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どうしてガイドさんが書家になったの?(2024/5/14)

私が小中学生のとき、最も得意な科目は日本史でした。小学校4年生のときに天皇歴代124世をすべて暗記し給食の時間に披露しました。私は暗記が大好きだったのです。

そんな越俊幸少年が小学6年生のときに衝撃を受ける一冊の歴史ミステリー小説と出会います。タイトルは「猿丸幻視行」、作者は井沢元彦氏。おそらくですが歴代の江戸川乱歩賞受賞作品の中で最も有名な本だと思います。井沢元彦氏はこの作品発表後に時代の寵児となりマスコミで大人気を博します。彼の独自の歴史観は週刊誌の連載企画にもなった「逆説の日本史」にも顕著に表れています。

この猿丸幻視行で取り上げられているのは奈良時代の歌人、柿本人麻呂。普通の歴史探求アプローチでは絶対にたどり着けないルートで柿本人麻呂の正体を突き止めます。その過程が面白い。そのカギを握るのがなんと百人一首第五の歌、猿丸太夫のこの歌にあるのです。

師匠に書いていただいた宝物です

なんじゃこれ?って感じでしょ?しかしこの歌は百人一首の中ではとても有名で、耳馴染みのある歌の1つです。「奥山に紅葉踏み分けなく鹿の声聞くときぞ秋は悲しき」。覚えている方はおられますか?この歌が実はとんでもない意味を持っている歌なのです。深まりゆく秋のもの悲しさを歌っているのではないのです。「今日は10月29日かぁ…」なんつ~歌ではないのです!ここに深い歴史の闇が、1300年以上誰も解き明かしていない歴史の謎が隠されているのです。

百人一首第58番今年の大河ドラマの主人公紫式部の歌

こうして私は百人一首、古代の歌、日本書紀へと関心を持つようになりました。猿丸幻視行で紐解かれる歴史の真実像は歴史学者のアプローチとは異なり教科書に掲載される内容とは程遠いですが、しかしそこにこそ真実が隠されていると思うようになったのです。歴史の一級資料が必ずしも正確な記述に終始しているわけではなく、逆に正しいことは書き表せないとも思うようになったのです。

白氏詩巻(東京国立博物館国宝展展示サイトより)

そこから私は文字に注目するようになりました。井沢元彦氏の猿丸幻視行で描かれている柿本人麻呂の謎とは、意味を読み解く性格のものではなかったのです。どちらかと言えば字体というかフォーマットというか、文章の意味を考えない方が盛会にたどり着けるという性質のものだったからです。こうして普通のガキは思いつかない、古典の字体に注目し愛する少年が出来上がったのです。この考えが人生航路の全ての考えに影響しています。大多数の方が抱く考えにまず疑いを持つ。イヤな奴ですね。

私は現在おむすび書道BARキチジョウジで毎月第一木曜日に1日店長を務めています。こちらのBARでは筆跡診断や書道体験等を楽しむことができます。私の担当日にもしこのあたりの日本の古代史に興味を抱いている方が来店してくださったらとても嬉しいです。日本史から、古文書から歴史の魅力を語ってみたいと思いませんか?

最近の自信作の1つかな?

私は歴史への興味から古典に親しみを覚え、文字に愛着が湧きそして文字を上達しようという考えに至りました。これが書家を目指す理由です。ガイドとは全然関係ありませんでしたね。

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