見出し画像

インタビュー:ルワンダの牛糞アートで社会起業!?沖縄の女子高生の挑戦

こんにちは。チャリツモのばんです。

このnoteでは、ちょっと面白い!これから(いい意味で)何かやらかしてくれそう!というティーンにインタビューし、活動を応援していきます。

私は南アフリカ共和国に住んでいて、たまに仕事で他のアフリカ諸国に行くことがあります。

アフリカという地で出会う人は、パワフルでエネルギーに溢れる人が多いのですが、今回は東アフリカにある小さな国「ルワンダ」で出会った高校生の立ち上げたプロジェクトに注目しました。

ルワンダの牛糞アート!?イミゴンゴを使った雇用創出プロジェクトと、いうことで、プロジェクトを立ち上げた山田果林さんと大学生の大下直樹さんにインタビューをしました。

ルワンダの牛糞アートで起業!?高校生の挑戦

山田果凛(やまだ・かりん):沖縄県のインターナショナルスクールに通う高校3年生
大下直樹(おおした・なおき):早稲田大学4年生

かりん:こんにちは。沖縄の高校生、山田果凛です。

なおき:早稲田大学の4年生、大下直樹です。

画像3

かりん:私たちは、兵庫県の神戸市役所主催で行われた起業家育成プログラム「スタートアップアフリカ in ルワンダ」に参加して、ルワンダでシングルマザーの雇用創出のためのプロジェクトを始めました。

ばん:今日はお時間ありがとうございます。プログラム内で始めたプロジェクトが今も続いていて、現在クラウドファンディングに挑戦中なんだよね?

かりん:そうなんです。多くの方にサポートいただいたおかげで現在45%まで達成しました!(4月8日現在)

クラウドファンディング:高校生がアフリカ貧困層の子供を救う!伝統工芸をRe:Designして新たな価値へ

ばん:順調に行っているようですね!プロジェクトについて詳しく教えてもらえますか?なんでも牛糞が材料のルワンダの伝統アートを使っているとか…。

かりん:そうなんです。このプロジェクトでは、ルワンダの伝統アートである「イミゴンゴ」というものがあります。
それを使って、シングルマザーと一緒にプロダクトを作って販売する予定です。
ルワンダは、アフリカの奇跡と呼ばれるほど、急速に経済発展をしていて、IT立国を目指した国づくりをしているのですが、まだまだ貧困層の人が多くいます。
そうした貧困層の人の力になりたくて、伝統アートで、且つ材料費がほとんどかからない(主な原料は牛糞)イミゴンゴを使って製品を作り、雇用創出につなげようと思ったんです。

画像3


(ルワンダの伝統アートであるイミゴンゴ)

ばん:なるほど。イミゴンゴってこんな感じなんですね!…これって牛の糞からできてるなんて思えない‥!
どんなふうに、排せつ物がこんなアートになるんでしょうか?

かりん:実は私たち、実際にルワンダでイミゴンゴ作りを体験してきたんです!

ばん:おお!とそうなんですね!すごく貴重な体験ですね!

なおき:首都のキガリから車で片道3時間くらい離れた村まで行って、牛の糞を集めるところから体験しました。

かりん:マーケットで出会った方が本当に良くしてくれて、わざわざ仕事の休みを作って、村まで連れて行ってくれました。本当に感謝しています。

ばん:いい出会いがあったんですね!実際に作業してみてどうでしたか?

画像4

(イミゴンゴ作りの様子)

かりん:手袋をつけて作業をしたんですけど、やっぱりにおいが結構きつくて大変でした笑
イミゴンゴは土台が木でできていて、そこに牛糞をベースに灰などを混ぜて作った粘土を付けます。そのあと良く乾かしてから、顔料を塗るんです。
粘土を塗るところまで村でやって、生乾きのイミゴンゴを宿に運んだんですが、乾くまでは匂うので、結構大変でした笑

なおき:乾いてしまえば匂いは全くしないですし、木と粘土でできているのですごく軽いです。

かりん:出来上がりを見ると、本当にきれいですし、牛糞のにおいはしません。すべて自然由来の材料で手来ているので環境にも優しいアートなんですよ。

ばん:ちなみに、このイミゴンゴの柄って意味があるんでしょうか?
これを使って製品を作るんですか?

かりん:イミゴンゴを使ってアクセサリー、具体的にはイヤリングを作ろうと思っています。
イミゴンゴを見つけたのは本当に偶然で、ローカルマーケットを散策した時に見つけて、すごくきれいだなって思いました。
お土産にたくさん買っていきたかったんですけど、もともと壁に掛けたりして使うので大きなサイズしかなくて。これじゃあたくさん買って友達に配るのは難しいから、小さいサイズのものはないの?って聞いたら「小さいのが欲しいんだったら作ってあげるよ!」って言ってくれたんです。
そんな簡単に作ってくれるんなら、一緒にイミゴンゴづくりをしたい!と思って、実際に行ったんです。

でも、一緒にイミゴンゴ作りをする約束だけして、1つだけイミゴンゴを買って帰ってきたんですが、よく考えてみたら、わざわざ小さいのを作らなくても、自分で切って加工してもいいのかもしれない、と気が付いて、カットしてイヤリングを作ってみることにしました。

イミゴンゴの柄には、集中とか奇跡とか意味があるんです。
製品を作るときは、柄や意味にもこだわろうと思ってます。

現地の材料で、現地の人が作れるように、3月にルワンダに行ったときは現地でプロトタイプも作ってきました。

画像4

(イミゴンゴイヤリングのプロトタイプ)

なおき:僕たちがただ現地のものを買い取って売るのではなく、一緒に製品を作ってビジネスを作ることを目的にしています。

友達が物乞いや身売りをした…不登校だった中学時代

ばん:ボランティアではなくビジネス、貧困層の方の力になりたい…強い情熱を感じます。このように思うようになったのはなぜでしょうか?
何か原体験があるのですか?

かりん:実は私は「生まれた場所によって子どもの人生が決められてしまうこと」に強い憤りを感じていて、何とかして子どもの支援をしたい、という強い想いがあるんです。

画像5

私は父の仕事の都合でタイに6年間住んでいたのですが、貧困のせいで友達が物乞いをしていたり、かわいい子供時代が過ぎたら身売りを始めてしまったりするのを目の当たりにしました。
一方で現地ではインターナショナルスクールに通っていたのですが、学校の友達はお金持ちの子ばかり。そこで感じたのは、お金持ちだから幸せではないってこと。グレーなことに手を染めてしまう子もいて。

そうした環境もあり、家族も仲も悪くなってしまったこともあり、いつしか不登校になってしまって、家に引きこもるようになってしまいました。

人生を変えたインド渡航―アンパンマンになりたかった

かりん:そんな私を見ていた父が、インド出張の時に私も連れて行ってくれたんです。
そこには、私の知らない世界がありました。

画像6

そこには孤児のグループがあり、リーダー格の少年アルソン君という子がいたんですが、彼は既に人をうまく使うことを知っていました。
この子が大きくなるまで生きれるのだろうか…。生きたとしてもギャングに入ったり、犯罪に手を染めてしまうかもしれない。そう思うと悲しくて、父にアルソン君を養子にもらえないか、説得しようとしました。

それを聞いた父は、私を国連職員の女性に合わせてくれました。
彼女に言われたことは、たったひとりを救っても何も変わらない、ということ。100人助けている人のところに行って、話を聞いてみたらどうだろう、とアドバイスをもらい、現地のNGOを訪問しました。

画像7

500人の孤児の支援をしているNGOでボランティアをする機会をもらいました。
でも、そこには飢餓で死んでしまう子どもたちがいたんです。それを目の当たりにして、本当に驚きました。
でも、もう一つ驚いたことは、1本の鉛筆を100人単位でシェアするような環境だったのですが、子どもたちがみんな楽しそうに勉強していたことです。

「みんなはここで勉強して幸せ?」って聞いたら、みんなが「幸せ!」って答えました。
「村では学校に通えない子がたくさんいるから、頑張って勉強しているんだ」という答えを聞いたとき、不登校で引きこもっていた自分はハッとしました。

こうした経験から、自分も誰かのために頑張りたい。自分の顔を上げてまで人助けをする、アンパンマンのような人になりたいと思うようになりました。

自分は恵まれている—ビッグになってインドに帰る

かりん:そのインドのNGOで衝撃を受けて、そこで住み込みで働きたい、と懇願しました。
でもそこでは「あなたは日本に生まれて恵まれている。そのチャンスを活かしてもってビッグになってから戻ってきなさい」といわれてしまったんです。

そのあと日本に帰って沖縄の高校に行ったのですが、インドでの経験から、ボランティア活動をするようになりました。

高校では、友達と一緒にボランティア部を立ち上げて活動していたのですが、原点に返ろうと思い、18歳になった時にもう一度インドに行きました。

前にインドに行ってから、3年経っていましたが、自分よりも孤児院の子どものほうがずっと成長しているように見えました。

負けてられない!と思ったのと同時に、日本人の自分にとって何ができるのかについて悩みました。

一過性のボランティアを続けて、何かが変わるんだろうか。継続的にインパクトのあることをするにはどうしたらいいんだろう…。

画像8

そんな時に、アフリカでの起業プログラムを見つけたんです。
ビジネスはそれまで触れたことがなかったけど、何かヒントになるかもしれないと思って参加しました。

ICT立国を目指しているルワンダでの起業プログラムということで、視察先もICT関連の企業が多く、社会人のかたもIT系のビジネスアイデアを考える人が多かったのですが、私は現地の人と同じ目線で取り組みたい、と思いました。

そこで生まれたのがイミゴンゴのプロジェクトでした。

ボランティアじゃなくビジネスで

かりん:ルワンダに行った時も、街自体はすごくきれいだったのですが、ホテルの前で子どもたちに物乞いをされて、それがずっと心に残っていてたんです。
子どもに対して何かしたいという想いが強かったからだと思います。

イミゴンゴのプロジェクトも、最初は子どもと一緒に製品を作って売れば、物乞いをしなくても、将来身売りをしなくても生きていく方法を、子どもたちに教えられるかもしないと思いました。
何よりも、子どもたちと同じ目線で一緒に未来を作っていきたいと思ったんです。

でも、よく考えると、それでは子どもから勉強する機会を奪ってしまいますよね笑

それを気づかせてくれたのが直樹さんで、一緒にプロジェクトをすることになりました。

なおき:僕はただ彼女の情熱に動かされました笑

かりん:私一人だと、ボランティアの発想しか出てこなかったと思います。
最初は子どものために何かしたいなら、子どもに対して何かしないといけないと思っていたのですが、直樹さんが質問してくれたおかげで、子どもの親に注目することができました。
特にシングルマザーの家庭は経済状況が厳しく、子どもも経済的に困窮しやすいので、シングルマザーをターゲットにすることにしたんです。

現地のYWCAなどいくつかの団体とも話をして、現地の方と一緒に、継続的なプロジェクトを作っていきたいと思っています。

ばん:こうした経緯で、子どもと継続性にこだわっているんですね。
なおきは、かりんと一緒にやっていてどうですか?なおき自身も子どもの支援に関心があったのでしょうか?

画像9

なおき:ぼくは国際協力とかボランティアとか、ほとんどやったことがありません笑
かりんとは全然違うタイプで、シアトルに留学した時にITベンチャーでインターンを始めてから、IT大好き人間です。卒業後も大手IT企業への就職が決まっています。
自分にとって今回のプロジェクトは、ITが絡んでいない初めてのプロジェクトです。

かりんのプロジェクトに参加しようと思ったのは、サポートを求めている彼女の力になりたかったから。それに尽きますね。
自分にとって、シアトルの留学はとても意味のあるもので、今の自分を作ってくれたものだと思っています。でも留学当初は、想いがあるけど、どう実現したらいいかわからなくて、たくさんの人にサポートしてもらいました。現地の日本人の方にすごくお世話になって、助けてもらったからこそ今があります。
そうした経験から、見返りを求めず人を助ける、人にギブ(Give)できるような人間になりたいと思っているんです。

かりんを見たときに、留学中の自分の姿が重なって見えて。
せっかくの強い想いが、そのまま消えてしまうのはもったいない。自分も学生だし、できることは限られるけど、想いを実現するために少しでも力になれたらと思いました。

ばん:二人とも、誰かのためになりたいという想いは共通しているのかもね。全然違うひたりだからこそ、いいチームなのかもしれませんね。

高校生がやるからこそ、意味がある

画像10

かりん:プロジェクトをやるからには本気で挑んでいます。
高校生、しかも受験生がこんなプロジェクトをしていると、「焦って今やらないくてもいいんじゃないの?」「大学生になってからやれば?」という声もいただくのですが、高校生の私がやるからこそ、同年代の子にいい刺激になると思うんです。

それに、今やらなくてもいい、と言ってしまうと、いつまでたってもできません。

自営業をしている父親にも、娘としてではなく、一人の人間としてビジネスを教えてもらっています。

なおき:僕らは若いからこそ失うものも少ない。だからこそ、全力でこのプロジェクトに取り組んでいます。

ばん:めちゃくちゃ勢いがありますね!クラウドファンディングもまだまだ始まりにすぎないと思いますが、最後まで頑張って、夢を実現してください!
また渡航してプロジェクトが進んだら、お話聞かせてくださいね!

クラウドファンディング:高校生がアフリカ貧困層の子供を救う!伝統工芸をRe:Designして新たな価値へ

画像11

―――

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?