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《日本国産ウイスキー》中国への輸出が急減!!

■前回からの続きです。

『日本国産ウイスキー』の輸出が減っているという事実!|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)


■2023年に輸出が前年を下回った日本国産ウイスキー

2023年の日本国産ウイスキーの輸出は、前年を大きく割り込みました。
(数量・金額とも大きく前年マイナス)

◇2023年 日本国産ウイスキーの輸出状況

【輸出量】
2023 年年間  約1293 万リットル
  (対前年同時期比 9.3%減

【輸出金額】
2023 年年間  約501 億円
  (対前年同時期比 10.6%減

下記、JWIC内のニュースから引用

202312_whisky_statistical_data.pdf (jwic.jp)

2005年に前年を下回って以来、2006年から16年連続で、輸出金額を増やしていた「日本国産ウイスキー」に異変が起きています。

この日本国産ウイスキーの輸出については、国税庁から発表されているのです。
酒類の輸出動向(令和5年分)|国税庁 (nta.go.jp)

また、その国税庁のデータをグラフなどにまとめていただいているサイトを見つけました! こちら非常にわかりやすいです。
ポストさんてん日記 酒類の輸出状況(日本酒・ウイスキー・ビール) (fc2.com)

これらの情報をベースに、「なぜ日本国産ウイスキーの輸出金額は減ってしまったのか?」について、考えてみたいと思います。


■輸出が減っているのはウイスキーだけではない!

3位以下を引き離して日本の酒類で輸出されているのが、1位:ウイスキー、2位:日本酒です。
ウイスキーは、2023年の輸出金額は前年比11%減の約501億円でした。
では、2位の日本酒はどうだったのでしょうか?

◇2023年 清酒の輸出状況

【輸出量】
2023 年年間  約29,195万リットル
    (対前年同時期比 18.7%減

【輸出金額】
2023 年年間  約501 億円
    (対前年同時期比 13.5%減

日本酒も減っとるやん!!
というか、日本酒の方が、ウイスキーよりも大きく前年比を落としとるやん!


■一方で3位のビールは?

ウイスキー、日本酒に次いで、金額ベースで3番目に輸出されているのがビールです。
では、ビールの輸出状況はどうなのでしょうか?

◇2023年 ビールの輸出状況

【輸出量】
2023 年年間  約137,891万リットル
     (対前年同時期比 81.5%増

【輸出金額】
2023 年年間  約179 億円
     (対前年同時期比 66.6%増

ビールは、輸出をムチャクチャ増やしとるやん!!

「1位:ウイスキー」「2位:日本酒」と、「3位:ビール」のこの輸出の勢いの違いはどこから来るのでしょうか?


■輸出相手国を見れば一目瞭然!

これは、輸出の相手国を見るとその原因がわかります。

◇日本国産酒類の輸出相手国

 ウイスキー 1位:中国
 清酒    1位:中国
 ビール   1位:韓国

要は、日本から輸出されたウイスキーと日本酒は、中国で売れていて、ビールは韓国で売れているということです。
(ちなみに日本産ビールの輸出先トップ3は、1位:韓国、2位:台湾、3位:中国です。)

これを見ると、「ウイスキー」「日本酒」の輸出が減っているのは、「中国への輸出」が関係していそうです。

ここで、このカテゴリー毎の輸出1位の国の輸出金額の「前年比」と「そのお酒の輸出金額全体の中での構成比」を見てみましょう!


■輸出先1位:中国への輸出が急減!

◇日本国産酒類の輸出相手国

ウイスキー 1位:中国
  (前年比 -33%) [金額構成比26%]

清酒    1位:中国
  (前年比 -12%) [金額構成比30%]

ビール   1位:韓国 
  (前年比 437%) [金額構成比46%]
ビール   3位:中国 
  (前年比  -5%) [金額構成比12%] )

※ ビールの韓国への輸出金額の伸びがハンパじゃないです。これはこれで調べてみたいと思います。

※ ビールは輸出ではなく、現地生産をしているケースも多いなで、「輸出金額 ≒ 現地の消費量」とはなりません。

この輸出のデータから以下のことが言えます。

◇ウイスキー&日本酒 の輸出
 中国約3割を占めるNo.1輸出先
  → その中国で輸出が大幅2ケタ減!

◇ビール の輸出
 中国が特出して多いわけでない
 → その上、中国でも約5%マイナス程度

つまり

ウイスキー日本酒は、
輸出先1位の中国への輸出(金額・数量)が
構成比が約3割と非常にウェートが高い。

そこへ中国の不景気が直撃し、
2ケタ以上の大幅減少になったため、
輸出全体としても、前年を割ってしまった。

と言えると思います。

ちなみに「コロナ禍後の中国が不景気である」というニュースはこちら↓

中国経済は2023年に急速に回復し、世界成長の原動力としての役割を再び果たすと予想されていた。ところが実際は、国際通貨基金(IMF)などから世界生産の〝足かせ〟とまで呼ばれるほどに失速した。
(中略)
2022年の暮れ、中国政府の厳格な「ゼロ・コロナ」政策が転換され、23年に期待された経済回復は強い逆風にさらされたのだ。
ロイター通信によると、コロナ後に消費者は再びショッピングモールに向かい、海外投資が再開され、工場が再稼働し、住宅販売が安定するだろうとの期待があった。ところが、中国人消費者は不況に備えて貯蓄し、外国企業は資金を撤退製造業は西側諸国からの需要の減退に直面し、地方政府の財政は不安定になり、大手不動産会社は相次いで債務不履行に陥った。

下記、Yahoo!ニュースから引用

2024年中国経済はさらに悪化へ 景気低迷が長期化も 「今後数十年間」の規模か(The News Lens Japan) - Yahoo!ニュース


■中国の景気後退に加え・・・

皆さんもニュースでご存じの通り、2024年4月時点で、中国は日本産海産物の輸入を停止しています。

処理水放出 中国の日本産水産物輸入停止発表から半年 政府 規制の即時撤廃要求も中国側応じず 規制長期化か | NHK | 中国

この影響で「和食店」「日本風 居酒屋」の休業・閉店も増えています。

そこで「ホタテの刺身」などと一緒に提供されていた「日本のお酒」の売上も減っているので、それも輸出減少の一因だと思われます。


■本当に中国の景気減退だけが要因なの?

日本産ウイスキーの輸出減少は「中国の景気減退」だけが要因なのでしょうか?
次回に続きます!

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