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世界的ウイスキーブーム。そして日本もウイスキーブーム! でも・・・

■世界的ウイスキーブーム

前回、世界的なウイスキーブームをご紹介させていただきました。

世界的ウイスキーブーム! そして日本は?|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)

それでは、日本の状況を確認してみたいと思います。


■日本のウイスキー市場のピーク

日本のウイスキー市場は、1983年がピークでした。
そこから2007年までひたすら縮小を続け、出荷量は約1/5まで減少します。

ウイスキー文化研究所HP内
の下記サイトより引用

JWIC-ジャパニーズウイスキーインフォメーションセンター|JW物語

そして、その日本のウイスキーが一番売れなかった2008年に日本クラフトウイスキー業界の雄:ベンチャーウイスキー社(イチローズモルト)の秩父蒸溜所が生産を開始します。

このイチローズモルトの「実直さ」については、長々と12話に渡って、ご紹介しています!

◇1話目がこちら ↓
日本のクラフト蒸溜所の興り『イチローズモルト』|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)

2008年から角ジョッキのハイボール・プロモーションによって、ウイスキー市場は回復に転じますが、2010年でも稼動していた蒸溜所は8ケ所です。

◇2010年 稼働蒸溜所

《サントリー》 山崎・白州・知多
《ニッカ》   余市・宮城峡
《キリン》   富士御殿場
《江井ケ嶋酒造》ホワイトオーク蒸留所
   (2019年:江井ケ嶋蒸溜所に改称)
《ベンチャーウイスキー》秩父

ジャパニーズウイスキーイヤーブック2024 P9ほか
発行:ウイスキー文化研究所


■日本のウイスキー市場の回復

『角ハイボール』にはじまった、日本のウイスキー市場の回復が一時的なブームではなく、1つの『お酒文化』として定着してきたことが確定的となった2014年には、かの有名なNHKの『マッサン』が放映されます。

そして、2016年頃から一気に新規蒸溜所の開設が相次ぎます。

《2011年》
本坊酒造:マルス信州蒸溜所を再稼働
宮下酒造:岡山蒸溜所で試験醸造を開始

《2016年》
堅展実業:厚岸蒸溜所が製造開始
笹の川酒造:安積蒸溜所が製造開始
長濱浪漫ビール:長濱蒸溜所を開設
本坊酒造:マルス津貫蒸溜所を開設
ガイアフロー:静岡蒸溜所が製造開始

《2017年》
小正醸造:嘉之助蒸溜所を開設
若鶴酒造:三郎丸蒸留所をリニューアル
中国醸造:桜尾蒸溜所を開設

《2018年》
金龍:遊佐蒸溜所を開設

《2019年》
ベンチャーウイスキー:秩父第2蒸溜所を開設
黒木本店:尾鈴山蒸留所が製造開始
西酒造:御岳蒸溜所が製造開始

《2020年以降》
記載するのに多すぎるので省略!

ジャパニーズウイスキーイヤーブック2024 P257-258
発行:ウイスキー文化研究所

とにかく、この直近10年ではウイスキー蒸溜所が増えまくっているのです!!

この状況を、ウイスキーが25年間に渡ってダウントレンドだった2000年代の前半に、誰が予想できたでしょうか!?


■《日本》2024年 年初時点では

2024年2月1日に、ウイスキー文化研究所さんから、「ジャパニーズウイスキー・イヤーBOOK2024」が発売になりました。

そこに掲載されている日本国内の蒸溜所は計画中のものも含めて、114ケ所!

「ジャパニーズウイスキー・イヤーBOOK2023」では、それが76ケ所(準備中:11ケ所)でしたから、1年間で実に38ケ所の蒸溜所が増えていることになります。

◇日本のウイスキー稼働蒸留所数

《2010年》  8ケ所
 ・・・
《2013年》 10ケ所
《2014年》 12ケ所
 ・・・・
《2023年》 97ケ所

ジャパニーズウイスキーイヤーブック2024 P9
発行:ウイスキー文化研究所

2013年からの10年間で、約10倍の稼働蒸溜所の数へと急増しています!

そして現在、日本のウイスキーは、サントリー、ニッカ、キリン、イチローズモルトをはじめ、クラフト蒸溜所も、世界的なウイスキーコンテストで高い評価を得ています。

これは25年間という長期のダウントレンドの『ウイスキー不遇の時代』でも、「美味しいウイスキー」を愚直に追及し続け、技術を磨き、設備に投資をして、日本のウイスキーづくりを連綿と受け継ぎ、次の世代へ継承してきてくださった日本ウイスキー業界の先人達。

今は語られることのない先人達の不断の努力が、現在の「ジャパニーズウイスキーの世界的な評価」に繋がっているのと思います。

このように超・調子が良いように見えている日本のウイスキー業界。

でも、「数字的にはそうでもないよ」という事実もあるのです!!


■日本国産ウイスキーの輸出って、減っちゃっています。。

実は、2023年の日本国産ウイスキーの輸出は、前年を大きく割り込みました。
(数量・金額とも大きく前年マイナス)

◇2023年 日本国産ウイスキーの輸出状況

【輸出量】
約1290 万リットル(対前年比 9%減

【輸出金額】
  約501 億円  (対前年比 11%減

下記のJWIC内のニュースリリースから引用

202312_whisky_statistical_data.pdf (jwic.jp)

2005年に前年を下回って以来、2006年から16年連続で、輸出金額を増やし、2020年には日本酒を抜いて、日本国産のお酒の中で、輸出金額No.1の座をGETしたウイスキー

その日本のウイスキーの海外への輸出が、2023年に前年を割ったのです!

明らかに異変ありですね。

これについて、次回、考えてみたいと思います!!

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