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《激ムズ・クイズ》グレーンウイスキーはどれだ!?

■問題:この中で、グレーンウイスキーはどれでしょうか?

《問題》
ウイスキーには、モルトウイスキーグレーンウイスキーがあります。
この中で、グレーンウイスキーはどれでしょうか?

【A】
・大麦麦芽(モルト)100%
・単式蒸溜器(ポットスチル)で蒸溜。

【B】
・大麦以外の穀物(小麦・トウモロコシetc.)が主原料
・連続式蒸溜機で蒸溜。

【C】
・大麦麦芽(モルト)100%
・連続式蒸溜機で蒸溜。

【D】
・大麦以外の穀物(小麦・トウモロコシetc.)が主原料
・単式蒸溜器(ポットスチル)で蒸溜。

ちなみに、このクイズは、【C】が激ムズとなっています。


■答え:グレーンウイスキーはこれだ!

《答え》
グレーンウイスキーは、以下の3つ!

【B】
・大麦以外の穀物(小麦・トウモロコシetc.)が主原料
・連続式蒸溜機で蒸溜。

【C】
・大麦麦芽(モルト)100%
・連続式蒸溜機で蒸溜。

【D】
・大麦以外の穀物(小麦・トウモロコシetc.)が主原料
・単式蒸溜器(ポットスチル)で蒸溜。

Aはモルトウイスキーです。
そして、A以外は、すべてグレーンウイスキーということになります!


■一般的には、【A】と【B】の原酒しかありません!

一般的な、モルトウイスキーとグレーンウイスキーの定義は、こちらです。

A】モルトウイスキー原酒
・大麦麦芽(モルト)100%
・単式蒸溜器(ポットスチル)で蒸溜。

B】グレーンウイスキー原酒
・大麦以外の穀物(小麦・トウモロコシetc.)が主原料
・連続式蒸溜機で蒸溜。

一般的なウイスキーの解説には、【C】【D】は書かれていません。
それは、スコッチウイスキー(ジャパニーズも一緒)の場合、基本的にそのようなつくり方をしないからです。


ウイスキーの歴史を紐解くと、もともとモルトウイスキーが誕生。

その後に、生産効率の良い連続式蒸溜機が誕生します。

連続式蒸溜機で大量生産されるウイスキーは、モルトウイスキーに対する差別化として、低価格戦略を取ります。
(このあたりは、ハイランドに密造者が多かったとか、ハイランドとローランドの酒税が違ったなどの歴史的背景がありますが、それはまた別途で記事化します。)

そのため、連続式蒸溜機では、大麦よりも原価の低い、コーンや小麦が使用されるのが一般的になりました。

そして、モルトウイスキー、グレーンウイスキーをブレンドをするという方法が、発明されました。
これにより、味わいを滑らにするとともに、ロットによる味のブレがなくなり、大量に均一品質のウイスキーをつくることができるようになりました。

このスコッチウイスキーの一大発明である『ブレンド』技術こそが、スコッチが世界的なお酒としての地位を確立するキッカケの一つとなりました。

その後今日に至るまで、この『ブレンディッド・ウイスキー』は、スコッチウイスキーの大半を占めています。


■ラウド・スピリッツ / サイレント・スピリッツ

ちなみに、モルトウイスキー、グレーンウイスキーは、その特徴から、それぞれ別名でこう呼ばれます。

■モルトウイスキー
ラウド・スピリッツ。
大麦麦芽の風味が感じられるウイスキー。

■グレーンウイスキー
サイレント・スピリッツ。
穀物の風味を感じにくい、クリーンなウイスキー。
(逆にいうと個性・風味に乏しい)


■ポットスチル(単式蒸溜器)と連続式蒸溜機

ウイスキーをつくるにあたり、ビール的なものを蒸溜(液体を煮てから、蒸発した気体を冷やして再び液化して、純度を高める工程)しますが、その際に使われる機材は、大きく下記の2つに分けられ、それぞれ、できあがるウイスキーに特徴があります。

ポットスチル(単式蒸溜器)
例えるなら、大きな「やかん」
原材料の風味が残りやすい。


連続式蒸溜機
例えるなら、大きな「コンビナート」。
連続で蒸溜されることにより、純度が高まり、純粋なアルコールそのものに近くなので、穀物の風味が残りずらい。
その分、クリーンな味わい。

ウイスキーマニアとしては、単式蒸溜「器」と、連続式蒸溜「機」の漢字の違いに、グっときますね!


■モルトウイスキーとグレーンウイスキーを区別するポイント

原材料ではなく、酒質が区別のポイントとなります!

具体的には、以下の観点から、「モルトウイスキーか、グレーンウイスキーか」かを区別します。

・大麦麦芽の風味が残っているか?
 (ラウド・スピリッツか?)

・大麦麦芽の風味が残っていないか?
 (サイレント・スピリッツか?)


この観点から、【A】〜【D】を確認してみたいと思います。

【A】
・大麦麦芽(モルト)100%
・単式蒸溜器(ポットスチル)で蒸溜
 ↓
これは、他と比べたら、圧倒的に大麦麦芽の風味が残るのでモルトウイスキー!
【B】
・大麦以外の穀物(小麦・トウモロコシetc.)が主原料
・連続式蒸溜器で蒸溜
 ↓
これは大麦麦芽がメインでない上、連続式蒸溜機で風味が乏しくなるのでグレーンウイスキー!
【C】
・大麦麦芽(モルト)100%
・連続式蒸溜器で蒸溜
 ↓
これは大麦麦芽を使うものの、連続式蒸溜機で風味が乏しくなるのでグレーンウイスキー!
【D】
・大麦以外の穀物(小麦・トウモロコシetc.)が主原料
・単式蒸溜器(ポットスチル)で蒸溜。
 ↓
これはポットスチルで穀物の風味が残るものの、「大麦麦芽」の風味が残るわけでないので、グレーンウイスキー!


■結論:モルトウイスキーとグレーンウイスキーの区別

スコッチウイスキーでは、このように定義されています。

【出典】稲富博士のスコッチノート 第103章(サントリーHP)

【人気コラム】 稲富博士のスコッチノート
稲富博士のスコッチノート [Ballantine's] 香るウイスキー バランタイン (ballantines.ne.jp)


今回の問題の【C】は、本当に難しかったですよね!?

原材料が「大麦麦芽かどうか」ではなく、できあがる酒質=大麦麦芽の風味が残るかどうか、が区別のポイントです!

次回からは、マイナーな存在の【C】【D】について、ご紹介したいと思います。

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