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自分の中にしかない言葉と、外の世界のつなぎ方。

 自分の言葉で話すというのは、当たり前の話ではあるのかもしれませんが、なかなかできないことでもあるように思います。自分では色々感じていたとしても、それを言葉にして相手にもわかってもらうということは、実はすごく技術やトレーニングが必要なことなのかもしれません。感じることや思うことは、感情的なことなはずなのに、言葉を見つけて磨いて、発信することはロジックでもあるからなのかもしれません。

 梅田 悟司さんの本を手にしたのは、今回が初めて。学生時代はずっと理系だったそうですが、コピーライターとして活躍されているそうです。コピーライターというと、文系のイメージもありますが、コピーがつくられていくプロセスなどを学んでいくと、結構ロジカルで、理系的な作業も多くあるように思います。

 自分の頭の中には、リアルなイメージできているのに、その言葉を使って、人を動かす・人が動くためには、梅田さんのおっしゃっている、『内なる言葉』としっかりと向き合わない限り、『伝わる』をしっかりとつくりだすことは、できないのではないかと思います。自分の中にしかない、コアになる考えや感情のをどのように、ロジカルに見つけていくかというプロセスについても、この本の前半の中で語られていて、もどかしさを感じたときに試すことができそうな手法も紹介されています。

 この本を読み始めてから、自分自身がひょんなことからコピーを書くことになったときに、いつもきれいな言葉や、格好をつけた言葉ばかりを考えていましたが、コアになる言葉や考えにまで気を配ることができずにいたことを思い出しました。伝えたいことがあるはずなのに、それを伝えることができなくてもどかしくて。そんな時にこのような手法を知っていたとしたら、もっと楽にコピーに向き合うことができたのだろうなぁと感じます。

 この手法は、キャリアカウンセリングなどの場面にも応用できるノウハウであると感じます。相談相手が言葉に詰まっているときに、その詰まっている部分を少しずつほぐしていったり、本心として感じている部分を言語化していったりするときに、どのような順番で話を進めていくかという指針があると、アプローチがしやすくなるようになります。考え方や感情とロジックの組み合わせは、そんな場面でも共通して、大切なことです。

 2023年の年末に、また素敵な本に出会えました。

「言葉にできる」は武器になる。
梅田 悟司 著 日本経済新聞出版社発行を読んでの感想


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