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産後、菌血症と乳腺炎になった話


産後5日目の退院を控えた前夜、突然の寒気と震えで、思わずナースコールを押した。

「寒いので、布団を1枚追加できますか?」とお願いしたところ、電気毛布を持ってきてくれた。コロナの疑いで、検温、PCR検査(鼻の粘膜)を行った。何度だったかは覚えていないがこの時点で発熱があった。

産後3日目までは、暑くて暑くてしょうがないくらいだったのが突然、電気毛布+布団+タオルケットを3枚重ねても震えが止まらず、身震いが10分以上続いていたと思う。ここまでの全身の震えは始めてで、もしかして、死ぬのか?とさえ思った。

夜のうちにPCRの結果が出るも陰性。
その他、薄暗い照明の中、寝ながら問診を受けるも思い当たる病名が無いそうで、翌朝採血を行った。

そして採血の結果、「菌血症」であると診断された。

白血球の値が爆上がりしているということで、子宮の中の血液にもバイ菌が混ざっていた。傷口が癒える間もなく、ここから内診の日々。何よりもこの産婦人科での内診、しかも産後の傷口が痛むことが大きなストレスだった。

先生からは、強めに入院3日間の延泊を勧められるも、私はどうしても退院して自宅へ帰りたかった。

ただでさえ、コロナ禍で入院中、お子との面会は一切できない。日に日にどころか、数時間おきに顔が変わっていく新生児の一瞬を夫と共有できないなんて悲しすぎる。

それに、日曜退院を予定していたため、仕事が休みの夫は前日の土曜日から一生懸命部屋をピカピカにして、必要なものを買い出して、受け入れ体制万端で待っていてくれた。

入院というのは、患者の同意なしに強制することは法律上できない。これを知った私は、とにかく頑なに入院を拒否。結果、抗生剤と子宮収縮剤を処方してもらい、退院した。

翌日、そして2日間後、そして更にその2日後と、通院を続ける中、数値が悪くなり再び入院を促される場面もあったが、なんとか自宅療養で乗り切り、約1週間で回復した。

この間、寒気や高熱(最高39.9°)に加え、乳腺炎の症状も併発、更には産後のダメージと、健康体で生きてきた私にとって、これまでパスしてきた痛みが一気に押し寄せてきたような感覚だった。

退院日から急遽母に泊まりでお手伝いにきてもらったが、そうでなければ絶望的だった。

そして何よりも、夫が施してくれた看病、そしてお子へのお世話に大きな大きな愛と信頼を感じた。

おかげで夫は、おむつ替え、ミルク作り、授乳、沐浴、着替え、一通りのお世話を一瞬で出来るようになった。YouTubeで検索しやり方を勉強しながら、一気に育児能力が上がった。本当に凄いし、ありがたいと思う。

妊娠期、ワンオペ状態になったらどうしようとか、一から全て自分が教えなきゃいけないのかとか、無駄すぎる心配をしていた私に教えてあげたい。そして、もっと信頼していいんだよと言いたい。

普段感じる小さな不満は、きっと無視していいのだと思う。

いざという時に頼りになるということは、出産、そして退院後の闘病を通じて痛いほど分かった。涙が出るほど感謝の念を感じた。

これから先の人生、この恩を絶対に忘れず、どんな時も信頼して、家族3人の幸せを追い求め続けていきたい。


絶望的な体調不良で思い描いていたものとは少し違った、退院後の新たな生活ではあったが、「ありがとう」では言い表せないくらいの大きな感謝を抱いたこの間。

最高にキツくて、最高に幸せな闘病生活であった。

家族の最初の思い出として、そして私の人生の教訓として、このできごとは忘れることなく大事にしまっておきたい。

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