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『バスカー』『ジェムソン』etc. アイリッシュ・ウイスキー 爆進中!

■多様性に富むアイリッシュのブレンディッド・ウイスキー

アイリッシュ・ウイスキーの魅力のひとつは、「ポットスチル・ウイスキー」という独特なウイスキーカテゴリーがあることであると、先日、お伝えしました。

そのポットスチル・ウイスキーがあるおかげで、アイリッシュブレンディッド・ウイスキーは、スコッチ・ウイスキーや、ジャパニーズ・ウイスキーにはない多様性があるのです!

◇アイリッシュのウイスキー原酒
(ア)モルト・ウイスキー原酒
(イ)グレーン・ウイスキー原酒
(ウ)ポットスチル・ウイスキー原酒

スコッチやジャパニーズ・ウイスキーでは、ブレンディッド・ウイスキーは、「(ア)モルト+(イ)グレーン」で、つくられます。

ただ、アイリッシュのブレンディッド・ウイスキーは、(ウ)ポットスチル・ウイスキーがあるので、組み合わせのパターンが増えます。

◇アイリッシュのブレンディッド・ウイスキーの種類


《タイプ①》
 (ア)モルト・ウイスキー原酒 
     +
 (イ)グレーン・ウイスキー原酒


《タイプ②》
 (イ)グレーン・ウイスキー原酒 
     +
 (ウ)ポットスチル・ウイスキー原酒


《タイプ③》
 (ア)モルト・ウイスキー原酒 
     +
 (ウ)ポットスチル・ウイスキー原酒


《タイプ④》
 (ア)モルト・ウイスキー原酒
      +
 (イ)グレーン・ウイスキー原酒
                   +
 (ウ)ポットスチル・ウイスキー原酒

基本的には、スコッチ・ウイスキーと同じ「タイプ①」が多いのですが、家系ラーメン・全トッピング的な「タイプ④」が、気になりますよね。

ちなみに、アイリッシュのブレンディッド・ウイスキーが、どのタイプのブレンディッド・ウイスキーなのかは、その都度、商品情報を確認するしかありません。
なかなか面倒ですが、これはこれで、ウイスキーマニア心をくすぐられますね!


■最近人気のバスカー

以前もご案内した商品ですが、最近、人気のアイリッシュ・ウイスキーで、新興蒸溜所であるロイヤルオーク蒸溜所の『バスカー』という商品があります。

ちなみに、ロイヤルオーク蒸溜所は、新興蒸溜所ながら「モルト・ウイスキー」「グレーン・ウイスキー」「ポットスチル・ウイスキー」のすべてのタイプのアイリッシュ・ウイスキーの原酒をつくっています。
3種すべての原酒をつくっている蒸溜所は珍しく、普通は1種か2種までの蒸溜所が多いです。

『バスカー』には「シングルモルト」「シングルグレーン」「シングルポットスチル」に加え、「バスカー アイリッシュウイスキー」というブレンディッド・ウイスキーがあります。(むしろ、これが最初の商品みたいです)

この「バスカー アイリッシュウイスキー」は、アイリッシュのブレンディッド・ウイスキーです。そして、そのブレンドのタイプはというと・・・
タイプ④「モルト+グレーン+ポットスチル」=家系ラーメン全トッピング!

バスカー アイリッシュウイスキー | Explore our craft philosophy (whisk-e.co.jp)

ちなみに、バスカーとは「大道芸人」「路上パフォーマー」といった意味だそうです。


■爆進中のアイリッシュ・ウイスキー

19世紀半ばにはスコッチ・ウイスキーを圧倒していたアイリッシュ・ウイスキーですが、19世紀後半に失速する(これについてもいつか記事化したいですね)と、そのまま衰退を続け、1975年には、たった2ケ所の蒸溜所にまで減少します。

1987年にジョン・ティーリングさんという強者が、クーリー蒸溜所を開設し反転攻勢がはじまるも、その勢いが増すには、まだ時間がかかります。

その後、2014年頃から、スコットランドのクラフト蒸溜所の開設ブームと時をほぼ同じくして、アイルランド島でもクラフト蒸溜所の開設が、一気に加速します。
そして、たった2ケ所だったアイルランド島の蒸溜所の数は、2022年現在、なんと60ケ所前後まで爆増しているのです!


■今後が楽しみなアイリッシュ・ウイスキー

ポットスチル・ウイスキーという、特徴的な独自のウイスキーカテゴリーを持つ。

・そしてそれがあることによる、バリエーション豊かなブレンディッド・ウイスキー。

クラフト蒸溜所が急増中!

・一方で、老舗ブランドも躍進中!
(例えば、アイリッシュ・ウイスキー売上No.1のジェムソンも、世界販売数量をここ何年もずっっっと伸ばしていて、2021年は5大ウイスキーの中で、5位にランンクイン! どうしてここまで復活できたのか、とても気になりますので、調べてみたいと思います。)

この「多彩な原酒構成」「勢い」のあるアイリッシュ・ウイスキー。
今後もしばらくは目を離せませんね!

※タイトルの写真は、1975年に残っていた2つの蒸溜所の一つ、ブッシュミルズ蒸溜所のすぐ近くにある世界遺産「ジャンアンツ・コーズウェイ」です。

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