見出し画像

酒屋さんと居酒屋さんでは、売ることのできるお酒が違う!?

■ウイスキーの話題と離れていきますが・・・

前回まで、「酒類の容器」についてのお話をしました。

お酒の容器革命! ウイスキーも他のお酒も「樽」から「瓶」へ | 記事編集 | note

容器革命! ビールは「瓶⇒缶」。ウイスキーは?? | 記事編集 | note

【ウイスキー】今に繋がる容器進化の事例! | 記事編集 | note


ウイスキーと話が少し離れてしまいますが、「お酒の容器」の話題のついでに、

お酒を容器に入れたままで売れるか? 否か??

について、お話ししたいと思います。

現時点は、なんのこっちゃ?という感じだと思いますが、少々お付き合いください。


■酒屋さんと居酒屋さんでは販売できるお酒が違う!?

『酒販免許』という言葉があります。

これは読んで字のごとく「お酒を売ることができる免許」です。

お酒を売っているお店といえば、『酒屋さん』『居酒屋さん』の2つがメジャーだと思います。

では、どちらも『酒販免許』を持っているのでしょうか?

答えはNOです。

◇お酒を売るのに必要な申請(=免許)

酒屋さん       ⇒ 酒販免許
  ※ 酒販免許にも、様々な種類があります。

居酒屋さん(=飲食店) 
  ⇒ (飲食店としての)営業許可証

◇酒販免許の取得については
酒販免許の取得方法を徹底解説【わかりやすく説明します】 | tetote行政書士法人 (teto-te.com)

◇飲食店の営業許可の取得については
飲食店営業許可証を取得するには?開業に必要な手続きや資格を詳しく解説 | 経営者から担当者にまで役立つバックオフィス基礎知識 | クラウド会計ソフト freee

同じ「お酒」を売っているのに、必要な「免許」が異なります。

実はこの免許の違いによって、「販売できるお酒」が違うのです!


■酒屋さんで販売できるお酒 VS 居酒屋さんで販売できるお酒

いきなり答えからです。

◇販売できるお酒

《酒屋さん》      = 酒販免許
  ⇒ 販売できるのは 未開栓のお酒

《居酒屋さん(飲食店)》= 営業許可証
  ⇒ 販売できるのは 開栓済のお酒

居酒屋さん(=飲食店さん)で販売できるお酒は、「開栓済のお酒」に限られます。

もうちょっと踏み込んで言うと

お客様からオーダーを受けてから、
調理・加工を施されたお酒

が、居酒屋さん(=飲食店としての営業許可証)で販売できるお酒です。

◇調理・加工を施されたお酒

▼カクテル
 オーダーを受けてから、メイキング。

▼ハイボール
 オーダーを受けてから、ウイスキーをソーダで割る。

▼生ビール
 オーダーを受けてから、ビールサーバーから注ぐ。

このように、「オーダーを受けて」から、「調理・加工したお酒」を販売できるというのが「飲食店の営業許可証」なのです。


■瓶ビールは!?

ここで疑問が浮かんできます。

◇疑問
居酒屋さんで瓶ビールを注文した時は、瓶ビールは、調理・加工されずに、そのまま出てくるではないか??

これは、どのように考えたらよいのでしょうか?

◇答え
お客様に、瓶ビールのオーダーをもらってから、
栓を抜いて、瓶ビールを提供している。

繰り返しますが、「オーダーを受けて」から、「調理・加工したお酒」を販売できるのが「飲食店の営業許可証」なのです。

そのため、飲食店の営業許可証で「未開栓のお酒」を販売することはできません。

例えば、

大衆居酒屋さんで、
・自分で冷蔵ショーケースに瓶ビールを取りに行って、
・自分で栓抜きを使って、瓶ビールの栓を抜いて
・席について、瓶ビールを飲む。

というのは、「未開栓のお酒」を販売していることになるので、厳密に言えばNGです。

この提供方法では、酒販免許(=小売免許)が必要になります。

同様に、

・居酒屋さんで、焼酎のボトルをキープして飲む

・カレー屋さんで、缶ビールを注文して飲む

という場合でも、お店側が、お客様からのオーダー受けてから、
「焼酎の栓を開ける」「缶ビールを開ける」
という『加工・調理』に相当する行為が必要となります。

「細かいこと言うなよ!」という話ではありますが、法律の原理原則に照らし合わせるなら、そういうことになってしまいます。。。


■イベントでビールを売る場合は!?

この「未開栓 or 開栓済 のお酒」という概念は、
イベントでビールを売る
というケースでも、基本的に同様の考え方となります。

◇イベントでビールを売る場合

《樽生ビール》

(10Lの生樽をそのまま売る酒問屋みたいなお店が、出店しているわけはないので)

必ず、紙コップやプラコップに注いで提供することになるので

  ⇒ 飲食店の営業許可でOK

◇イベントでビールを売る場合

《缶ビール》

▼紙コップに移し替える or プルタプを開けてからお客様に渡す
 ⇒ 飲食店の営業許可でOK  ※1

▼缶ビールを未開栓のまま、お客様に渡す。
 ⇒ 酒販免許が必要  ※2

※1:そんなケースはないと思いますが、厳密に言うなら、オーダー前に、紙コップに事前に移し替えておく/プルタプを開けておく、のはNG。あくまでオーダー後の加工が必要。

※2:厳密には、通常の酒販免許とは異なる、イベント用=期間限定の酒販免許もあったりします。


■一方、酒屋さんでは

酒屋さんでは、

酒販免許(=小売免許)で、未開栓のお酒を売っている

とお伝えしました。

でも、酒屋さんで、

・大きな焼酎甕を置いて、その蛇口から注いだ焼酎を売ってくれる。

・プレミアムウイスキーを、小さな小瓶に移し替えて売ってくれる。

なんて、こだわりの酒屋さんもあります。

ただ、これは「未開栓のお酒」でなく「開栓済のお酒」を売っていることになりますよね?

どういうことなのでしょうか?

次回へ続きます!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?