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Let it be

私はデンマークのフォルケホイスコーレに2019年夏から2020年初夏まで滞在してきて、その体験から尊厳という言葉の意味をなんとか実感として理解したいと思い、Noteを書き始めた。堂々巡りする考えを書き連ねているので同じことを何度も書いていることもある。しかし一年も書き続けていれば、おそらくは少しずつどこかの方向には進んでいるのだろう。そう信じてもう少し書いていくことにする。

フォルケホイスコーレでは毎日数回、全員で歌を歌う。フォルケホイスコーレサンゲボーという伝統的な歌集があって、もちろんそれは数年に一度新しい歌を加えて改版されながら続いているが、その中の何番を歌うということで、教室に数十冊、ホールには全員分つまり100冊ほどが常備されている。学生は入るときに一冊ずつそれを取って席につき、歌い終わって退室するときにもとの棚に返すという具合だ。その121番の歌が有名なLet it beであった。ザ・ビートルズの名曲を毎回3コーラスまで全部歌った。この歌集の中の歌は結構5番まで、7番までと長いものが多いのだが、必ず全コーラスを歌った。それは歌詞が最後まで繋がっているということなのだとわかったのは、やはり帰国直前のことだった。

このLet it beはその中でも頻繁に歌ったように記憶している。英語の歌詞なので私には歌いやすく助かったということもあるが、やはり歌詞がデンマークの民主主義的ベースにとてもよくマッチしていたのではないかと今では思う。なるがままに、そのままにという歌詞は、感情的になって恣意的に物事を変えようとするよりも、なるがままに、そのままに受け止めて行くことが知恵であり答えなのだと。それは判断せずに意見を受け止め、お互いが安心して対話できる、まさにデンマークで学んだ民主主義的生活ではないかと思うのである。


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