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日本語にあってフランス語にない言葉

たまにフランス語を教えていると、「この日本語はフランス語でなんて言うんですか?」と聞かれることがありますが、日本語ではよく使われるけどフランス語にそもそも存在しない言葉ってよくあります。

例えば、「仲良くする」。よく考えるととても抽象的な言葉ですよね。こういう実は何を意味しているのか具体的によく分からないような言葉は、日本語にたくさんあるのですが、フランス語にはありません。仲良くするって具体的にどういうことですか?ケンカしないこと?一緒に遊ぶこと?おしゃべりすること?フランス語には、「ケンカする」「一緒に遊ぶ」「おしゃべりする」という単語はありますが、「仲良くする」を直訳できるような動詞はありません。息子に聞いても、フランスで先生が「みんな仲良くしなさい」とか「○○さんと仲良くしてね」などの意味のことを言うことはなかった、喧嘩したときに「ケンカをやめなさい」とか言われることはあったけど、と言っていました。

日本ではよく学校などで「お友達と仲良くしましょう」なんて言われますが、具体的な行動として何を指すのかわからないこういう単語を使って子どもを教育すると、子どもは何をしたらいいのか実はよく分かっていないんじゃないかなと思ったりします。

このタイプの、実は何を意味しているかよく分からないけど頻出する日本語は、他にも「よろしくお願いします」「せっかくだから」「なるほど」などたくさんあります。こういうのを訳してくれと言われても、そんな単語は少なくともフランス語には存在しないし、何を意味しているのか掴みかねるので訳も非常に難しいです。

あとは例えば「ふるさと」。故郷という言葉は辞書には出てきますが、私はあまりフランス人が使っているのを聞いたことがありません。故郷と言いたいときは、「私が生まれた場所」や「家族がいる場所」などと言うことが多い気がします。移民がたくさんいる国なので、その人の「オリジン(起源)の国」と言う言葉はよく使います。でもそれって日本語でいう故郷とはちょっとニュアンスが違うような。今も家族や親せきがその国にいる場合も、もう家族ともどもフランスに来て2世3世になってる場合も、オリジンの国と言われるので。

逆に、日本語には存在しないけどフランス語にはある動詞で、いかにもフランスらしいなと思う単語もあります。「自分でなんとかする」という意味の動詞で、初級者で習う基礎単語です。se débrouiller、どうにか工夫して解決する。よく学校でも子育てでも使われます。自分でなんとか解決しなさい、という。フランス人は規則に従ったり、おとなしく列に並んだり、細かいことを器用にやったりするのはあまり得意じゃないと言われる国民ですが、この「何か問題があったときにどうにかする」能力は非常に高いです。小さい頃からこの動詞で教育されているからでしょうかね。あるいは逆に昔からこう教育されているからこういう言葉があるのでしょうね。

日本で子育てのとき「自分で何とかしなさい」と言ったら、あまりよい母ではないような印象ではないでしょうか?日本の子育てって、手取り足取り、すべて用意して、やることも母が導いて、っていう感じですよね。少なくとも子育て本などで見る限り。ベストセラーの子育て本で、子どもが高校生でも一緒に風呂に入り髪を乾かすのを母が手伝って東大へ合格させたというのがあるそうですが、フランス人が見たら卒倒すると思います。学校も、そこまで指定しますか?と思うほど、着るものから、行動様式まで決めて守らせようとします。でももしかすると、もう少し「自分でなんとかしなさい」「自分で考えて決めなさい」を言ってみると、子供の解決能力が伸びるのかもしれません・・。




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