『灘の男酒、伏見の女酒』から考える「仕込み水」と「発酵」の関係
■前回のまとめ
今回のタイトルからすると、なんかウイスキーから離れてきた感じがしますね。。
でも、ウイスキーも日本酒も、穀物を原料とするお酒という意味では一緒なので、もう少々お付き合いください。
では、この硬度が酒質にどのような影響を与えるのかが今回のお話しです。
■灘の男酒、伏見の女酒
これ、聞いたことがあるフレーズではないでしょうか?
灘も伏見も、江戸時代からの日本酒の名醸地です。
このように日本酒がつくられる土地によって、味わいに傾向があるため「灘の男酒、伏見の女酒」というフレーズが誕生しました。
では、なぜこの味わいの違いが生まれるのでしょうか?
■犯人はやっぱり硬度!
いきなり答えからですが、灘と伏見、それぞれでつくられる日本酒の味わいの傾向を左右している最も大きな要因が、仕込み水の「硬度」です!
では、なぜ「硬水だと酒質が強く」、「軟水だと酒質が柔らかく」なるのでしょうか?
■『硬度』と日本酒の『酒質』
「灘の男酒、伏見の女酒」、その違いは水にあり!【専門用語を知って日本酒をもっと楽しく!】 | 日本酒専門WEBメディア「SAKETIMES」 (sake-times.com)
日本酒の8割は「水」- 軟水・硬水の違いと日本酒の味わいへの影響を学ぶ | SAKE Street | プロも愛読の日本酒メディア
こちらの2つのサイトから「硬度」と「日本酒の酒質」について要約すると以下のことが言えます。
これを発酵時間という観点からまとめると、
発酵時間が短いと酒質が強めとなり、発酵時間が長いと酒質が柔らかくすっきりとするのは、ウイスキーのモロミをつくる場合も同様です!
ここから日本酒からウイスキーのお話へ戻します。
■長期発酵とウイスキーモロミの酒質
ウイスキーのモロミとは、ポットスチルで蒸溜する前のアルコール液で、いわばビールです。(ホップは入っていませんが)
甘い大麦の汁(=麦汁)に、酵母を入れると発酵がはじまり、糖分が二酸化炭素とアルコールへ分解されます。
通常、発酵の開始から12~18時間くらいが最も酵母の活動が活発になり、一番泡立ちます。
その後、その泡立ちはおさまり、48~60時間(2~2.5日)で発酵工程は完了となります。
しかし、その発酵工程を72~120時間(3~5日)くらいに、敢えて長くする場合があります。
「週末を挟むのでー」という事務的な理由で発酵が長くなることもありますが、現在は「目指すモロミの酒質」を狙って、意図的に発酵時間を長くすることが多いです。
なぜなら発酵時間を長くすると、乳酸発酵が進行することもあり、モロミは雑味の少ないクリーンな酒質になる傾向があるからです。
ウイスキーの発酵について業界30年の専門家が解説【ザ・スコッチモルトウイスキー・ソサエティ】【ウイスキー概論10】|ウイスキーの世界 | SMWS (smwsjapan.com)
このように、ウイスキーの発酵工程で72時間以上かけていれば、
「長いなー。さては、クリーンなモロミを狙っているな!!」
と思ってしまいますね、私は。
■話を「仕込み水」に戻さないと!
イケナイ、イケナイ!
話が「仕込み水の硬度」から離れてしまいました。
次回はウイスキーの「仕込み水の硬度」について、お話ししたいと思います!
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