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【南大沢土木構造物めぐり】No.64 徒歩圏にある「険道」「秘境」~町田市小山田地区を歩く~

多摩ニュータウンの造成された街並みから一歩入り込むと、町田市小山田地区に到達します。急に様変わりする風景。南大沢からは、少し頑張れば徒歩圏という場所に、こんな秘境のような感覚の場所があるなんて、と驚く風景が広がります。谷戸の最奥部だったので、これまで開発を免れてきたのでしょうか。昔ながらの営みを残す風景。そんな場所に行ってみたいと思います。

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今回の探索は、神奈中バス 多摩車庫からはじめましょう。ここは、南大沢にある大きなバスの車庫です。南大沢には、同じ尾根緑道沿いに京王バスの車庫もあります。2枚目の写真は、裏側の遊歩道から撮影。

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神奈中バスの車庫の向かいは、最近事業を開始した八王子市の学校給食センターです。近隣の市立中学校に給食を届ける施設です。

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尾根緑道を少し歩きます。南多摩尾根幹線道路の真上くらいで、何やら標識を発見。さりげなく「町田市」「八王子市」と書いてあり、どうやら市境の境界杭のようです。公園の管理分界点を示しているのでしょうか。

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星谷戸トンネルの手前で上を走る尾根緑道から車道に降りていきます。

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バス停の名前は、坂上。昔からありそうなバス路線なので、昔はもっと寂しい場所だったのかもしれません。今は大型霊園や斎場まであるので、バス停の名前も霊園や斎場の名前を入れて、本数を増やしたらもう少し乗客が増えるのかもしれませんが。今は一日数本しかバスの通らない停留所です。

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南多摩斎場の脇道を入ります。「この先道幅狭し車両の通行に注意」の看板が、秘境感を感じさせます。

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ペット霊園と病院がある場所を過ぎると、大きな工事現場が見えてきます。ここはリニア中央新幹線の非常基地の工事中。この場所の地下深くにトンネルができる予定です。

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これは中央新幹線の工事用道路のようです。閑静な地区なので、沿道対策などには細心の注意を払っているのでしょう。

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さらに奥に入ると、途端に道が劇的に狭くなります。工事用のフェンスは、不法投棄が多いため、自衛用に設置したものと思われます。こういう場所に多い残念な風景です。

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木立を抜けると、谷戸の先端部に出てきます。急に一変してどこの田舎かわからないような田園風景に変わります。

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のどかな場所です。谷の最上部には、中央新幹線の現場のクレーンが見えます。

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これはトンネルではなく、鬱蒼とした木々です。こんな風景に巡り合うとは・・。

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秋の農村の一風景です。丘一つ越えると、住宅地が広がっているのですが。

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石積みの古い家並み。なかなか良い風景です。

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大きな道に出てきました。歩いてきた道を振り返るとこんな感じ。

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鶴見川の源流付近の流れの一つです。

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小山田バス停まではすぐに到着します。昔からの雑貨屋さんのある街。パールライスの看板があるのは、何だか懐かしい感じがします。

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バス停から再び少し細い道に入ります。ここは南大沢に抜ける少し広い(といっても十分狭いですが)車の抜け道がつながっているので、交通量はそこそこ多いです。

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その道からさらに細い道が分岐します。散策はこちらへ。「2t以上通り抜けできません」の標識。道路管理者は東京都。都道155号線になります。道路マニアには有名な「険道」です。

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道端に建つ石碑たち。●●講と書いてあったりするので、昔から信仰の道として使われていた道なのでしょう。

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こういう道沿いには、地層が露頭していることが少なくありません。この地域は、表層に赤黒い粘土層(関東ローム)があり、そのすぐ下に砂分の多い層があるパターンが多そうです。砂分が多いためか、下の層が崩れて上の層に根付いている木がオーバーハングする形になっていることも。

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坂を登り切ると、隣の谷戸に出たようです。看板が出ていたお寺が右手に見えています。かなり立派なお寺のようです。

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都道とは思えない狭い道です。昔からそのままの姿で残っているのでしょうね。この地域では貴重な風景だと思います。

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のどかな田園風景。用水路を渡す橋は、朽ちた木製の旧橋の横に、鋼矢板を渡した新橋。やっぱり土木とは、こんな耕作作業の生活の知恵から派生していると改めて実感しました。

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狭い道ながら、交通量も無くはないため、少しずつ改良されているようです。ガードレールも、外側に移設され、さらに柱を外側に屈曲させて、少しでも道幅が広がるよう工夫されていました。

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谷戸の谷底を横断するため、道がクランクしています。車を通す形には不向きです。ただ、ここも待避所ができているので、交通の不便さは少しずつ改善されているのでしょう。

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再び谷戸の上に抜ける坂道になります。色の違う地層の境がくっきり見えます。

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谷戸の先端付近。もうここは東京都だとか町田市という感覚を忘れてしまうような風景です。

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いよいよ多摩ニュータウンに抜ける上り坂。やはり不法投棄防止の柵に囲まれ、圧迫感があります。ちょっと不気味な感じもします。

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都道155号線であることを示す鋲。こんな田舎道ですが、東京都できちんと管理されているようです。

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細い道の出口に到着。このあたりから多摩市唐木田地区になります。

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丘の上から見える、谷戸全体。建物がほとんど見えません。

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広い都道の終わりの地点に来ました。狭い道なので、車が迷い込まないように警告がたくさん出ています。

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都道155号線は、ここから多摩ニュータウンの中に入ると、途端に大通りに姿を変え、多摩ニュータウンの堀之内周辺を南北に貫く普通の幹線道路に変わります。

【終わりに】
多摩ニュータウンから一歩入り込んだ町田市の小山田地区。おそらく昔からほとんど変わっていない風景が残っていて、非常に貴重な場所なのだと思います。車が入れないほどの狭い道なので、ゆっくり歩いて風景を楽しむのも良いと思います。

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