深夜のかりすま名画座:THE 有頂天ホテル

THE 有頂天ホテル

 大晦日の高級ホテルアバンティ。カウントダウンパーティーという重要イベントを前に、副支配人の新堂はトラブル対応に追われます。一癖も二癖もある宿泊客や、従業員が入り乱れるパーティーの行方や如何に。
 面白い。理屈抜きで真っ先に思います。笑いあり、それ以上に。目が離せない。個々の人間や事件が混ざり合い解消される、テトリス的な快感を得られます。
 役者の方々も、オールスター状態に関わらず個々のキャラが立っている。
 香取慎吾さんはこの面子相手で分が悪いと思われましたが一番美味しいというか、存在感のある役柄でした。憲二を演じられるのは香取さんの「喉感のある」歌声を置いて他にないでしょう。
 役所広司さんと角野卓造さんの硬派とオチャラケの振り幅。(離婚、再婚を経た)両者の妻、由美を演じた原田美枝子さん。由美は現夫の不倫等々はお見通しだろうな、と。夫たちは人間らしく嘘が下手な所がよく似ているんですよね……笑
 勿論、不倫はギルティです。
 正義感で突っ走る松たか子さん。ナルシストでプライドが高い佐藤浩市さん。ひょうきんだが打たれ弱い西田敏行さん。手に負えない篠原涼子さん。正体不明で宇宙人みたいなYOUさん。神経質なオダギリジョーさん。マイペースな伊東四朗さん。しょうもない事で揉める堀内敬子さん川平慈英さんカップル等。
 魅力を挙げたらキリがない。
 人選に関し三谷幸喜監督が全て行っているとしたら、役者本人の性格をイメージしながらキャラクター作りをしていたりして、と妄想が膨らみます。
 大晦日を描いた本作を、実際に年末鑑賞するムーブメントを観測した事がありますが、確かに。景気良く年始を迎えられそうな、そういう爽やかさのある映画でした。

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