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【南大沢土木構造物めぐり】No.42 大栗川源流部を歩く

大栗川については、これまでに何回かに分けて橋のことや、ニュータウンの建設に伴い蛇行していた川を直線化する改良を行い、その結果残された蛇行後のことなど、取り上げてきました。(それらについては、下記を参照ください。)

(これまでに紹介した大栗川に関係する話題)

【大栗川源流について】
今回は、この御殿橋からさらに上流、由木街道沿いに源流部分を探っていきたいと思います。最初に、地図で源流部分を見ておきたいと思います。谷戸を見る地図、何がわかりやすいか探求してみましたが、国土地理院の主題図の一つである、都市活断層図が、河川の沖積低地だけを緑色に色塗りしてくれているので、非常にわかりやすいので、それを掲載します。(※いつもの今昔マップのアプリから掲載)
大栗川の源流は、右側の「御殿橋」から大きく3方向に分かれており、
 左上に向かう「巌耕地谷戸」(絹の道資料館→山野学園に向かう道沿い)
 真ん中の「子の神谷戸」(鑓水諏訪神社の前を通り、奥に入る谷戸)
 左下の「大芦谷戸」(由木街道沿いに行く谷戸)
がありますが、今回は、一番長い大芦谷戸を歩いてみたいと思います。

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上記の地図を見ると、大芦谷戸の最も上流部は、16号八王子バイパスの鑓水インターを超えて国道16号の西側に広がるくぼ地になります。そんなことを最初にイメージした上で、探索した内容を見ていきたいと思います。

まず、スタートは「御殿橋」から。

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御殿橋の下で、上流側は3方向に分岐します。右側のボックスが、上述した「巌耕地谷戸」「子の神谷戸」の流れが合流して一つになったもの、真ん中のスロープが、「大芦谷戸」の流れ、左の壁の横からくるのは、由木街道の下を流れる雨水排水と思われます。これから真ん中の「大芦谷戸」の流れをたどります。大芦谷戸の流れは、ここから急激に狭くなります。改良されていない川です。常時は水がほとんど流れていないので、実質的には由木街道下の雨水幹線が排水の任務の大半を背負っているようです。

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少し上流にある「橋」の工事現場。これは先日紹介した「カルバート」で作られた橋です。その後河川の護岸の工事も進み、だんだん橋っぽくなってきました。少しずつですが、河川や道路の改良も進んでいるようです。

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これから設置予定の、マンホールの下に埋まっている下水人孔が仮置きされていました。地中に埋められたら見られなくなる貴重な写真です。

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上流はこんな雰囲気。あまり水が流れていない、上流部の河川のムードです。由木街道沿いの雨水幹線がなければ、おそらくかなりの「暴れ川」になっていることでしょう。

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もう少し上流の民家へのアプローチの橋。高低差が大きいので、カルバートになっています。

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さらに上流は、竹林の中に入り込んでいく形になります。左に見える由木街道のすぐわきに、こんな渓谷のような川があるのですね。

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由木街道の歩道から竹林を覗き込むと、川が暗渠になっている様子。由木街道の下を川が横断するようです。

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川は由木街道の下をカメラの見ている方向に斜め横断しています。街道の上は、大栗川の景色とは全く違う風景ですね。

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道路の反対側の暗渠の入り口。深い谷のカルバートです。

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少し上流に、こんな橋を発見。由木街道からしっかりした階段がついており、対岸も何軒か民家があるので、現役の橋と思われますが、なんだかすごいです。

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この橋、なんと木橋です!
木橋の上に鋼製の矢板を置いているシンプルな橋。市が管理しているのであれば、かなり珍しいものかと思います。無断で設置しているのにしては、立派な階段がついているので、何らかの管理はされているのでしょう。おそらく、登山道の渓流の橋をイメージしてもらうのがよいのではないでしょうか。しかし、ここは山ではなく、住宅街の中(多摩美大の近く)です。

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もう少し上流に行くと、1件の民家にかかる橋がありました。

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橋の上流側は、いよいよ源流感満載です。

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ここからしばらくは、民家の裏手を通るので、大栗川の流れを見ることができません。もう少し上流に来ると、大栗川の流れがよく見渡せる場所があります。ここは多摩美大のキャンパス内の、バスターミナルの車路の上です。大栗川が、キャンパス内の雨水を取り入れている姿がよくわかります。

ここが、大栗川の「実際の姿を見られる最上流」ということになり、上流は川の流れは見えません。ある意味大栗川の上流端は、多摩美大のキャンパス内のこの風景といっても良いかもしれません。(※河川管理者の定義等は置いておいて、みんなが辿れるという意味で、ですが・・)ここからは暗渠になっている姿を少し見てみたいと思います。

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少し上流、多摩美大の駐車場の一角に、ブルーシートに囲まれた巨大なグレーチングがあります。おそらくこれは、多摩美大のキャンパスからの雨水排水を一時的に集める地下貯留槽の役目を果たしているのではないでしょうか。

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上流側は、住宅地のわきに緑地帯のような帯があります。河川の跡かと思いました。このあたりには、池のようなものもあったようです。今は宅地等に造成されています。

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緑地帯の片隅に、馬頭観音等が安置されていました。安置するなら、もう少し人目に付くところにすると良いと思ったのですが・・。藪が深くて行ける状況ではありません。

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もう少し上流に行くと、右手にFITHOUSEやレストランがある大きな商業施設、左に由木街道がある場所に来ます。商業施設や由木街道は、冠水しないように盛土しているのではないでしょうか。

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源流は、八王子バイパスを超えてもう少し上流に行ったところになります。自然地形では、こんなに高低差があるので、てっきりこのくぼ地の水は北側(片倉側)に流れていくものと想像していましたが、地図からするとこれが大栗川の最上流の流れのようです。これだけ国道16号の交差点部分は、大きく盛土等の造成を行っていたようですね。(下記の写真は八王子バイパスの歩道上から撮影)

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【終わりに】
大栗川の源流部分も、由木街道や国道16号が走り、市街化された感じがありますが、源流の谷戸の部分がかすかに残るなど、一歩離れたところには昔の地形が残っています。今は梅雨時、河川の堆積物が堆積した沖積平野は、昔から土石流等が運んできた上流の土砂が堆積してできた平地です。都市化していても、洪水が生じると低い場所では同じような災害がいつ生じてもおかしくないと思います。
川の成り立ちを知ることが、少しでも防災などの一助になればよいと考えています。

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