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映画『天気の子』

※2019年8月26日にCharlieInTheFogで公開した記事(元リンク)を転載したものです。


 新海誠監督の『天気の子』を見てきました。アニメーション映画自体を見ることがあまりなく、新海作品も初めてでした。TOHOシネマズ梅田のレイトショーでしたが、公開から1か月余りたっていてもかなりの動員でした。男女カップルもたくさんいた一方で、全体的には男性のほうが多かったかなという印象です。

 天気の描写と、東京の描写は、さすがすごいなあと思いました。恥ずかしながらアニメーションが現実世界の風景を忠実に描き込む意味をあまりつかめていなかったのですが、なるほどと得心がいきました。各所で指摘されているように、主人公とヒロインにとっての特別なシーンにおいて、必ずジャンクフードがごちそう(になり得るもの)として描かれている感じも、現代を象徴しているなあと思いました。

 ストーリー自体は、うーん、という感じ。ヒロインが全ての業を背負わされるのに比して、主人公自体は特に何も犠牲にしていない点がずっとモヤモヤしました。終盤の逃走劇も、警察から追われる理由は拳銃不法所持容疑で、本筋とも関係なければ、ヒロインが背負った業とも関係がなく……。

 女性性の描き方に関しても気に食わないところがあり、人間描写の薄っぺらさゆえに、なぜそこまで主人公はヒロインのために動くのかの説得力を感じませんでした。

 過度な説明も、これ映画でやることなのかよと思いました。特に挿入歌にモノローグをかぶせる演出には、それなら歌を使う必要なくないか?と。挿入歌のサウンドにガッツがないのは映画館の音響設備の問題なのかなと思ったら、エンディングはちゃんと鳴っていたので、曲を使って何がしたかったのだろうと。

 冒頭にも記したように東京描写と天気描写は素晴らしかったのですが、ふと考えると震災後のディザスター映画の金字塔『シン・ゴジラ』は基本的に東京を俯瞰で描いていたので、そういう意味では地上の視点で被災する東京が描かれた点で記念碑的な作品なのかなとは感じました。


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