の魅力を詰め込んだモニュメントや、丘の上の生活空間、秘密基地のような公園など、歩いて楽しい場所がたくさんあります。
駅の北側に広がる、区画整理事業によって開発された地区や寺沢地区(19住区)の街並みは、この風景とはまた全く違う味わい深いものがありますので、改めてその魅力を紹介したいと思います。

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