モナリザは微笑んでいるのか?


 恐らく西洋絵画の中で最も有名な作品の一つが、ダ・ヴィンチの「モナリザ」であろう。ボテロの可愛いモナリザ、髭を生やした自分の顔を当てはめたダリ等々本歌取りした作品やパロディにも多く使われており、親しまれていると言っても過言ではない。

 しかし私にはその目が怖いのだ。これだけこちらを追い詰める強い眼差しの絵はなかなかないのでは。夏目漱石はある本の中で、この絵を初めて見たある明治時代の女性が「気味の悪い顔」と言ったと書いているらしいのだが、分からなくもない。

 普通の絵だと実は正面の鑑賞者をにらみつける様な目付きの作品は少ない気がする。多くの絵は横や遠方等の対象を見ている。描いている方もずっとにらまれていたら落ち着かないのではないかと思う。

 もし夜中にこの絵の前に1人で立ったとして、この目とずっとにらみ合っている自信がない。もちろんこの絵のことが「微笑み」とされているのは承知の上だが、私には怖い。


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