見出し画像

いつか再び飲みたい響12年!

■ポットスチル蒸溜のグレーン・ウイスキー

前回、「ポットスチル・ウイスキー」にはじまり「ポットスチル蒸溜のグレーンウイスキーの可能性」について書きました。

■可能性を感じるぞ! ポットスチル蒸溜のグレーン・ウイスキー
ポットスチル・ウイスキーは、「大麦麦芽」+「大麦麦芽以外の穀物原料」を「ポットスチル蒸溜」しているアイリッシュ・ウイスキーのウイスキー・カテゴリーのひとつです。(細かな法規定はありますが)

スコットランドの法律では、グレーン・ウイスキーに該当します。
このポットスチル蒸溜のグレーン・ウイスキーは、
・「ポットスチル蒸溜」で原料の味わいが良く残る。
・「大麦以外の穀物」も使えるため、色々な可能性を秘めている。
と思います。
ポットスチル・ウイスキーの可能性(チャーリー/ウイスキー日記)

実はすでにそのような原酒を使ったウイスキーが、商品化され発売されています。
かなり、メジャーなブランドですが、皆様、わかりますでしょうか?

答えは、「響12年」です。


■響とは?

1989年、サントリー創業90周年を記念して発売された、サントリー最高峰のブレンディッド・ウイスキーです。
当初は、年数表記はありませんでしたが(17年相当だったようです)、2001年に「響17年」と、年数を表記するようになります。

ちなみに、さらに上のクラスの「響21年」は1994年発売。「響30年」は1997年発売です。
響17年よりも、響21年・響30年の方が、年数の表記は早かったんですね。今回、調べるまで知りませんでした。。。

この「響」というシリーズは、極めて「日本的」「繊細」。かつ「円やかな味わい」で、日本のブレンディッド・ウイスキーを象徴するようなブランドだと思います。

コンテストにおける「響シリーズ」の受賞歴は、数多く、挙げていたらきりがありません。
AWARDS 受賞歴 響-サントリーブレンデッドウイスキーの最高峰- サントリー (suntory.co.jp)

特に、2017年には、21が、有名なウイスキーコンテストで、ウイスキー全部門の1,480品目の出品の中で頂点に立ちました。
「響21年」がISC全部門の頂点「シュプリーム チャンピオン スピリット」を受賞 | WHISKY Magazine Japan

そして30は、言葉に表せないくらいスムーズに喉を通ります。
著名なウイスキー評論家の土屋守さんも、響30年について、以下のように記述しています。

僕はスコッチからウイスキーの世界に入り、仕事でもプライベートでも、世界中のいろいろなボトルを飲んできました。ジャパニーズウイスキーの美味しさも、人一倍堪能していると自負しています。素晴らしいボトルは数々ありますが、その中でも、この「響30年」を最初に飲んだときのインパクトは忘れられません。ブレンディッドのひとつの到達点と言っても過言ではない。とてもプレミアムなウイスキーですが、一度は飲んでおくべくだと思う1本です。
ウイスキー完全バイブルP231(ナツメ社)土屋守・監修


■そして、響12年

話は戻って、響12年です。響12年は、2009年に発売されました。

そしてこの『響12年』には、
コーンを主原料として、
ポットスチルで蒸溜したグレーン・ウイスキーの原酒
が、採用されていたのです!

この原酒は、原料であるトウモロコシ本来のグレーニーさ(穀物感)を強く残しながら熟成させたもの。こういう異色のグレーン原酒を用いることは、スコッチの世界では考えられないことでしょう。
ウイスキーは日本の酒であるP118輿水精一(新潮新書)

輿水精一さんとは、当時のサントリーのチーフブレンダーで、響12年を開発した方です。
NHKのプロフェッショナルでも特集された方なので、ご存じの方も多いと思います。


■輿水さんの集大成、響12年

輿水さんの著者などの情報によると、響12年には、

・ポットスチルによるグレーン・ウイスキー

梅酒樽で熟成させた原酒
(一回梅酒を入れた樽にウイスキーを詰める)

杉樽原酒
(鏡板の部分を杉材にした樽に詰める)

・少量の30年超の原酒

など、輿水・サントリー前チーフブレンダーが、それまでに手掛けてきた商品開発の知見をふんだんに取り入れた「集大成の商品」となっています。

このようなチャレンジングな商品を、2009年に発売していることは特筆に値すると思います。

というのも、角ハイボールが飲食店で展開されるようになったのが2008年。
その効果もあり2009年は、やっと日本国内のウイスキーの消費量が前年を上回ります。

しかし、まだ当時は角ハイ効果の「角瓶一本被り」で、高級ウイスキーは、まだ見向きをされていませんでした。
そのような「1983年をピークに25年間、下がり続けた国内ウイスキー市場」の中、このようなチャレンジングな原酒を開発し、またその原酒を商品化したことは、本当に驚きです。

そして、これはもちろん輿水さん個人のアイデアではなく、それまでにそういった原酒をチャレンジしてきた、ウイスキーのつくり手さん全員の「連綿と受け継がれてきたモノヅクリの志」の賜物だと思います!

「ウイスキー愛」、そして「情熱」、ハンパじゃないです!


■残念ながら販売を終了している響12年

ただし、残念ながら年数表記のある、この響12年は、2015年で販売終了となっています。
(響ジャパニーズハーニモーが、その後続品となります。)

私、この響12年を飲んだことがあるんです!
しかし、当時は、今のようにウイスキーを勉強していたわけでないので、正直、きちんと味わえていませんでした。
味の記憶も確かではありません。

輿水さんの集大成、スーパーハイスペックの響12年。
もしチャンスがあれば、もう一度飲んでみたいものです!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?