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【南大沢土木構造物めぐり】No.57 お隣の駅・多摩境駅周辺を歩く(後編:小山・堺地区を歩く)

地元・南大沢から目と鼻の先の隣町、町田市にある多摩境駅周辺を歩いています。尾根のてっぺんから境川まで一直線に下っていく急勾配の坂が、この街の特徴。坂の街の中に、いろんな魅力的な場所があるので、紹介したいと思います。
(前編はこちら)

【①多摩ニュータウンは縄文人の楽園だった】~田端環状積石遺構のストーンサークル~

駅から歩いてほど近い場所に不思議な石碑を発見。多摩ニュータウン通りからほんの少し入ったところに見つけました。

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【都史跡 町田市田端環状積石遺構】
中に入ってみると、住宅街の真ん中にストーンサークルがあるではないですか。

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説明看板もありますが、町田市のHPに素敵な紹介がされているので、こちらをご覧ください。縄文時代の祭事場のような場所だったようです。

多摩ニュータウンは、開発時にもたくさんの縄文住居が出土した場所で、縄文人にとって、この丘陵地は居心地の良い場所だったのでしょうか。多摩市の多摩センター駅の近くには、埋蔵文化財センターに博物館と竪穴式住居の復元もあります。北海道や東北の縄文遺跡が世界遺産に指定され、縄文遺跡が見直されている時期でもあります。地元の縄文遺跡、再発見するのも良いのではないでしょうか。

【②駅前神社は絹の道の氏神様】~札次神社と蚕種石~
下の写真、駅のプラットホームのすぐ裏側に、神社の社殿が見えます。その裏は多摩丘陵の古き姿を残す感じがします。

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立派な本殿。その傍らにある石灯篭には、安政年間の刻印が。古くからの信仰の場だったのですね。

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鳥居の脇に蚕種石(こたねいし)。養蚕が盛んなこの地域には、お蚕さまが無事に育つように願いが込められていたのですね。

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地域の神社には、社殿を建て直したり、参道を改修した記念、ご大典(天皇陛下の即位)記念など、様々な石碑があります。

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札次神社の参道と、昔の町田街道の旧道が交わる場所。時代を忘れさせてくれるスポットです。

【③絹の道の名残を感じる旧道歩き】~旧町田街道~

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旧町田街道は、交通量の多い現在の町田街道のすぐわきに走る、今は生活道路となっている道です。昔の絹の道だったこの街道。立派な屋敷やその中にある樹木が、当時の面影を感じさせてくれます。

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微妙にまっすぐ走っていない道であるのが、旧街道の特徴とでも言いましょうか。

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しばらく進むと現街道に合流。町田街道は交通量が多いので、最近拡幅工事が進み、自転車専用レーンの整備などが進んでいます。

【④開校約150年の学校】~旧・小山小学校(現:小山市民センター)~

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町田街道にある、「片所」バス停。その向かいに、学校の校舎とグラウンドを連想させるような建物が建っています。これが、旧小山小学校の校舎、いまの小山市民センターです。

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市民センター脇に校門の跡と思われる柱があります。裏には「明治43年4月 堺村小山建之」との刻印があります。

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その脇には開校100年記念碑が。昭和48年とあります。間もなく150周年なのですね。小山小学校のHPを見ると、市民センターのある場所には、明治37年から昭和51年まで学校があったようです。絹の道で八王子と横浜との間の交流が盛んになった時代から、学校ができていたようです。

【⑤小山小学校の背後にある立派なお寺】~福生寺~

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福生寺は、大きな本堂があるお寺です。隣に大きな墓地もあります。

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本堂以外に、立派な観音堂がありました。

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観音堂のすぐ横に、古びた石積みがあります。あまり理解できていないですが、こんなことが書いてあるようです。

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「●寛延二龍巳巳歳 四月吉祥日 福生寺・・・・」

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「天下恭平 五穀成就 万民喜楽 当初繁栄」
「南多摩郡由井領小山村 施主 ●原四郎百衛門 利茶」

由井領とは、八王子の片倉城付近の地名なので、やはり江戸時代から八王子と交易が盛んだったのでしょうか。

【⑥ 小山市民センターから尾根に向かう坂道】
古くからありそうな急な坂道を上ると、小さな地蔵堂が見えます。

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谷底や隣の尾根には、新しい住宅が建ち並びます。今も分譲が続いているようです。

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しばらく歩くと、多摩境駅前へ到着。駅近くとは思えない、異次元を歩いている気分になる道です。

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【⑦ 坂の街の防災を支える】~小山白山公園の地下雨水貯留槽~

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小山白山公園は、規模の大きな公園です。坂を利用したすべり台もあり、子供たちの歓声でにぎわっています。

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公園の片隅に、こんな看板が。
「雨水地下調整池 この公園の地下には、大雨のとき雨水を一時貯留して、下流へ少しずつ流し、河川の防ぐ大切な役目をもった調整池があります。」
 地下式調整池 直径90m(円形)、深さ10.6m(土被り1.3m)
 名称 小山白山調整池
 貯水量 約6万m3、流域面積48ha
 管理者 町田市下水道部

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丸い形をした広場の地下に、円形の調整池があるようです。管理用の地下へ通じる通路があります。人知れず暴れ川と言われる境川流域の水害を防ぐ、縁の下の力持ちが活躍しています。

【終わりに】
多摩境駅周辺には、縄文時代のストーンサークルや、絹の道の時代からの神社、お寺や古くからの街道、学校などがあり、その見どころが多いことに改めて気づかされます。車で移動していると、混雑した町田街道や多摩ニュータウン通りを走るだけなので、なかなか気が付きませんが、歩いて見ると新しい発見があるものです。


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