【南大沢土木構造物めぐり】No.88 団地内の密かなアートの謎
皆さん、ゴールデンウィークは楽しまれていますか?帰省したり旅行したりされている方もいらっしゃるようですが、今はまったりとした時間を過ごしています。最近色々な場所を歩きましたが、それらの記事を書きたいと思いつつも、一つの場所の記事を書き始めると止まらなくなり、だんだん溜まってきている状態です・・・(笑)。
今回は、そんな中、気分転換に自身の地元の近所にある団地周りを歩き、以前から気になっていたアートについて紹介したいと思います。
そのアートがある場所は、多摩ニュータウンの八王子市南大沢5丁目にある、「ベルコリーヌ南大沢」という団地です。
この団地は、1989年前後に分譲された当時の住宅・都市整備公団(今のUR
UR都市機構)の住宅で、南欧風の街並みがとても魅力的な団地です。普通の団地の場合は、建物ごとの建築家が建物の敷地内の設計をすることだけで完結してしまうことがほとんどですが、ここでは、「マスターアーキテクト方式」とよばれる、街区全体を設計する設計者がデザインコンセプトなどを監修し、それぞれの建物を設計するブロックアーキテクトの設計内容を監修・コントロールするという方式が採用されているので、とてもきれいな街並みが整然と並んでいます。ここでは、内井昭蔵さんという建築家がその役割をされていました。そのおかげか、近所に住んでいますが、いいなあと思いながら散歩する日々です(笑)。
さて、そんな近所を歩いてみましょう。とはいっても、普通の建物探訪ではなく、ちょっと変わった視点で散策したいと思います。
さて、ベルコリーヌ南大沢の中を歩いていると・・、こんなものが敷地内のタイルのような舗装(インターロッキング舗装)の中に見つかります。
このようなものが、街区全体にあります。このヒマワリがあるのは、一番駅に近い場所にある団地(地元の人にしか通じない、5丁目3番地に建つ住宅という意味である、「5-3」と呼ぶ)には、このような番号のついたヒマワリが沢山配置されています。
お隣、「5-6」団地では・・・、
月の形をしたエンブレムと同じようなアートが中庭に飾られています。しかも、そのエンブレムと同じようなアートが、中庭にあるではないですか。
さらに隣の、「5-7」「5-13」団地に行ってみましょう。
水のモニュメントは、こんなところにもありました。
さらにお隣の「5-16」「5-17」団地は・・・、
「金」のエンブレムです。「月」「水」「金」と来るともしや・・・と思ってしまいますが(笑)、とするとさきほどのヒマワリは、「日」を表しているのかな、とも想像してしまいます。「金」に対するアートもあるのかなあと思ったら・・・、
どうやら「金」のエンブレムと同じようなデザインに見えます。何だか謎解きラリーをやっているような感じがしてきました(笑)。
では、次の「5-22」と「5-11」団地はどうでしょうか?次はどの1文字でしょうか?予想はつきますが・・、
そのモチーフになるアート、ありますかね…と思ったら・・・、
「5-9」団地はというと・・・、
土のエンブレムのモチーフになっていそうなものを探しましたが、あまりぴったりこれ!というものを見つけることはできませんでした。
ということで、ヒマワリが「日」だとすると、
「日」「月」「火」「水」「金」「土」のエンブレムがありました。あれ、一つ「木」が足りないですね・・・。URのベルコリーヌの団地は、他には無さそうなので、「木」は欠番だったのでしょうか?謎です・・。それとも、東京都住宅供給公社の団地などに、あったりするのでしょうか?探してみましたが、それらしきものは見つかっていません。
恐らく、マスターアーキテクトの監修で、何らかのコンセプトに基づいて、このエンブレムやアートは配置されたはずですが、調べてもあまり何も出てこないので、謎は解決できていません。誰かこの謎の手掛かりを知っている人がいたら、教えてほしいです(笑)。
ちなみに、この街区の中心にある遊歩道には、こんなものが・・、
この三角形に尖がっている作品は、「宇宙からのメッセージ」という名前が付いています。関根伸夫さんという彫刻家の作品です。このモニュメントは、ジブリ映画の「平成狸合戦ぽんぽこ」のエンディングにも登場するちょっとした有名スポットですが、このモニュメントも、団地のエンブレムも、実は「宇宙」というものを表現しているのかもしれないと思いました。南大沢と、宇宙。そう考えると、何だか地元から果てしなく世界が広がるなあと思いました。もう一つの芸術作品は、
地元の人に「よんほんばしら」と呼ばれているこのアートです。これも、天に向かって矢印が付いているので、実は宇宙と何か関係があるのかもしれません。過去にこんなコラムを掲載しているので、ご参考まで。
余談ですが、「よんほんばしら」は、Googleマップでは、「四本柱」と言う名前で、ちゃんと地名のようになっています(笑)。通称が地名になるとは、何だか驚きです。
さらに余談。このあたりは基本的には無電柱化されていますが、一部残っている電柱には・・・、
電信柱のプレートには、昔の地名などが書かれていることが多いですが、この地区では、「15住区A」という表記を見つけました。
これは、開発当時にまだ何もなかったころに電柱だけ建った頃の名残でしょうか。こういうものも見つかるものですね。
【終わりに】
GWの真ん中に、ちょっとマニアックな地元のアート散歩をしました。こうやって見ると、地元の団地が何だか宇宙とつながっているような・・・、そんな気持ちにさせてくれる不思議なアートたちです。「木」のエンブレムはどこにあるのか?そもそもこの地区は「木」だらけなので、「木」のエンブレムはあえて作らなかったのか?それとも造成されなかった幻の団地計画だったり・・・。ちょっとした謎を解く楽しみもできた気がします。
謎解きしながらのちょっとマニアックな地元歩きも、また楽しいものです。
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