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アル・カポネが荒稼ぎ! カナダからのウイスキー密輸

■《アメリカ禁酒法時代》お酒の2大密輸ルート

◇《アメリカ禁酒法時代》お酒密輸の2大ルート

【ルート①】
アメリカ東海岸ルート ⇒  海上=船

【ルート②】
カナダ国境ルート   ⇒  陸上=車

前回は、【ルート①】の海上ルートをご紹介しました。

《アメリカ禁酒法時代》 海の上の『酒屋通り』 | 記事編集 | note

今回は、陸上ルートについてご紹介します!


■アメリカのウイスキー庫:カナダ

アメリカで禁酒法が施行された時に、一番恩恵を受けたのがカナダのウイスキー業界でした。

アメリカから

「ちょっと、すぐ隣りだからウイスキーをつくるのを自粛くれない?」

と依頼があっても、

「そんなこと言われても、ウチらは知らねーし」

というわけで、カナダではウイスキーが、ドシドシつくられて(これは合法)、アメリカへバンバン密輸(こちらは非合法)されることとなります。

こうして、アメリカ禁酒法で、カナダのウイスキー業界には空前の好景気が訪れ、「アメリカのウイスキー庫」と呼ばれるまでに至ります。

一説によれば、この禁酒法時代に

アメリカ合衆国で消費された
ウイスキーの3分の2はカナダ産のウイスキー

だったとも言われています。

そして、このカナダからのウイスキーの密輸に、目をつけたのがマフィアを中心としたギャング達でした。


■ギャングによるカナディアン・ウイスキーの密輸

カナダのウイスキーとて表面上は輸入禁止であったが(中略)、カナダとアメリカ合衆国は長い区間に渡って国境を接しているという地の利をカナダは持っていた。アメリカ合衆国とカナダとが国境を接している区間は長く、監視しきれなかったために容易に密輸ができたのである。

結果としてカナダのウイスキーは、アメリカ合衆国へと密輸されることとなる。

ちなみに、ハイラム・ウォーカー社とシーグラム社は、アメリカ合衆国のミシガン州のデトロイトへ小型の高速船を使ってデトロイト川を渡って簡単に密輸できるように、カナダのオンタリオ州のウィンザーにウイスキーの醸造と蒸留を行う設備を持っていた。

なお、デトロイトとウィンザーとは、川の対岸に位置していて、距離はほとんどない。この他にも、禁酒法下にあったアメリカ合衆国の北部に居住していた市民は、休日になると自動車で国境を越えて、カナダで酒を買い求めるということもあった。

カナディアン・ウイスキー Wikipedia より

カナディアン・ウイスキー - Wikipedia

こうして、カナディアン・ウイスキーはアメリカへ、国境を越えて

①    国境の山道から
②    国境の5大湖の湖上から
③    国境のデトロイト川から

密輸されたのでした。

その中でも、一番有名なのが③デトロイト川からの密輸です。


■アル・カポネで有名なデトロイト・ルート

このデトロイト・ルートに目をつけたのが、マフィアボスとしてあまりに有名で、シカゴを拠点としていたアル・カポネです。

アル・カポネは、デトロイトから川の対岸にあるオンタリオ州ウィンザーの「ハイラム・ウォーカー蒸溜所」から、カナディアン・クラブを密輸していました。

アル・カポネが密輸していたというか、正直、ハイラムウォーカーとは思いっ切りグルで、

・ハイラム・ウォーカー蒸溜所の地下には、マフィアとの商談室があった。

・なんなら蒸溜所の地下から川の下を通って、デトロイトまでつながっていた「密輸用トンネル」があった。

なんて、映画みたいな話もあるようです。

ウィンザー4日目☆canadian club「カナディアンクラブ ブランドセンター」見学①:サリンコblog:So-netブログ (ss-blog.jp)

アンダーグラウンドながら、
「売りたい」「買いたい」の需要と供給 = 両者の思惑
が一致したということですね。


■割れにくいボトル瓶をつくれ!

で、このアル・カポネが、ウイスキーの密輸運搬用につくらせたと言われているのが、

割れにくいウイスキーボトル瓶

です。

せっかくデトロイトから目と鼻の先のカナダ国境を越えて、アメリカ国内にウイスキーをGETしても、当局に見つからずに、消費地まで運ばないといけません。

ちなみに、

トラック1 台分カナディアン・クラブ
シカゴに運べば、
シカゴに新築の住宅16 戸が買える。

と言われたほど密輸ウイスキーは高価だったので、1本も無駄にしたくないわけです。

当然、人目のつきづらい山道を通ることが多くなりますが、山道は揺れます。

しかしそこで、ボトル同士がぶつかり割れてしまったら、商品価値がなくなってしまいます。

そのため、アル・カポネが、仕入れ先=ハイラム・ウォーカー社につくらせたのが、割れにくい形状の「ゲートボトル」です!

東京ウイスキー&スピリッツコンペティション-TWSC (tokyowhiskyspiritscompetition.jp)

ちなみになぜ、「ゲート=門」なのかと言うと、ハイラム・ウォーカー社の門をイメージした扁平型のボトルだったからです。

これは、通常の丸型でなく、扁平型にしたことで、ボトル同士がカチャカチャと触れても、割れづらくできたからです。

ゲートボトル。
ウイスキー検定や、ウイスキーコニサー試験に出題されますから、要チェック!


■密輸ウイスキーの運び屋

このゲートボトルをはじめとした、密輸ウイスキーを、アメリカ国内で消費地まで運んでいた運び屋について、次回ご紹介したいと思います!

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