ウイスキー業界で活躍する女性たち
■前回は
ウイスキー業界は基本的に「男性社会」であり、女性の経営者・つくり手はかなり限られた存在であったことをご紹介しました。
しかし、ビール・日本酒・ワインと同様にウイスキー業界でも、男性がその中心だった世界から一転、近年は女性の活躍が目覚ましいです!
今回は、現在のウイスキー業界で「活躍する女性」の事例をいくつかご紹介したいと思います!
■デュワーズ
まずは日本でもお馴染みのスコッチ、デュワーズです!
デュワーズのマスターブレンダーは、2006年に7代目として就任したステファニー・マクラウドさんという女性です!
女性マスターブレンダーの先駆けとも言える存在で、米国インターナショナル・ウイスキー・コンペティションでは、その年の最も優れたブレンダーに送られる「マスター・ブレンダー・オブ・ザイヤー」を5年連続で受賞しているレジェンドです。
商品開発=ブレンドではデュアーズのダブルダブルシリーズ(コンペなどでの受賞が非常に多い秀逸な商品)の生みの親で、バカルディ社の所有するスコッチの5つのモルト蒸溜所を統括しています!
ダブルダブルシリーズ|デュワーズ|バカルディ ジャパン株式会社【BACARDI JAPAN】 (dewars-jp.com)
■ブラウンフォーマン(スコッチ部門)
ブラウンフォーマンは、ジャックダニエルであまりに有名なのでスコッチウイスキーのイメージがないかも知れませんが、スコットランドに「グレンドロナック」「ベンリアック」「グラングラッサ」の3つの蒸溜所を所有しています。
この中では、日本ではグレンドロナックが一番メジャーかと思います。
シェリー樽の使い方が上手で、グレンドロナック18年を「究極のシェリー爆弾」と呼んでいる人もいるくらいです。
このブラウンフォーマンのスコッチ部門で、2017年からマスターブレンダーを務めているのが、女性のレイチェル・バリーさんです。
というかこのレイチェルさんは、スコッチ業界で30年以上活躍し続け、「スコッチウイスキーのファーストレディ」とも呼ばれている大御所です。
現職の前にも、グレンモーレンジィ、アードベッグ、ボウモアなどでもブレンダーを務め、「キーパー・オブ・クエイヒ」というスコッチウイスキー業界の殿堂入りを果たしています。
凄いですね!
マスターブレンダー | バーをこよなく愛す、バーファンのためのWEBマガジン (bar-times.com)
シェリー樽の魔術師レイチェル・バリー氏が手掛ける新装スコッチウイスキー「グレンドロナック」をテイスティング | マイナビニュース (mynavi.jp)
■ブッシュミルズ
アイルランド島では一時、北端のブッシュミルズ、南端のミドルトンの2つの蒸溜所しかなくなるほど、ウイスキー業界が衰退しました。1980年頃の話です。
現在は、日本と同様にクラフト蒸溜所が一気に増え、計画中のものも含めると約60ケ所とも言われています。
その名門ブッシュミルズのマスターブレンダーに2021年に就任したのがアレックス・トーマスさんという女性です!
新しいマスターブレンダー | バーをこよなく愛す、バーファンのためのWEBマガジン (bar-times.com)
■ジョニーウォーカー
ジョニーウォーカーは、5大ウイスキーの中では圧倒的な売上を誇り、ぶっちぎちの売上No.1のウイスキーです。
この最大手のジョニーウォーカーも女性活躍で負けていられません。
7代目マスターブレンダーに2022年に就任したのが、女性のエマ・ウォーカーさんです。
長いジョニーウォーカーの歴氏の中で、初めての女性のマスターブレンダーの誕生です!
4つのキーモルトを含め 原酒はモルトだけで29種類 スコットランド中に1,000万樽が眠る! | バーをこよなく愛す、バーファンのためのWEBマガジン (bar-times.com)
■日本
一方、日本の蒸溜所でも、女性つくり手が次々と活躍して来ています!
◇遊佐蒸溜所
山形県の清酒メーカー:金龍さんが2018年に立ち上げた山形県初の本格クラフトウイスキー蒸溜所です。
JWIC-ジャパニーズウイスキーインフォメーションセンター
「ゼロベース発想で基本に忠実なウイスキーづくりを徹底したい」と、敢えてウイスキー製造の経験者を入れずに、ウイスキーづくりについては素人の3人からスタート。
そのうちの2人は、地元山形の大学を卒業したばかりの若い女性スタッフさんです!
【YUZA Third edition 2023】山形・遊佐蒸溜所(後編)【ウイスキペディア】#70 (youtube.com)
お二人ともすでに、それぞれのポジションの責任者へと成長されていますから、今後の活躍が楽しみですね。
◇嘉之助蒸溜所
鹿児島県の焼酎蔵元:小正醸造の関連会社が2017年に開設した本格クラフトウイスキー蒸溜所です。
小正醸造は、メローコヅルという木樽熟成焼酎で有名なので、スピリッツの木樽熟成に知見を持っているだけに、ウイスキーとの親和性は高いと言えます。
JWIC-ジャパニーズウイスキーインフォメーションセンター
この蒸溜所では、酒類業界での経験豊富な芹川さんという女性が、原酒づくりを指揮して活躍しています!
ベンチャー・本坊・嘉之助が蒸溜所の「個性」と「人」、「カルチャー」について語り合う | ウイスキーを好きになるメディア|Barrel-バレル- (barrel365.com)
■女性の活躍は企業にとって必須!
正直、これからの世の中で「女性の活躍」は必須です。
「男女の差がなく活躍できる環境」を用意せずして、企業は存続できないでしょう。
日本酒の酒蔵では女性杜氏(つくり手のトップ)が誕生しています。
一方で、日本のウイスキー蒸溜所で「女性マスターブレンダー」はまだいないと思います。
日本のウイスキー業界も、スコッチ業界や日本酒業界に負けていられませんね!!
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