郷愁!サイヤ人。(ドラゴンボールZ 強襲!サイヤ人)
あまりにも唐突だけど、ファミコンソフト『ドラゴンボールZ 強襲!サイヤ人』の話をしようと思う。これがねえ、じつに名作なんですよ。
まず、BGMがいい。ラディッツ&ナッパ戦のBGMがとくによい。いまでも小学校の友達に会うと、鼻歌でデュエットしてしまうくらいだ。
つぎに、原作再現がいい。ゲーム中ではもちろん悟空が飛び抜けて強いのだけど、時間をかけてレベル最大まで上げると、悟飯のHPと戦闘力が悟空を超えて、Z戦士の中で最高値になる。原作のセルゲームの展開を見越したようなパラメータ設定に、プランナーのこだわりが垣間見られるのだ。
原作の「オレの ギャリック砲とそっくりだ……!!!!」というセリフどおり、ゲーム内の「ギャリックほう」のグラフィックは「4ばいかいおうけん・かめはめは」にそっくりだ。まるっきりの流用ではなく、しっかり違いを出しているところがじつによい。
ラスボスがベジータで、直前にナッパと戦うのだけれど、界王星での修行イベントにどれだけ時間をかけたかで、悟空の到着時期が変わる。時間をかけすぎると、原作のように、Z戦士がナッパにひとりひとり蹂躙されていくことになる。
当時6歳の私は、そりゃあ修行もじっくりやるわけで……。血を吐き苦しむピッコロのドット絵! 一撃でやられるヤムチャ! 「悟空ーー!!!! はやくきてくれーーっ!!!!」と叫んだクリリンの気持ちが、痛いほどよくわかった。それこそ、原作マンガを読んだときよりずっと。
思えばこれが、ほかのメディアと比較して「ゲームってすごいな」と感じた原体験だったのかもしれない。どうしようもなかったので、データを消して最初からやり直したんですけどね……。
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当時のキャラゲーらしく、ヘンなところもそれなりにあって。
じつはチャオズが最強。ルカニ&休み効果の必殺技「ちょうのうりょく」が、どんな相手にも100%通るという。原作ではナッパに効かなかったのに、なんという優遇。
原作ではラディッツ戦後、魔貫光殺砲に貫かれた悟空が、あの世で界王さまに修行をつけてもらう。いっぽう、ゲームで悟空とピッコロを生存させてラディッツを倒すと、神様に死ねと言われて悟空が自殺する。おいおい。
この神様、マジュニアなんじゃないか? というくらいの鬼畜っぷり。それに従う悟空も悟空である。
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ああ、こうやってどんどん思い出があふれてくる。本作のような名作に囲まれて、充実した小学生時代を過ごしたのだな、と思う。改めて鳥山明先生に感謝したい。
岐阜の小さな町のゲーム屋さんは、まだあそこにあるのだろうか。そう、これぞまさに『郷愁!サイヤ人』。……おあとがよろしいようで。
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